フィット4がマイナーチェンジ、2022年10月6日発表
ホンダは、フィット(GR系)をマイナーチェンジし、一部仕様を除き2022年10月7日に発売した。
「フィット」マイナーチェンジの<まとめ><価格表>は、次のページ
今回のマイナーモデルチェンジでは、パワートレインの刷新が大きなテーマとなった。2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」では、モーターの最高出力が高められたと同時に、アクセル応答性が向上された。ガソリン車では、従来1.3L エンジンが廃止され、最新型の1.5L エンジンが採用された。
また、各タイプのデザインはいずれもフェイスリフトが実施されており、それぞれの個性がさらに際立たせられた。さらに、走りの質にこだわった新タイプ「RS」が設定された。
新型フィットに搭載されるパワートレーン
1.5L e:HEVは、モーター出力がアップ
新型フィットでは、日常シーンのほとんどをモーターで走行し、低燃費で滑らかな走りを実現する2モーターハイブリッドシステム「1.5L e:HEV」が搭載される。モーター最高出力が、従来型から10kW(14PS)プラスとなる90kW(123PS)へ向上している。低速域でアクセルを踏み込んだ瞬間から電気自動車のように力強くスムーズに走り出し、気持ち良く伸びる加速感が提供される。
ガソリンモデルは、1.5Lへ排気量アップ
全タイプに新たに1.5L DOHC i-VTECエンジンが採用され、従来型の1.3Lから、排気量アップを果たす。低速域から高速域までトルクフルなパフォーマンスを発揮し、日常のさまざまなシーンでゆとりある走りを楽しむことができる。
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RSが追加、デザイン、走りの質にさらにこだわった
新たなボディタイプとして「RS」が追加された。専用のフロントグリル、フロントバンパー、サイドシルガーニッシュ、リアバンパー、リアスポイラー、アルミホイールの採用で、スポーティーさが強調されたモデルとなる。
また、荒れた路面で車体の揺れを抑えるため、徹底的に性能を突き詰めたRS専用のサスペンションが採用される。ドライバーの操作とクルマの挙動がさまざまなシーンで気持ちよくつながる操る楽しさと、質感の高い爽快な乗り味が両立される。「e:HEV RS」には、アクセルオフ時の減速力を4段階で選択できる減速セレクター、3つのドライブモードスイッチ(NORMAL/SPORT/ECON)が専用装備された。
さらにRSのガソリンモデルも設定され、2022年11月10日の発売 が予定されている。
フィットのマイナーチェンジ、RS追加、パワートレイン刷新、フロント新デザイン(2022年10月)
現行型フィットは2020年にフルモデルチェンジ発売されたモデル。同時期にフルモデルチェンジ発売されたライバル、トヨタ・ヤリスに対し販売台数で負けてきており、モデル中期のテコ入れが待望されてきた。
フィットのマイナーチェンジで「RS」を追加、「NESS」を廃止
2020年発売のフィット4であるが、当初から販売されてきたのが5つのボディタイプ「BASIC」、「HOME」、「NESS」、「CROSSTAR」、「LUXE」であり、さらに2021年6月にはカスタマイズモデルの「Modulo X」を加えている。
2022年10月のマイナーチェンジのタイミングでは、新たにスポーツモデルとして「RS」が加わった。一方で、これまで比較的スポーティなイメージで販売されてきた「NESS」が廃止となった。
これにより、2代目および3代目フィットに設定されていたスポーツグレードのRSグレードが復活することになる。ただし、6速MTの採用は見送られ、ガソリン車はCVTのみの設定となる。また、ハイブリッド車にもRSが用意され「減速セレクター」が専用装備された。

新型フィット、従来ボディタイプBASIC、HOME、LUXE、CROSSTARもフェイスリフトを受ける
新型フィット 標準装備 ホンダセンシング、機能リスト
- 衝突軽減ブレーキ<CMBS>
- 誤発進抑制機能
- 後方誤発進抑制機能
- 近距離衝突軽減ブレーキ
- 歩行者事故低減ステアリング
- 路外逸脱抑制機能
- 渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール<ACC>
- 車線維持支援システム<LKAS>
- 先行車発進お知らせ機能
- 標識認識機能
