少し個性のある軽ワゴン車
軽自動車人気の中、スズキから新型のMRワゴンがリニューアルした。
主力のワゴンRと比較すれば、ややマイナーな車種であるが、今回のモデルチェンジ以降は人気車となっている。
実用一辺倒な部分だけでなく、少し遊び心を持ち合わせたのが新型MRワゴンの特徴だ。
新型エンジンとCVTのフィーリング
MRワゴンにはスズキが開発した、新型エンジンR06A型が採用される。
従来モデルのK6A型エンジンは16年間も採用し続けられスズキの屋台骨を支えてきた。
それだけに、R06A新型エンジンに寄せる期待はスズキ社内でも大きい。
従来モデルとの大きな違いは、NAエンジンに限るが、吸排気VVT機構を採用した点にある。
従来型エンジンの吸気側だけの設定であった可変バルブタイミング機構を排気側にも備えている
また、ロングストローク化することにより、トルクをより多く発生させる方向にセッティングされている。
これらの改善により、特に中低速の実用域での燃費と出力を向上させることに成功した。
また、エンジンだけでなくジャトコと共同開発されたCVTもさらなる改良が加えられた。
リダクションギアのハイギアード化により燃費をかせぐように調整されている。
環境性能への意識が高まる中、アイドリングストップ機能なしでも25.5km/Lの低燃費を実現させた新型MRワゴンは魅力十分の軽ワゴン車としてデビューした。
フロントシートはベンチシート
MRワゴンの前席はベンチシートが採用されている。
ベンチシートは広々感があるものの、座り心地や長時間乗車した時の疲労感については妥協が必要であった。
それゆえ短距離走行を重点においた設計がされてきた部分がある。
そんな中、今回のMRワゴンのベンチシートは非常に出来のいいものに仕上がっている。
一見すると、普通の左右の繋がったベンチシートなのだが、意外とサイドの張り出しがしっかりしていて、ホールド感があるのが特徴だ。
腰の当りも良く、これなら長時間乗車でも疲れにくい。
これまでのスズキの軽自動車と比較して、大きく進歩した部分である。
後席はスライド機構付
グレードXとTのリアシートは、左右分割のスライドシートが備え付けられる。
後席のスライド機構を使うことによって、軽自動車枠の限られた空間をできるだけ有効に利用することができるのは嬉しい。
このXとTが主力グレードになりそうだ。
また、リアシートを倒せば、ほぼフラットになるため、荷物の出し入れもしやすい。
実は人気のMRワゴン
このMRワゴンというクルマは、先代は明らかに子育てママを意識した車種であったため、幅広い年代性別から購入候補にされにくい面があった。
今回の新型MRワゴンは男女の若者をターゲットにしているが、基本的には老若男女誰でも親しめるクルマに仕上がっている。
このクラスの軽ワゴン車は、ワゴンR、ムーヴという定番車が多くのシェアを占めているが、あまりにも街中にあふれ過ぎているため、周りとは少し違ったクルマを求めるユーザーからもウケがいい。
軽自動車ブームの中、敢えてターゲットを絞り込みすぎないスタイルが人気を呼びそうだ。