トヨタのハイブリッドコンパクトカー、「アクア」が一部改良を受けて2022年11月29日に発売となった。
2021年7月のフルモデルチェンジで2代目モデルとなってから、初めての一部改良となる。ボディカラーとインテリアで新たな選択肢が加わり、装備面ではドライブレコーダー付きの自動防眩インナーミラーが全車にオプション設定となるなどの内容となった。
価格は、「B」と「X」グレードが17,000円の値上がり、「G」と「Z」グレードは据え置きで、1,997,000円~2,598,000円に設定される。
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新型アクア、「ひどい」と言われる内装も改良
今回の改良では、一部で「ひどい」とも評価されるケースもあった内装にも手が加えられた。ブラック×オレンジの内装色と合成皮革とチェック柄ファブリックをあわせたシート表皮が、Zグレードに新設定された。
アクア GR SPORT(2WD)追加発売、2,595,000円
さらに、TOYOTA GAZOO Racingのラインアップでは、「アクア GR SPORT (2WD)」が、追加され発売となった。価格は2,595,000円に設定される。
アクア GR SPORTは、初代アクアにも設定があり、2代目モデルということになる。初代モデルから変わらない「意のままに操れる歓び」というコンセプトが踏襲され、操縦安定性のレベルアップと、加速性能の向上が盛り込まれた。
このほか、ボディ剛性の強化、足回りやパワーステアリング制御のチューニングにより走行性能が向上している。ベース車であるアクアの乗り心地の良さを継承しながらも、様々な路面に追従するよう足回りが磨き上げられた。
アクア GR SPORTの開発には、「GR」シリーズの開発ドライバーも携わり、「GR」の“走りの味”を「GR SPORT」でも継承することが目指された。
また、エクステリアでは、ファンクショナルマトリックスグリル及び専用バンパーが採用され、ワイド&ローのスタンスの専用デザインにより、走行や空力性能の向上に寄与する機能美が追求された。
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新型アクアへ、フルモデルチェンジ 2021年7月
トヨタ・アクアがフルモデルチェンジを受けて2021年7月19日に発売となった。
約10年ぶりのフルモデルチェンジで2代目モデルとなった新型アクア。
新型アクアからは、電気式4WDのE-Fourが導入され、プラス198,000円で設定される。
新型アクア、おすすめグレードは?
以下に、各グレードの装備のポイントをなるべく簡素に説明し、ユーザータイプごとの「おすすめグレード」を提案していく。
アクア B(FF/E-Four)ビジネス用途にオススメなグレード
ビジネス用途の方にオススメなのが、コストを重視したBグレード。
低価格モデルながらもトヨタセーフティセンスはフル装備で、プリクラッシュセーフティ、レーントレーシングアシスト、レーダークルーズコントロール、オートマチックハイビーム、ロードサインアシストが採用される。
ドアハンドルがボディカラーに関わらずブラックとなり、このあたりは商用車らしき雰囲気となる。ただし、ドアミラーはボディカラーで塗装されている。
この他、フロントシートはヘッドレスト一体型、さらに後席ウィンドウは手動式となっており、やはり経済性を重視したビジネスカーとしての位置づけとなるだろう。
標準装備されるタイヤは、2WDが14インチ、E-Fourが15インチで、いずれも樹脂フルキャップとなる。
アクア X(FF/E-Four)一般的なユーザーにオススメなグレード
一般ユーザーで経済性を重視する方にオススメなのがXグレード。
ドアハンドルはボディカラー同色、さらに後席パワーウィンドウも装備され、一般向けの乗用車らしい雰囲気となる。
インテリアでもピアノブラック、シルバー塗装などによる装飾がなされる。
ただし、フロントシートはヘッドレスト一体型のままで、廉価グレードらしい装備は残される。
標準タイヤは、2WD、E-Fourを問わず15インチの樹脂フルキャップであるが、追加オプションでアルミホイールの選択が可能となる。
アクア G(FF/E-Four)後悔したくないユーザーにオススメなグレード
装備面で後悔したくないユーザーにオススメなのがGグレード。
フロントグリルのインナーフレームラインにペールゴールド塗装が施され、上質なエクステリアとなる。
インテリアでは、フロントシートがヘッドレストセパレート型となり、コストダウンを感じさせない。ファブリックのグレードが上げられるほか、シルバー加飾も増やされ、上質な室内空間となる。
標準タイヤは、Xグレードと同じ15インチの樹脂フルキャップのままであるが、2WD車は16インチアルミホイール、4WD車は15インチアルミホイールのオプション選択が可能となる。
アクア Z(FF/E-Four)所有欲を満たしたい方にオススメなグレード
プレミアム感が与えられたZグレードは、所有欲を満たしたいユーザーにオススメ。
ブラックアウトされていたフロントグリルにピアノブラック塗装が加わり、高級感のあるフロントデザインに仕上げられる。
標準タイヤが15インチアルミホイールとなり、2WD車は16インチへの追加オプションが用意される。
Bi-Beam LEDヘッドランプが採用され、LEDターンランプ+LEDクリアランスランプも備わる。LEDフォグランプを標準装備。リアコンビネーションランプもグレードアップされ、プレミアムカーらしい装いとなる。
インテリアでは、10.5インチディスプレイオーディオにグレードアップされる。ちなみにB、X、Gの下位グレードは、7インチディスプレイである。
新型アクアは、TNGAハイブリッドで最安価格
アクアは、2011年東日本大震災のその年にトヨタ自動車東日本株式会社(当時の関東自動車工業株式会社)の岩手工場で誕生したモデル。ハイブリッド専用車として圧倒的な低燃費、静粛性、コストパフォーマンスを備え、約10年に及ぶ販売期間を経てきた。
今回の新型二代目モデルは、これまでのアクアが担ってきた役割を発展させ、「さらに次の10年を見据えたコンパクトカー」としてのフルモデルチェンジとなった。

