ダイハツでは、ムーヴのフルモデルチェンジに向けた準備が進められている。本来なら、既に発売されているはずであったが、試験不正、大規模リコール、部品仕入先の火災などの対応のためスケジュールが大幅遅延している。2023年内の発売すら疑わしい状況となっている。
そして、従来型ムーヴについては、販売を終了させており、遂に公式ホームページでの掲載が終了した。
いよいよ新型ムーヴの登場かと思いきや、現在のところ、そういった情報は無し。2023年5月頃に、一部ユーザーに配布されたリーフレットのみが、新型ムーヴに関する公式な情報となっている。

新型ムーヴの案内チラシ(画像提供 @copen125様)
新型ムーヴの商品内容では、後席スライドドアの採用といった、これまでのコンセプトを大きく覆すものも含まれている。一方、期待された軽自動車向けe-SMART HYBRIDは採用が見送りとなっていた。
一部のメディアでは、新型ムーヴの2024年発売という大幅な延期を報じるものもある。その前に、2023年10月25日のジャパンモビリティショーで、新型ムーヴが出品されるかどうかが、焦点となりそう。
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フルモデルチェンジによる新型ムーヴの仕様はこうなる
新型ムーヴは、スライドドアを装備し、従来からの商品コンセプトを大きく変えてくる。ボディサイズは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mmとなる見込みで、全高は従来型1630mmから新型は+25mmとなる。2022年に先行してフルモデルチェンジを受けたムーヴキャンバスの別エクステリア版と見ることもできるだろう。
全高方向への拡大やスライドドアの装備などにより、車体重量は50kg程度の増加が予想される。それでもWLTCモードによる燃費性能は、D-CVTの採用などにより従来モデル比で向上し、NA 2WD車が22.6km/L、ターボ 2WD車が21.5km/Lに仕上げられる見込み。期待されていたe-SMART HYBRIDは、少なくともフルモデルチェンジ初期モデルには用意されておらず、モデル中期からの追加が期待される。
新型ムーヴの推定価格と予想グレード表は、以下の通り。
グレード | 推定価格(万円) | AAC&電動パーキングブレーキ | エンジン | スライドドア標準設定 | ||
FF | 4WD | 助手席側 | 運転席側 | |||
RS | 180~182 | 192~194 | 標準 | ターボ | 電動 | 電動 |
G | 162~164 | 175~177 | オプション | NA | 電動 | 手動 |
X | 141~143 | 154~156 | – | |||
L | 128~130 | 141~143 | 手動 | 手動 |
スライドドアを装備しながらも、ムーヴキャンバスよりも低価格を実現していることも商品の魅力の一つとなっている。ただし、最安Lグレードのスライドドアは、標準では電動式が採用されていないので注意が必要。また、電動スライドドアは、標準採用されていない一部グレードでもオプションでの追加設定が用意されることが予想される。
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新型ムーヴ、ティザー公開の日程が延期、衝突試験不正の自粛のため
新型ムーヴへのフルモデルチェンジについては、一部ユーザ向けに案内リーフレットの配布が行われているようで、これによると両側スライドドアの装備が確認できる。

新型ムーヴの案内チラシ(画像提供 @copen125様)
エクステリアは、従来ムーヴ カスタムのデザインコンセプトを継承する、スポーティな顔つきが採用されており、老若男女を問わず選ばれることになりそう。
FF車の価格では、消費税込み120万円台後半の「Lグレード」の設定があるようで、コストアップとなるスライドドアを装備しながらも、「ムーヴキャンバス Lグレード」のエントリー価格1,463,000円を大幅に下回るグレードが設定される。ただし、Lグレードのスライドドアは助手席側含め手動式であることが想定される。
装備充実で売れ筋となりそうな「Xグレード」は140万円を少し超えたあたりで、これも「ムーヴキャンバス Xグレード」1,496,000円よりも安くなりそう。このほか、上級装備の「Gグレード」165万円前後、ターボの「RS」は180万円を少し超えて設定され、いずれもムーヴキャンバスで相当するグレードよりも安く設定される。
なお、価格帯画像の下段は4WD車を示している。従来カスタムに相当する上級エクステリアや、ハイブリッド車は発売初期モデルには設定されない見込み。