- オートハイビーム
- ブラインドスポットインフォメーション
- トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)
- 急アクセル抑制機能
- パーキングセンサーシステム
- 後退出庫サポート
フィットのマイナーチェンジでガソリン車は、全て1.5L エンジン搭載となる
「RS」については、ホンダ最新の1.5L NAエンジンであるL15Z型の搭載が、発売前から予想されてきた。従来型フィットのガソリン車では、1.3L NAのL13B型が搭載されてきたから、スポーツモデルの新型「RS」にL15Z型が搭載されるというのは納得できる部分である。
しかし、この1.5Lエンジンの採用は「RS」に留まらず、従来1.3Lエンジンを廃止とすることで「BASIC」、「HOME」、「CROSSTAR」、「LUXE」の全てで採用された。
ホンダの国内向け現行ラインアップでは、L13B型を採用するのはマイナーチェンジ前のフィットのみとなっていた。そのL13B型を搭載する車体の2021年の年間販売台数は、わずか22,846台という実績であった。ホンダは2040年に世界の新車販売の全てをEVとFCVにする計画を発表しており、より目先の2030年では東京都において純ガソリン車の販売ができなくなる。L13B型エンジンの生産を終了させるタイミングに来ているのかもしれない。
フィット4初期生産モデルのホンダセンシングに不具合、リコールに準じた改善対策で無料対応、2022年7月
2022年秋のマイナーチェンジ実施のスケジュールが迫ったフィットであるが、リコールに準じた改善対策が2022年7月21日に届け出された。対象は2020年1月から2021年2月に製造されたフィット 4の117,893台となる。
安全運転支援システム(Honda SENSING)において、フロントワイドビューカメラの起動処理プログラムが不適切なため、車両起動時に当該カメラが起動しないことがあるとのこと。このため、衝突被害軽減ブレーキ等が非作動状態であるにもかかわらず表示灯がオン表示となり、非作動であることを運転者が認知できないおそれがあるとしている。
対象のモデルは約一年半以上前に販売されたフィットに限られている。直近に販売されたモデルは対策済みであることが想定され、マイナーチェンジの計画には大きな影響がなかったと考えられる。
フィットの歴史のなかでも、GR系4代目(2020年2月発売)モデルは不人気、マイナーチェンジで挽回できるのか
ホンダ・フィットの歴史は2001年に発売された初代型(GD系)からスタートした。
センタータンクレイアウトの採用により、特に室内の広さにおいては、同クラス車種のなかでも圧倒的な優位性を誇った。これは大ヒット車種となった大きな要因の一つと言えるだろう。
2001-2002日本カー・オブ・ザ・イヤー、さらに2002RJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。その後、販売から6年が過ぎた2007年6月末の段階で、世界累計200万台の販売を達成している。
輝かしい販売実績の一方で、トランスミッションのCVTでは、ジャダー発生のトラブルが相次いだ。これは根本的な技術解決に至らず、後継モデル開発での課題となった。
フィット2代目 GE系は人気も品質も安定、さらにハイブリッドを追加
2代目フィット(GE系)は2007年にフルモデルチェンジ発売された。大ヒット車種の後継モデルだけに、室内パッケージングを重視した設計は変えられず、エクステリアデザインについてもキープコンセプトとなった。
初代GD系で課題となっていたトランスミッションは、FF車には引き続き燃費性能に優れたCVTが搭載されたが、クラッチ部分でトルクコンバーターを採用した新開発機構となる。さらに、4WD車は5速ATを採用することで、問題は根本的に解消された。
さらに、2010年10年のマイナーモデルチェンジでは、フィット ハイブリッドが追加される。
フィット3代目 GK系は販売台数が低下、軽自動車シフトには逆らえなかった
2013年には、3代目フィット(GK系)にフルモデルチェンジを受ける。ボディが大型化され、エクステリアはホンダのファミリーフェイスの流れを汲んだデザインとなった。
この頃には、ホンダの新型軽自動車、N-BOXが大ヒットとなっており、国内のコンパクトカー市場は軽自動車へのシフトが明確となっていた。Bセグメントカーのフィットが販売台数を大きく減らしていったのもこの時代からとなる。
