現行型ルーミーは、2016年より販売され、モデル末期を迎えている。これまで好調な販売を維持してきたが、製造元のダイハツでは2023年4月の海外向け車種の側面衝突試験での不正に続き、5月になっても国内向けロッキー/ライズにおいてポール側面衝突試験での不正が発覚した。これらの影響で、現行型ルーミーの5月以降の販売減が予想される。多くのバックオーダーを抱えるなか、今後の成り行きによっては、ルーミーのフルモデルチェンジの時期に影響を与える可能性があり、注意して見ていく必要がある。
トヨタは、ルーミーの2023年5月23日時点の工場出荷時期として、4~5ヶ月程度と公表しており、先月よりも約1ヶ月、納期が延びている。
「ルーミー」モデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
新型ルーミーへのフルモデルチェンジは2023年度後半の予想
トヨタの小型トールワゴン車、「ルーミー」のフルモデルチェンジ時期は、2023年度後半が予想される。これから初夏を迎えるタイミングで、オーダーストップとなれば、フルモデルチェンジに向けた販売調整と考えて良さそう。
ダイハツでは、登録車のラインアップ再編が計画されており、ルーミー、トール以外の車種にも大きな動きがある。2024年度には「ロッキースペース」、「ライズスペース」としてSUV派生モデルの市場投入が想定される。また、これまで販売されてきたAセグメントハッチバックのパッソ、ブーンは廃止される見込みとなっている。
また、度重なる不正の発覚は、早速、新車投入スケジュールに影響を与えている。軽自動車ムーヴのフルモデルチェンジにおいては、2023年5月10日にティザーキャンペーンと予約受注受付スタートが予定されていたが、自粛のため延期の措置が取られた。
「ルーミー」モデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
ルーミーにDNGA導入のフルモデルチェンジへ
ダイハツでは、DNGAプラットフォーム導入によるラインアップの一新が進行中となっている。「ルーミー/トール」のフルモデルチェンジ時期については、確定情報ではないものの、2023年11月という噂もあり、10月開催のジャパンモビリティショーでの登場も期待される。
ダイハツは、2025年までに、DNGA採用の新型車種を多数投入していくことを予告していた。国内で販売台数が多い、ルーミーも対象車種の中に含まれるはず。ボディ骨格の弱さから来る騒音や振動は、従来型ルーミーの弱点と評価されるケースも多かったため、商品力アップが期待される。
ルーミーに施された直近の一部改良では、2022年9月に装備面での小変更と、車両本体価格1万円の値上げがあった。しかし、フェイスリフトなどは行われていない。このタイミングで、大掛かりなテコ入れがあると、フルモデルチェンジ時期の大幅な延期を疑う必要があったが、これには及ばないだろう。
「ルーミー」モデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
ルーミーのフルモデルチェンジが近くてもセールスは好調
販売台数を見てみると、ルーミーはモデル末期ながらも好調となっている。2022年度(4月~3月)において、ルーミーは99,307台の販売を達成し、これは軽自動車除く乗用車で第4位という結果であった。製造元であるダイハツの姉妹車種「トール」が12,017台、ライバルのスズキ「ソリオ」が47,473台というなか、トヨタブランドが販売力で底力を見せつけた。
「ルーミー」モデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
新型ルーミーへのフルモデルチェンジで採用期待、シリーズ式ハイブリッド「e-SMART HYBRID」
そして、2023年後半という発売時期を考えると、電動化についても避けては通れない。次期ルーミーには、シリーズ式ハイブリッドの「e-SMART HYBRID」搭載モデルの設定が予想される。低価格モデルゆえに、まだBEVモデルの設定は難しく、2030年度燃費基準を達成する手段として「e-SMART HYBRID」の採用が現実的と考えられる。

新型ルーミー、ハイブリッドだけでなく、低価格なガソリン車の設定も予想される
「ルーミー」モデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
ルーミー、現行型で最後となる一部改良を2022年9月1日実施
トヨタのコンパクトワゴン、ルーミーが一部改良を受けて、2022年9月に新型が発売された。この一部改良に向けて受注受付が停止されていたが、新規オーダー受付が再開している。
ルーミーの一部改良は公式発表なし、1万円の値上げ
グレード | 駆動方式 | 消費税込み車両本体価格 | 差額 | |
新価格(円) | 旧価格(円) | |||
X | FF | 1,566,500 | 1,556,500 | 10,000 |
G | FF | 1,753,500 | 1,743,500 | 10,000 |
G-T | FF | 1,874,500 | 1,864,500 | 10,000 |
カスタムG | FF | 1,924,000 | 1,914,000 | 10,000 |
カスタムG-T | FF | 2,056,000 | 2,046,000 | 10,000 |
X | 4WD | 1,742,500 | 1,732,500 | 10,000 |
G | 4WD | 1,929,500 | 1,919,500 | 10,000 |
カスタムG | 4WD | 2,100,000 | 2,090,000 | 10,000 |
一部改良の内容は、法規対応が主な内容となり、新たな内外装デザインの導入などは無し。値上げも実施されたが、その幅は1万円と小さく抑えられた。装備面では「コンフォートパッケージ」にナノイーXが追加される。
この他、選択可能なボディカラーにも変更がある。
「ルーミー」モデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
新型ルーミー、一部改良によるボディカラーラインアップ
- レーザーブルークリスタルシャイン
- ターコイズブルーマイカメタリック
- クールバイオレットクリスタルシャイン
- プラムブラウンクリスタルマイカ
- ファイアークォーツレッドメタリック
- ブライトシルバーメタリック
- パールホワイトⅢ
- ブラックマイカメタリック
- (ツートーン)ブラックマイカメタリック×ファイアークォーツレッドメタリック
- (ツートーン)ブラックマイカメタリック×パールホワイトⅢ
廃止されたボディカラー
- ブリリアントカッパークリスタルマイカ
- ブラックマイカ×ブリリアントカッパークリスタルマイカ(2トーン)
「ルーミー」モデルチェンジの<まとめ>は、次のページ