新型アクアはトヨタハイブリッドカーで最安
トヨタのBセグメントハッチバックカーとしては、ヤリスが昨年2020年に発売されたばかりで、こちらはハイブリッドエンジン搭載のエントリーモデルがXグレードの2,013,000円となっている。
ハイブリッド車のXグレード同士での比較では、ヤリスよりアクアが94,000円高くなる。ただし、アクアには低価格グレードのBが設定されており、トヨタのハイブリッド車として最低価格となる1,998,000円を実現している。
新型アクアはバイポーラ型ニッケル水素電池を駆動用車載電池として世界初採用
新型アクアは、高出力な「バイポーラ型ニッケル水素電池」を駆動用車載電池として世界で初めて採用した。
従来型アクアのニッケル水素電池に比べバッテリー出力が約2倍に向上したほか、アクセル操作への応答性が向上し、低速からリニアでスムースな加速を実現する。また、電気だけでの走行可能速度域を拡大したことで、街中の多くのシーンでエンジンを使わないEV走行が可能となった。
このバイポーラニッケル水素電池の容量は5.0Ahで、X/G/Z/GR SPORTグレードに搭載される。WLTCモード燃費は最高で34.6km/Lとなる。
また、Bグレードにはヤリスハイブリッドと同容量となる4.3Ahリチウムイオンバッテリーを搭載する。装備の簡略化で車両重量が軽いこともあり、WLTCモード燃費はシリーズ最高の35.8km/Lを達成する。後から追加されたGR SPORTは、29.3km/Lとなった。
Bグレードは低価格なエントリーモデルという位置づけだけでなく、燃費特化グレードという役割も与えられている。
フルモデルチェンジによりアクアのハイブリッドシステムも刷新
新型アクアのパワートレインとなるM15A-FXE型は、1.5Lの直列3気筒のダイナミックフォースエンジンで、先代型アクアの直列4気筒の1NZ-FXE型から、大きく進化した。
先代型アクアはハイブリッドシステムの都合上、2WDモデルのみのラインアップであったが、新型アクアは電気式4WDのE-Fourも用意される。
フロントモーター(1NM型)は最高出力59kW、最大トルク141Nmで、いずれのグレードもヤリスハイブリッドと共通化されている。
E-Fourのリアモーター(1MM型)は、Bグレードが最高出力3.9kW、最大トルク52Nmでヤリスハイブリッドと共通化されている。G/X/Zグレードについては最高出力がアップされ4.7kW、最大トルクは52Nmとなった。
また、新型アクアもコンベンショナルガソリンエンジンモデルは設定されず、ハイブリッド専用車となった。

トヨタはアクア、ヤリス、2つの新型コンパクトカーをラインアップ
TNGA導入のフルモデルチェンジが進行中となっているトヨタのBセグメントカーであるが、これまでスポーツ志向のヤリスが先行して発売され、これに続き、アクアが新型となった。
トヨタでは2種類の新世代コンパクトハッチバックカーが併売される状況である。販売好調なヤリスに対し、居住性重視のアクアがどこまで販売台数を伸ばせるのか。トヨタブランド内での販売競争も注目される。

アクアはフルモデルチェンジでホイールベースが延長される
ホイールベースについて比較していくと、従来型アクアが2550mm、ヤリスも2550mmというなか、新型アクアは2600mmとなる。新型アクアは、Bセグメントハッチバックカーのなかでも広い室内空間を持つモデルに仕上げられた。
ボディサイズは全長4050mm×全幅1695mm×全高1485mmで、居住性重視とはいえ、国内向けBセグメントハッチバックカーで求められるサイズの中にしっかり収められている。
新型アクアのように居住性を重視することは、このクラスでは王道とも言える商品設計であるが、近年ではハイトワゴンタイプの車種に需要を奪われている状況であった。昨年フルモデルチェンジされた他社Bセグメント、フィット、ノートも居住性重視の設計と考えるが、好調なハイトワゴン車からユーザーを取り戻すまでには至っていない。
居住性重視でフルモデルチェンジされたアクアが、フィットやノートと同じ轍を踏むのか、あるいは人気車種となることができるのかが注目される。
新型アクア、停止保持機能付きオートクルーズコントロール装備
居住性が重視される新型アクアは、インパネ周辺にも大きな変更がある。シフトレバーは、初代のフロアシフトから、新型ではインパネシフトへ変更された。
パーキングブレーキも従来のレバー式から、足踏み式となった。
レーダークルーズコントロールは全車速式で、ミリ波レーダーと単眼カメラで先行車を認識し、車速に応じた車間距離を保ちながら追従走行が支援される。先行車が停止した時は自車も停止して停止状態を保持、先行車が発進した時はドライバー操作により発進し、追従走行が再開される。
新型アクアは大ヒット確実、ライバルのフィットがセールス失速
2020年は、国内の主力Bセグメントハッチバックカーのフルモデルチェンジが相次いだ。前述のヤリスも従来ヴィッツからのフルモデルチェンジに相当する。他メーカーではホンダ・フィット、日産・ノートと新型車が導入されていった。
そんななか、同クラスで新型アクアとヤリスの2モデルをラインアップするトヨタにとって、最大のライバルとなるはずであったホンダ・フィットの販売が低迷している。2021年上半期(1-6月)の実績では、フィットは29,686台しか売れていない。月平均5千台弱の水準に対するフィットに対し、アクアはその約2倍である月販目標台数9,800台という強気な数字を発売段階から打ち出している。
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