フィット4代目 GR系は製品コンセプトが時代に合わず、ヤリスにセールス惨敗
そして、2020年2月に発売された、現行型フィット(GR系)は同時期にフルモデルチェンジされたトヨタ・ヤリスとの対決姿勢を打ち出したモデルとなった。
フィットはセンタータンクレイアウトを継続し、室内空間と使い勝手を重視した設計思想を変えなかった。ただし、これはN-BOXなど軽トールワゴン車に対して、コスト面で優位性を持つことが難しくなった。
一方でヤリスは、ホールド性のあるタイトなシート、レバー式サイドブレーキなどドライバーズカーの要素が強調された。また、専用デザインのクロスオーバーSUVモデルを設定するなど、フィットや軽トールワゴン車には無い価値を提供することに成功した。
販売台数はフィットが惨敗することになり、フェイスリフトやスポーツグレード「RS」の追加といったテコ入れが求められる状況となっている。
フィット4が不人気、マイナーモデルチェンジで早めのリフレッシュが期待されてきた
ホンダの現行型フィットは、2020年2月に発売されたGR型の4代目モデルである。
東京オートサロン2022で出品されたフィットをベースしたカスタマイズモデルは、フィット クロスターのみであった。
フィットRSの発売を予感させるスポーツイメージの強いカスタマイズモデルは出品されなかったが、2022年10月7日に発売となった。
フィットの2021年販売台数は58,780台
不人気と言われるフィット4であるが、フルモデルチェンジ直後の受注増から一段落した2021年の販売台数は、フィットが58,780台に対し、ヤリスが212,927台となっており、同時期にフルモデルチェンジ発売された競合車種から、大きな差をつけられている。
その後フルモデルチェンジされた、他のBセグメントハッチバック勢も、日産・ノート(90,177台)、トヨタ・アクア(72,495台)となっており、やはりフィットのセールスが良くないのがわかる。

フィット4に、20周年の特別仕様車とModulo Xが発売、フルモデルチェンジ後の初改良、2021年6月
フィット4としては初の改良が施され、2021年6月4日に発売された。さらに、20周年特別仕様車「CASA(カーサ)」と「MAISON(メゾン)」、そして「FIT e:HEV Modulo X」も同日に発売となった。
一部改良は、ホンダコネクトの改良にとどまる
一部改良については、車載通信モジュールのホンダコネクトの機能追加に留められた。月額基本パック550円からのサブスクリプションサービス、ホンダ トータルケア プレミアムで、ナビゲーションシステムの自動地図更新サービスが加わった。
家系フィット、「カーサ」「メゾン」は通常「HOME」がベース
そして、フィットの販売20周年を記念する特別仕様車として、カーサとメゾンの2モデルが発売された。
これらは通常モデルのHOMEをベースに、専用デザインされたインテリアが特徴となる。つまり、英語のHOME(家)に対する、スペイン語のCASA、フランス語のMAISONということである。カーサはレッドステッチをアクセントとした専用シート、そしてメゾンには上品さとしなやかさを感じさせるグレー×ベージュの専用シートが与えられた。
他の装備では、いずれのモデルも運転席&助手席シートヒーター、アームレスト付きセンターコンソールボックス、ブラック塗装の電動格納式リモコンドアミラー、ブラッククリア塗装16インチアルミホイールなどが標準化された。
ガソリン車は191万7300円から、ハイブリッド車のe:HEVは226万7100円から用意された。
FIT Modulo Xが市販化、発売に
「FIT e:HEV Modulo X」は、東京オートサロン2020でコンセプトカーが公開されていたモデルである。フィット4のフルモデルチェンジ発売当初から話題にはなっていたものの、市販化が遅くなった。
FIT Modulo Xは「実効空力」デバイスとして専用バンパーと専用エアロパーツが装備される。「実効」というだけあって、ドライバーが体感できる程度にまでダウンフォースが効き、ステアリング操作や直進安定性が改善された。
またフロントグリルに専用デザインを採用するのも特徴である。標準フィットのフロントマスクが気に入らないというユーザーの選択肢となる。
パワートレインはe:HEVのFFのみの設定で、車両価格286万6600円となった。

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