ライズは2023年マイナーチェンジ期待、長期化する納期、そろそろオーダーストップの可能性も
「トヨタ・ライズ」は、2019年11月に発売されたモデル。2023年はフェイスリフトが含まれるマイナーチェンジ実施による後期型の発売が期待される。
前回の2022年11月の改良は、全車で商品内容は変えられず、1万円の値上げだけがコッソリと実施されていた。また、同時期のスバルでは、新たな姉妹車種「REX」が発売されており、本家のダイハツ・ロッキーを合わせた三姉妹車種による販売体制となった。
一方で、「ライズ」も、例に漏れず納期が長期化している。多数のバックオーダーを抱えた状態が続いており、期待通り2023年のマイナーチェンジ実施で商品内容が大幅に変えられるのであれば、早めにオーダーストップの措置を取る必要がある。トヨタは、2022年12月20日時点での工場出荷時期として、ガソリン車が6ヶ月、ハイブリッド車が6ヶ月以上としている。ただし、実際の販売店では、ハイブリッド車は、1年前後の納期が言い渡されるケースも少なくない状況となっている。
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ライズ一部改良2022年11月1月実施、1万円値上げ、発表なし、納期は2023年以降
トヨタ・ライズの一部改良が、2022年11月1日に実施された。一部改良の内容は、法規対応と値上げがメインとなっている。製品自体に大きな変更もなく、プレスリリースでの発表も行われなかった。一年前の2021年11月には、ハイブリッドモデル追加という大幅改良を受けており、今回は小幅な内容に留められた。
また、期待されていた、4WDハイブリッドの追加や、特別仕様車の設定も無し。従来グレードがそれぞれ一律1万円の値上げとなり、販売が継続されている。
姉妹車種の本家ダイハツ・ロッキーも同様に値上げとなった。さらにOEM供給先がスバルにまで拡大され、新型レックスとして、2022年11月11日に発売された。

ライズ 2022年11月の一部改良はフェイスリフト無し、後期型へのマイナーチェンジは2023年以降実施か
ライズは2019年11月に発売されたモデル。そろそろフェイスリフトが含まれるマイナーチェンジを期待する声もあるが、2022年11月のタイミングでは実施されなかった。次回の2023年の一部改良は、マイナーチェンジ相当になる可能性があり、後期モデルの登場が期待される。
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ライズ ハイブリッドが2021年11月1日発売
新開発の1.2Lハイブリッドシステム「e-SMART(イースマート)ハイブリッド」搭載
ライズ ハイブリッドの1.2L NA エンジンは発電専用となる。その電力を使用し100%モーターで走行するシリーズハイブリッド方式が採用された。
小さな排気量でシンプルな構造とコンパクトなサイズが実現される。低・中速走行に強く、街乗りでの使用頻度が高い小さなクルマに適したハイブリッドシステムとなる。
燃費性能は、WLTCモードで28.0km/Lを達成する。
モーター | 最高出力 | kW[PS] | 78[106] |
最大トルク | N・m[kgf・m] | 170[17.3] | |
バッテリー | 種類 | リチウムイオン電池 | |
容量 | Ah | 4.3 |
「スマートペダル(S-PDL)」採用
アクセル操作のみで車速のコントロールが可能となる。加減速を繰り返す街中や下り坂などで、アクセルからブレーキへの踏みかえ頻度が減り、ドライバーの負担を軽減しつつ軽快な走りが実現される。日産のe-POWERでも同様のアクセル操作が選択可能であった。ダイハツのe-SMART HYBRIDは、日産のe-POWERをかなり意識して作られているようだ。
ライズ 2021年11月の一部改良では、ハイブリッド追加だけでなく、ガソリン車も大幅変更だった
ライズのガソリン車の2WD仕様は、従来の1.0Lターボの搭載を廃止し、クラストップレベルの熱効率を実現した新開発1.2Lエンジン(WA-VE型)に変更された。低燃費(WLTCモード 20.7km/L)と高い動力性能が両立される。また、低速域での加速性が向上した。
ガソリン車4WD仕様については、1.0Lターボエンジン(1KR-VET型)が引き続き採用される。
予防安全機能「スマートアシスト」を全車標準装備化
夜間の対歩行者検知を可能とした衝突警報及び衝突回避支援機能が拡充された。標識認識機能(進入禁止/最高速度/一時停止)で見逃し予防がサポートされる。電動パーキングブレーキの採用により、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)に停止保持機能が追加され、長距離運転時の渋滞なども快適にサポートされる。
その他快適装備も充実
キーを持って施錠状態の車両に近づくとルームランプが点灯するウェルカムランプ機能が標準装備される。ハイブリッド車には、降車後の足元を照らすヘッドランプ点灯延長機能が標準装備され、さらにアクセサリーコンセント(AC100V・1,500W/非常時給電システム付)が設定される。
外板色にスムースグレーマイカメタリックが設定された。
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ライズに搭載されるのは、発電専用エンジン、100%モーター駆動のシリーズ式ハイブリッド
