2010/12に登場した新型ヴィッツのレビュー
1999年に初代ヴィッツがデビューし、2005年に二代目となるフルモデルチェンジ、さらに2010/12に三代目としてフルモデルチェンジを果たした、新型ヴィッツをレビューしてみる。
エクステリアでは、縦型のヘッドランプから横型に変わったのが大きな印象の違いだ。
インテリア面では、センターメーターが運転席側に移動したのもポイントである。
これまでのコンパクトカーは女性向だったが、新しいヴィッツは大きな車を乗っていた男性のダウンサイジングの受け皿という側面も併せ持つ必要がでてきた。
女性が乗っても男性が乗っても受け入れられる、ユニセックスなデザイン要求があり、今回のエクステリア、インテリアデザインとなった。
ボディサイズ
全長は100mm伸びた。内訳はホイールベースが50mm延長、残りの50mmはデザインの部分で使われている。
コンパクトカーというのは、車体サイズに対する有効スペースをとことん突き詰めるのがこれまでの流れだ。
それが、デザインに対してもリソースを使うようになってきた。
ヴィッツに対して求められるものも変わってきたという印象だ。
グレード構成
新型ヴィッツは4つのグレードが用意されている。
まずは、ベーシックグレードの「F」、そして装備が充実した「U」(内外装の質感が高められている。)、3つ目はスポーティーグレードの「RS」(5MTの選択が可能で、走りを感じさせるエクステリアをもつ。)、4つ目は女性向けグレードの「Jewela(ジュエラ)」(従来からの女性ヴィッツファンのニーズにマッチさせた。)
インテリア
まず、これまでの2代目ヴィッツと大きく違うのが、メーター類がハンドル前に来たことだ。
先代のヴィッツの時代までは、ある意味センターメーターが先進的デザインの象徴にも感じたが、今回の新型ヴィッツではメーター類はハンドルの奥という、本来あるべき位置に戻った。
センターメーターはそもそも、コストダウンに有利という理由で設定されてきた背景がある。左右対称デザインは世界の左ハンドル、右ハンドルの地域差を問わず、共通パーツで生産できるため、作り手として都合のいいものであった。
今回の新型ヴィッツはドライバーとしての満足感を優先させ、ハンドル奥の位置にメーター類が戻っている。
左右非対称で、曲線、曲面を多用した造形に凝ったフロントパネルは、上質感のある仕上がりになっている。
プラスチックのシボパターンにも拘りを感じる。表面の凹凸が均一ではなく、凹凸の目の粗さにはグラデーションパターンのような滑らかな変化が与えられている。
トランク・ラゲッジスペース
新型ヴィッツのラゲッジスペースを先代のそれと比較すると、274Lから286Lと少し増えた。
奥行きに関しては、先代比で145mmも拡大した。この広さならファーストカーとして使える、と考える人が増えるだろう。
フロアパネルで上下2層に仕切って使うことが出来るのも使いやすい。パネルで上下に分けるタイプのラゲッジルームは、下段の容量が小さなものが多いが、新型ヴィッツは下段も大きな容量が確保されていて使いやすい。
フロアパネルを上段に設定した時の高さと、リアシートを前に倒した時の高さが同じなので、フルフラットの広い荷室空間にすることも可能だ。
Jewela(ジュエラ)
ユニセックスな要素を従来よりも多く取り入れた新型ヴィッツではあるが、女性ユーザーのニーズもしっかり取り入れたい。
女性向けグレードジュエラは、ちょっとこだわりのある女性からも支持を得やすいように工夫がされている。
例えば、ボディカラーには専用色として、赤ピンク系のチェリーパールクリスタルシャイン、みどり系のグリーンマイカメタリックが用意された。
ジュエラにアイドリングストップは付かない
現在のジュエラグレードにはスマートストップというアイドリングストップ機能は付いていない。
スマートストップは「F」の一部グレードのみの設定となる。
スマートストップを始めとするアイドリングストップ機能は、まだまだ割に合わないシステムだと個人的には考えている。
そもそもアイドリング時の燃料消費はそれほど大きいものではなく、それをゼロにしたところで燃費改善効果は微々たるものだ。
アイドリングストップシステムを持てば、通常よりも高価な大型バッテリーの装備を維持していくことが必要だ。
さらに、アイドリングストップによりエンジンが停止している間は、エアコンが作動せずに単なる送風になる。
現在のアイドリングストップシステムは、まだまだ発展途上で、燃費削減のメリットよりもデメリットの方が大きい装備だと考えている。
ジュエラの購入を検討する人にとって、アイドリングストップシステムが無いことをマイナスの判断材料にする必要はほとんどないだろう。