ルーミーのフルモデルチェンジいつ?2023年度後半が予想される
現行型ルーミー(M900A/M910A型)は、2016年に発売された。姉妹車種として同じトヨタから「タンク」、OEM製造元のダイハツから「トール」、さらにスバル「ジャスティ」の4車種がラインアップされた。その後、2018年の一部改良では安全運転支援システムが強化され、スマートアシストⅢが採用された。
その後2020年9月に、マイナーモデルチェンジでフェイスリフトを受けて後期型となった。なお、この後期型からは姉妹モデルの一つ、タンクが廃止となっている。後期型の販売期間は3年程度が想定される。
また、トヨタのラインアップでは、ルーミーより一回り大きいシエンタが2022年8月にフルモデルチェンジを受けて新型となった。ルーミーは2列シート車のみで、シエンタには3列シート車が用意されるという大きな違いがあるが、同じ時期に2種類の小型ワゴン車を発売させるとは考えにくい。こういった見方からも、ルーミーのフルモデルチェンジは、早くとも2023年の後半以降になることが予想されてきた。


次期ルーミーはDNGAプラットフォームを採用
次期ルーミーもダイハツ生産のOEMモデルとなる。ダイハツでは、DNGAプラットフォームをベースにした新型車を今後2025年までに15ボディタイプ、21車種を展開していく計画となっている。
なかでも、ルーミーは登録車クラスで販売台数も多く、DNGA導入の新型を期待する声が大きい。
DNGAプラットフォームは、登録車ではコンパクトSUVのダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズで先行導入されてきた。「e-SMART HYBRID」も2021年11月から両モデルへの採用がスタートしたばかりで、今後の採用車種拡大に期待がかかる。ルーミーへの「e-SMART HYBRID」搭載も予想される。
ルーミーが2022年販売台数4位、フルモデルチェンジ前でも販売好調
2022年(1-12月)の車名別販売台数のデータによると。
- トヨタ・ヤリス(168,557台)
- トヨタ・カローラ(131,548台)
- 日産・ノート(110,113台)
- トヨタ・ルーミー(109,236台)
- トヨタ・ライズ(83,620台)

ルーミーが売れる理由、フルモデルチェンジはまだ先
2022年の販売台数ランキングで4位となったのがトヨタ・ルーミーである。
前年2021年の2位からランクダウンしたものの、ルーミーは今のユーザーニーズを上手く捉えることができていると考える。
ルーミーは5人乗りのスーパーハイトワゴン車で、ボディサイズは全長3700mm×全幅1670mm×全高1735mm、ホイールベース2490mmとなる。電動化ニーズが高まるなかではあるが、ルーミーに用意されたエンジンは1.0LのNAとターボの2種類に限られる。
低価格な1.0L NAエンジンは1KR-FE型で、最高出力51 kW (69 PS) 、最大トルク92 N・m (9.4 kgf・m)となり、車体の大きさの割にはやや非力な仕様である。しかし、エントリー価格156万6500円を実現しているのは魅力的。
また、出力性能に余裕がある1.0Lターボの1KR-VET型搭載車は、最高出力72kW (98PS)、最大トルク140N・m (14.3kgf・m)となり、車両価格187万4500円からとなる。

軽自動車ランキングでは各社スーパーハイトワゴンが上位を独占
一方で、軽自動車の販売台数ランキングを見てみると、ルーミーが人気化しているのも納得がいく。
軽自動車部門での1位はホンダ・N-BOXで、これもフルモデルチェンジが2017年に実施された、さほど新しくないモデルである。続いてスズキ・スペーシア、ダイハツ・タントとなっており、いずれもスーパーハイトワゴンのモデルで上位を独占している。
今、求められるクルマは、コンパクト、広い室内、スライドドア、低価格といった特徴を持っている。
ルーミーは、人気の軽スーパーハイトワゴンよりも一回り大きい、というポジションを獲得し販売台数を伸ばした。
自動車リサーチ 記事リスト | |
---|---|