トヨタでは16代目新型クラウンのフルモデルチェンジに向けた準備が進行中となっている。既に販売店では、従来型220系クラウンのオーダー受付は終了している。
次期クラウンでは複数のボディタイプが検討されてきたが、なかでも「通常セダン」は発売時期が2022年夏と迫っている。また、SUVボディの「クラウンクロス」についても、より詳細な情報がリークされつつある段階に来ており、後追いで発売される可能性がある。

新型クラウン フルモデルチェンジ、まずはFF化されたセダンが2022年夏に発売
16代目新型クラウンとして先行発売されるのは「セダン」ボディとなる。2022年5月にもフルモデルチェンジ発売となる見込みであったが、これは延期されたと考えたほうが良さそう。それでも発売時期は迫っており、2022年夏のデビューが予想される。
このセダンについては国内だけでなく、北米販売も予定されており2022年10月の発売がスケジュールされている。国内向け、北米向けのいずれのモデルも、日本生産される計画で、トヨタは新型クラウンにおいて円安ドル高による為替メリットを享受することになりそうだ。
クラウン クロスは、セダンのフルモデルチェンジから1年遅れで発売、外装デザインはEVコンセプトカーで公開済みの可能性
そして、SUV化された別ボディの新型「クラウンクロス」については未確定な部分が多いが、セダン登場から約1年遅れとなる2023年頃に発売が予想される。クラウンクロスも日本だけでなく、中国、北米で販売されることになりそう。
パワートレインラインアップは、「ハイブリッド、プラグインハイブリッド、BEV」の3種類となる見込み。なかでもハイブリッドモデルが先行して発売され、特に国内向けにはプラグインハイブリッドも用意される。
残るクラウンクロス BEVの発売時期については、2024年頃が見込まれる。トヨタは2021年12月に、15モデルのEVコンセプトカーを発表していた。その中の1つ「Crossover EV」は、BEV版も用意されるクラウンクロスのデザインスタディモデルであった可能性がある。


次期クラウンはFFレイアウト、従来型価格レンジの据え置きが期待される
新型クラウンのフルモデルチェンジは2022年夏予想、一部改良予定車種に含まれず
トヨタは、現行販売車種に対する2022年の一部改良を予定している。半導体不足で納期が長くなっていることから、早くも一部改良を予定している車種の受注を一旦停止させ、その後、改良済みモデルに販売を切り替えていく動きが出ている。
そんななか、クラウンは一部改良予定モデルの中に含まれていない。つまり、予想されていた通り、2022年夏頃にフルモデルチェンジされる可能性が高まった。
特にクラウンに関しては、「発売日ありき」の車種であることも重要なポイントである。FF化を受け入れてまで、モデルネームを存続させる意義の一つは、クラウン新型投入の度に乗り換えてくれるユーザーニーズに応えることである。現行型は2018年発売の15代目モデルであり、これが古くならないタイミングでトヨタは次期型を提供する必要がある。
クラウンは67年の歴史、平均4年半の周期でフルモデルチェンジ
クラウンの歴史は1955年発売の初代モデルが原点となっている。
2022年は既に、15代目モデルのオーダー受付が終了している。この間の67年を、平均で4年半の周期でフルモデルチェンジしてきた。
フルモデルチェンジ後のクラウンは、複数のボディタイプが設定される
現行クラウンは2018年に発売された15代目モデル(220系)である。その一つ前の14代目(210系)モデルでは、スポーティーな「クラウン アスリート」と、コンサバティブな「クラウン ロイヤル」の2種類が別顔で設定されていた。
新型クラウンでも、エクステリア違いのボディタイプが複数設定される見込み。
これらは、従来コンセプトを踏襲するセダン「クラウン」の発売が確定的で、もう一つはクロスオーバーの「クラウン クロス」である可能性が高い。
通常セダンの「クラウン」は、4ドアクーペ調のボディスタイルでが採用され、トランクルームの存在を感じさせない新しいイメージのセダンとなる。これまでのプレミアムセダンのニーズを引き継ぐモデルとして販売の主力となるはず。


クラウンはフルモデルチェンジで、TNGA(GA-K)採用、パワートレインはレクサスNXがヒント
次期クラウンは遂にFFレイアウトが採用され、TNGA(GA-K)プラットフォーム車種の一つとなる。
これまでにGA-Kプラットフォームを採用してきたモデルは、カムリ、RAV4、ハリアーといったあたり。さらにプレミアムセダンとしてレクサスESでも導入例があり、エンジン横置きのFFレイアウトとはいえ、プレミアム車種にも使われてきたポテンシャルの高さを持つ。
2021年11月には、GA-Kプラットフォームの最新モデルとしてレクサスNXが日本発売されていたが、次期クラウンに搭載されるパワートレインのいくらかが共通化されることが予想される。
なかでもNX350は、新開発の2.4Lターボ(T24A-FTS型)が搭載される。最新のダイナミックフォース世代の技術を使った直列4気筒ガソリンターボエンジンで、最高出力279PS、最大トルク43.8kgmfのパフォーマンスとなる。このエンジンは次期クラウンへの搭載が予想され、駆動方式をAWDのみとし、走行性能、走破性に拘ったモデルとなるかもしれない。
また、NX350hに搭載される2.5L ハイブリッド(A25A-FXS型)も次期クラウンへの採用が予想され、こちらが販売の主力となるはず。A25A-FXS型エンジンは、見方を変えれば、現行クラウンからの継続採用ということになるが、FFレイアウト採用によりエンジン搭載方向は縦置きから横置きに変更される。駆動方式はE-Fourがグレードのメインとなりそうだが、燃費性能を重視した2WDモデル、つまりFF車の設定も可能性の一つとして考えられる。もしそうなれば、名実ともに「クラウンのFF化」が実施され、ある意味で象徴的なモデルとなるかもしれない。
クラウンのフルモデルチェンジで期待される自動運転技術に期待
FFレイアウトのGA-Kプラットフォーム採用ということで、特にセダンはクラウンを名乗るには凡庸なイメージとなりそうだ。しかし、もはやそこはユーザーの興味するところではないはず。
次期クラウンで期待されるのが、自動運転に関する何らかの最新技術である。
ホンダはフラグシップセダンのレジェンドで世界初の自動運転レベル3搭載車を少数台数ながらも市販化させている。自動運転技術において、このレジェンドを上回る実績をクラウンで示すことができれば、プラットフォームレイアウトの違いなどは些細な問題ではないか。