リーフレットには、ティザーサイトのURLが記載されているが、現在のところ404エラーとなる。ttps://www.daihatsu.co.jp/lineup/move/special/teaser/
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新型ムーヴ、実質的にはムーヴキャンバスから派生したベーシック車種に
新型ムーヴは、1995年の初代モデルから数えて、7代目となる。新型では、これまでの商品コンセプトが大きく変更され、従来の後席ヒンジドアを廃止し、両側スライドドアが装備される。
実質的には、2022年に先行してフルモデルチェンジを受けたキャンバスの派生車種という見方もできる。これに伴い、別エクステリアの上級モデルとして設定されてきたカスタムも廃止となっていることが想定される。
既に丸目ヘッドランプのキャンバスで、「ストライプス」、「セオリー」の2種類のイメージでラインアップされているが、ここに「新型ムーヴ」としてベーシックでスポーティなエクステリアを採用した別デザインのモデルが一つ加わるというのが、フルモデルチェンジの実質的な内容となりそう。
ヒンジドア装備の従来コンセプトモデルは、後継車種が設定されないと予想され、6代目ムーヴを以って終了ということになる。
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ムーヴ ハイブリッド、e-SMART HYBRID搭載車は遅れそう
新型ムーヴは、e-SMART HYBRIDの搭載が期待されていたが、フルモデルチェンジのタイミングでは採用されない見込み。
e-SMART ハイブリッドは、ダイハツが独自に開発するシリーズ式ハイブリッドで、既に、1.2Lエンジン仕様がコンパクトSUVのロッキー/トヨタ・ライズで採用され販売されている。
e-SMART ハイブリッドには、排気量660cc未満の発電エンジンを搭載する、軽自動車向けが存在することが明らかとなっていたが、その初搭載車種は新型「ムーヴ」になるのではという予想もあった。
2022年10月に日刊自動車新聞が報じた内容は、「2023年秋にダイハツから軽HVが発売される」というものであった。これは、「ムーヴ」のフルモデルチェンジ時期と近い。「新型ムーヴ e-SMART HYBRID」は2023年10月開催予定のジャパンモビリティショーへの出品も期待される。
新型7代目となる「ムーヴ」のフルモデルチェンジで採用が期待される新技術は、「軽自動車向けe-SMART HYBRID」のほかに「DNGAプラットフォーム」、「D-CVT」なども挙げられる。
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遂に従来型6代目ムーヴ生産終了、姉妹車種と派生車種は先行して販売終了していた
従来型6代目ムーヴが生産終了となったが、姉妹車種、派生車種については先行して生産終了、販売終了が発表されていた。
スバルブランドから販売されてきたムーヴの姉妹車種ステラは、既に生産終了が発表されており、在庫販売を以って現行型モデル全ての販売が終了が告知されていた。
また、ムーヴがベースの派生車種、キャスト スタイルは2023年6月上旬に生産終了すると告知されていた。
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新型ムーヴよりもルーミーのフルモデルチェンジを優先か
ダイハツでは試験不正、大規模リコールに次ぐ、新たな問題として、2023年6月18日に仕入先が火災に遭った。これによる部品欠品のため国内完成車工場の稼働を一部停止させていた。これも7月10日より順次、操業が再開された。
そして、火災による部品欠品の対応では、ダイハツの各モデルに対する姿勢も表面化した。ムーヴについては、ちょうど生産が行われていない時期であったが、ダイハツの多くの車種の生産が停止された。
そのなかでも、トールと姉妹車種のトヨタ・ルーミーについては、生産停止の対象車種とはならなかった。これについては、部品の共通化が多くの車種間で行われるなか、たまたまトールとルーミーの部品が火災による影響を免れることができたのか。あるいは、在庫部品がルーミーに優先的に供給され、親会社のトヨタへの納品を遅らせたくなかったのかは不明。いずれにせよ、トヨタが発表する注文からの工場出荷時期によれば、今回の火災の影響で、ルーミーの納期が長期化するという状況にはならなかった。
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ムーブのフルモデルチェンジ、延期2023年6月19日発売は実現せず、大幅再延期の可能性
