RX-8の生産停止とRX-9の可能性
RX-8は販売中のモデルのなかで、世界で唯一ロータリーエンジンを搭載した量産車であるが、欧州では排ガスの新基準ユーロ5に対応できず、さらに北米では円高による採算性の悪化が原因でRX-8のグローバル販売が縮小しつつある。
RX-8は広島の宇品工場で全台数を生産しており、ここから輸出。
現地生産が主となっている他車種と違い、為替の影響を大きく受けてしまうという事情がある。
こうなれば、国内しか販売先が無くなってしまうわけだが、その国内も年々販売台数を減らしており、昨年の2010年には年間1000台を割りこんでしまった。
現在のところ、日本向けの販売は続けられているが、このまま生産を継続するのは難しい状況になっている。
さらに、2013年のJC08モード表示の義務化も足枷になる。
販売台数が年間1000台未満の車種に対して、JC08モード燃費の測定コストが見合わなくなっているのだ。
つまり、現行RX-8は遅くとも2013年までには日本でも販売停止ということになりそうだ。
そんな中、気になるのが後継モデルとなるRX-9の進捗状況だ。
(写真は生産が縮小されるRX-8)
RENESIS X16の開発が遅れている
RX-8の後継車種、RX-9に搭載予定となっているのが、次世代ロータリーエンジンのRENESIS 16X。
現行RX-8の13B型が654cc×2ローターに対して、16Xは800cc×2ローターと排気量をアップ、さらに直噴化などが施される。
スカイアクティブテクノロジーの一環としてSKYACTIV-Rのプロジェクトも立ち上がっているが、この進捗が良くないという。
当然、排ガスに関しても新基準に適合するものを目指して開発されている。
2020年の新規制値も問題視する意見も
次期モデルとなるRX-9、早くても2015年のデビューとなるだろうという読みが強いが、この時期であればまた別の問題が障害になってくる。
CO2排出量規制の基準が2020年で新しくなってしまうのだ。
こうなると2015年で基準をクリアさせたRX-9がデビューしても、5年で販売できなくなる。
これでは、もはやロータリーの存続自体が難しいのではということだ。
しかし、この手のクルマはデビュー直後しか売れないというのも事実。
実際にRX-8では、2004年は1万4千台以上も売れたが、2010年は1000台も売れていない。
販売期間が5年でも7年でも総販売台数自体はそんなに変わらないということだ。
これならやはり、RX-9の2015年デビューが濃厚ではと考える。
ただし、純ガソリンエンジン車としての存続は難しいかもしれない。
水素ロータリーも環境対応の一つだが、水素インフラの問題で2015年の段階では非現実的。
これは無いだろう。
電気自動車の発電機として、つまりレンジエクステンダーでの採用も検討されている。
ロータリーエンジンは小型で低振動、低騒音という長所から、発電機として適している。
EVとロータリーエンジンの組み合わせはコンセプトカーの段階ではあるが、アウディA1 eトロンで実現している。
しかし、このような発電専用エンジンとしてのロータリーでは、これまでのRX-7、RX-8のファンは選ばないだろう。
ユーザーのニーズと技術的なものが一致する手段として、ハイブリッドエンジン化が最も現実的ではないかと考える。