フルモデルチェンジを遂げた新型ムーヴはスライドドア採用という大きな進化が盛り込まれる。リーフレットも配布され発売間近というところまで漕ぎ着けていたが未だ発売の目処は立っていない。
フルモデルチェンジのスケジュールについては、当初計画されていたのが、2023年5月10日のティザーキャンペーン開始というものであった。しかしダイハツは、4月28日に海外向け車種の側面衝突試験不正に関する謝罪を行い、これによる自粛のため最初の延期が実施された。

新型ムーヴの案内チラシ(画像提供 @copen125様)
しかし、一部の顧客に向けた新型ムーヴを案内するリーフレットについては発送が手配されたままとなっていたようで、その内容は公に知られるものとなった。新型ムーヴのエクステリアはもとより、後席スライドドアが装備されることや価格帯までもが明らかとなった。また、フルモデルチェンジで期待されていた、軽自動車向けハイブリッドが用意されないことも判明した。
その後、ダイハツにおいては国内向けモデルの法令違反が発覚した。「ロッキー/トヨタ・ライズ」のハイブリッドモデルにおいて、ポール側面衝突試験の報告に虚偽があるというものであった。これについては、その後の社内試験により、実際の品質、安全性には問題が無かったことを5月26日に発表している。
そして、同日5月26日付けで、ダイハツは14.7万台規模のリコールを届け出てた。これには、令和元年に製作したムーヴの一部も含まれている。ムーヴ、キャスト、ミラ イース、ミラ トコット、タント、ウェイク、ハイゼット キャディー、ムーヴ キャンバス、コペン、ハイゼット トラックのリコールについて(届出番号 5321)
この大規模リコールによる対応が、新型ムーヴの6月19日発売スケジュールを再延期させる直接的な原因となっていたようである。
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新型ムーヴへのフルモデルチェンジ、実質キャンバスのデザイン違い派生車種を想定
2022年のダイハツでは、ムーヴの派生モデルである「ムーヴ キャンバス」が先行してフルモデルチェンジされるという番狂わせがあった。その理由は、ヒンジドアを装備する従来コンセプトによるムーヴの終了と考えることができそう。
ムーヴシリーズは、スライドドア装備モデルが本流として、継続されることになる。
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ムーヴはフルモデルチェンジでe-SMART HYBRIDの搭載が期待されるが、初期モデルでは採用無し
ダイハツはシリーズ式ハイブリッドのe-SMART HYBRIDを軽自動車へ導入する方針でいる。e-SMART HYBRIDは、これまで1.2Lエンジン版が登録車のロッキーに搭載されてきたが、さらに発電エンジンの排気量が660cc未満の軽自動車向けがあることが明らかとなっている。
その最初の搭載モデルは、2023年のフルモデルチェンジが予想されるムーヴであることが期待される。ただし、ミライースの後継モデルも初搭載モデルとして有力な候補となっている。
次期ムーヴへのD-CVTの採用は、ターボ車に限られる可能性
新型ムーヴがフルモデルチェンジを果たす2023年という発売時期を考えた場合、従来的なコンベンショナルガソリンエンジン車の採用継続も予想される。この場合、トランスミッションとしては遊星ギア式動力分割機構を備えた金属ベルト式CVTの「D-CVT」の採用が期待される。
フルモデルチェンジを果たした新型キャンバスおよびタフトでは、コストが重視された結果、「D-CVT」の採用はターボエンジン車に留まった。一方で、2019年7月にフルモデルチェンジ発売された新型タントでは、NA車、ターボ車を含めて全車に「D-CVT」が採用されている。このあたりの採用実績から、NAエンジンを搭載する軽自動車への「D-CVT」の導入は、車体重量の重いモデルに限定しているようだ。次期ムーヴへの「D-CVT」導入も、ターボ車のみに限られる可能性がある。
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ムーヴよりも先にフルモデルチェンジされたムーヴキャンバス
かつての「ムーヴ」は、セールス実績の面からもダイハツを代表する軽自動車モデルであった。しかし、軽自動車セグメントを取り巻くニーズは変化しつつあり、近年では、スライドドアを装備したモデルが、ブランドを問わず販売の中心となっている。ムーヴ シリーズでも、スライドドア装備の派生車種「ムーヴ キャンバス」がラインアップされており、2022年は本家の「ムーヴ」を差し置いて、2代目へのフルモデルチェンジが実施された。これは、ヒンジドアを採用してきた従来型ムーヴの重要度が、相対的に下がっていることを感じさせるものであった。
一方で、6代目ムーヴの価格ラインナップを見てみると、エントリーモデルは 113万5200円で用意されている。「ムーヴ キャンバス」のエントリー価格 149万6000円との差は大きい。こういった価格面でのメリットもあってか、ムーヴの販売台数はモデル末期でありながらも堅調に推移してきた。価格の面からは、ヒンジドア装備の軽自動車は、まだまだラインナップの中では無くてはならない存在となっており、これからはミライースが担うことになる。
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ムーヴの歴史は1995年から始まる、2023年フルモデルチェンジで7代目登場へ
ムーヴシリーズのスタートは、1995年にまで遡る。当時の軽自動車規格は現在よりもボディサイズが一回り小さい旧規格であった。しかし翌1996年には、衝突安全性を理由に軽自動車規格は全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下に改訂され、現在と同じボディサイズへと拡大された。
ムーヴシリーズにおいては、1997年に上級グレードの「カスタム」が登場するも、1998年には早くも2代目モデルへフルモデルチェンジを受け、新たな軽自動車規格に対応された。
ムーヴシリーズは、これ以降も短いサイクルでのフルモデルチェンジが実施されており、2002年に3代目モデル(L150/152/160S型)、2006年に4代目モデル(L175/L185S型)、2010年に5代目(LA100/110S型)、2014年に6代目(LA150/160S型)が発売となった。
現行の6代目モデル登場までは、平均3年10ヶ月の周期でフルモデルチェンジが実施されてきたわけだが、6代目モデルの販売は既に8年目に突入しており、フルモデルチェンジが遅れている状況である。
ただしその間に、スライドドア装備の派生車種としてムーヴキャンバスを2016年に発売。ムーヴ 通常モデル/カスタムのマイナーチェンジも2017年に実施されており、市場環境の変化に応じて商品力が維持されてきた。
現行型ムーヴ、2021年9月の一部改良内容
現在販売中のモデルは、2021年9月の一部改良モデルと、その特別仕様車となる。フルモデルチェンジが迫っており、これらが現行型最終モデルとなるだろう。
- オートライトを標準装備(法規対応。2021年10月1日より継続車にも義務化される装備となる。)
ムーヴ / ムーヴカスタム
- 全11グレードから9グレードに 集約
- 特別仕様車「カスタムX “VS SAⅢ”」を新設定(ベースの「カスタムX “ Limited SAⅢ”」にパノラマモニター対応カメラを特別装備)
特別仕様車「カスタムX “VS SAⅢ”」の車両価格は、2WD 1,419,000円、4WD 1,545,500円となる。
ムーヴ フロントシートリフト(昇降シート車)
- 従来の「カスタムX “Limited SAⅢ”」にパノラマモニター対応カメラを標準装備した「カスタムX “LimitedⅡ SAⅢ”」を新設定
- 従来の 「X “SAⅢ”」に純正ナビ装着用アップグレードパックを標準装備した「X“LimitedⅡ SAⅢ”」を新設定
新型ムーヴ、フルモデルチェンジまとめ
- フルモデルチェンジ新型ムーヴの開発は完了し、一部ユーザ向けにリーフレット配布済み
- 当初の想定されたスケジュールは、2023年5月10日のティザーキャンペーン開始と先行予約スタート
- ダイハツ他モデルの試験不正、大規模リコール、部品仕入先の火災などの対応のため2023年内発売すら難しい状況に
- 年明け2024年の発売に再延期と、ベストカーが報道
- 2023年7月下旬ごろ、従来型ムーヴのサイトが販売終了のため消去される
フルモデルチェンジによる新型ムーヴの特徴
- 両側スライドドア装備でコンセプトを大きく変更
- 実質的に2022年に先行フルモデルチェンジされたムーヴキャンバスから派生するベーシック車種
- 一部ユーザー向けに配布済みのリーフレットで、エクステリアと価格帯は判明していた
- 新型ムーヴは、ムーヴキャンバスより低価格設定
- キャンバスとは内外装デザインで差別化
- DNGAプラットフォームによる軽量化
- D-CVTの採用
- 軽自動車向けe-SMART HYBRIDは、当初予定された初期モデルには用意されていなかった
- 従来カスタム廃止
新型ムーヴの案内チラシ 画像提供ありがとうございます
新型ムーヴの案内きたけどスライドドアなんや! pic.twitter.com/loZiuLGuY7
— おっちー (@copen125) May 10, 2023