ライズに搭載されるハイブリッドシステムは、ダイハツが独自開発した「e-SMART HYBRID」と呼ばれるものとなる。シリーズ式ハイブリッドが採用されており、直列3気筒 1.2Lの発電専用エンジンが搭載される。
このエンジンは発電専用に最適化されたロングストローク仕様で、高タンブルストレートポートなどの技術が採用される。発電効率の良い回転数に絞り込んで運転され、最大熱効率40%を達成する。
e-SMART HYBRIDは、シリーズ式ハイブリッドであること、そして発電エンジンの排気量から、日産がノートなどに搭載してきたe-POWERと形式上は近くなる。
ライズ、ロッキー以外の車種にもe-SMART HYBRIDは展開
ライズ、ロッキーに後追いでハイブリッドモデルが追加されることは、2019年の発売時から噂となっていた。その後、ダイハツの特許出願の状況から、シリーズ式ハイブリッドである可能性が予想されていた。
ライズとロッキーにハイブリッドシステムが搭載されたことにより、小型車セグメントの電動化勢力図は、大きく変わる。
ダイハツ同様に小型車を中心に販売してきたスズキは、これまでISG方式のマイルドハイブリッドを採用し、その搭載モデルを増やしてきた。しかしISGを使ったシステムは、通常のガソリンエンジン車に比べ、燃費性能の向上率はわずかであり、コストに見合わないという指摘もあった。
ダイハツのe-SMART HYBRIDは、本格ハイブリッドとも呼ばれるシステムの一つで、燃費性能の向上幅に期待ができる。また、トールやトヨタ・ルーミーといったモデルへの採用拡大も見込まれ、さらに今後は、ダイハツが得意とするインドネシアやマレーシアの各市場での電動化率向上にも貢献することになるだろう。
ダイハツが独自生産したハイブリッド車を販売するのは、2010年に終了した「ハイゼット カーゴ ハイブリッド」以来約11年ぶりとなる。
ライズ 1.2L ハイブリッドはFF車のみ、4WD車は1.0L ターボの採用継続
2019年11月にデビューしたライズも販売期間2年を過ぎるタイミングでハイブリッドモデルが追加となった。この一部改良では、コンベンショナルガソリンエンジン車においても、パワートレインラインアップが大きく変更された。
まずハイブリッドグレードはFFのみで、4WD車は用意されない。4WDハイブリッドは恐らくまだ開発段階で、市販車搭載までまだ少し時間が必要となりそう。また、駆動用バッテリーはリチウムイオンの容量4.3Ahが採用された。
ハイブリッドモデルの車両価格は217万3000円~233万8000円(2022年11月価格改定)で、このクラスの小型SUVとしては高額となっている。そのため低価格モデルとして、新たに1.2L NAエンジン搭載のFF車が、エントリーモデル171万7000円(2022年11月価格改定)から用意されており、ユーザーの裾野が広げられている。
新開発パワートレインの導入という相当大掛かりな改良内容にも関わらず、内外装では大きな変更は含まれなかった。つまり、あくまで一部改良でマイナーモデルチェンジではない。マイナーモデルチェンジは2023年以降の実施が予想され、この時にしっかりフェイスリフトされた後期型ライズのデビューとなりそうだ。
ライズとロッキーから始まる、ダイハツ車種の電動化
政府は2035年を目処に新車販売の全てを電動車(ハイブリッド、プラグインハイブリッド、バッテリーEV、燃料電池車)にしていく方針を表明している。そんななかダイハツは、自社生産によるハイブリッドカーを約11年ぶりに市場投入した。これには登録車だけでなく軽自動車も入れた複数車種が計画されている。
ダイハツの新世代ハイブリッド車種の第一弾となったのが小型SUVのロッキーである。姉妹モデルのライズもハイブリッドモデルが追加されトヨタへ車体供給された。
2019年11月に発売された現行型のライズ/ロッキーは、これまで1KR-VET型の1.0Lターボエンジンを搭載してきた。セールスも好調で、2021年上半期(1-6月)の販売台数は、ライズが47,965台、ロッキーが11,220台で、合わせると59,185台となった。
これと同程度の水準で売れている小型SUVが国内にもう一つあり、トヨタのヤリスクロスである。
ヤリスクロスのM15A-FXE型ハイブリッドがライズ/ロッキーに流用されるという予想もあったが、トヨタラインアップの中での差別化を考えると、ダイハツ独自開発のワンサイズ小さいハイブリッドパワートレイン、e-SMART HYBRIDも必要だろう。
ライズ モデルチェンジまとめ
- 2019年11月 フルモデルチェンジしたダイハツ・ロッキーのOEM姉妹車種としてトヨタから発売
- 2021年11月 一部改良で新開発シリーズ式ハイブリッドの「e-SMART HYBRID」搭載モデルを追加
- 2022年11月 の一部改良は法規対応と1万円の値上げ
- 2023年以降にフェイスリフトが含まれるマイナーチェンジ予想
- 次期型2代目モデルへのフルモデルチェンジは、まだ先となりそう
ライズ 2021年11月 一部改良の内容
- 新開発ハイブリッドエンジン搭載モデル(FF)の追加
- 1.2L NA ガソリン車(FF)を追加
- 従来1.0L ターボ車は4WDモデルのみで継続
新型ライズ グレード構成と車両本体価格 2022年11月
グレード | エンジン | 駆動 | 価格(消費税込み) | |
ガソリン | X | 1.2L(WA-VE) | 2WD(FF) | 1,717,000 |
G | 1,867,000 | |||
Z | 2,049,000 | |||
X | 1.0Lターボ(1KR-VET) | 4WD | 1,994,800 | |
G | 2,143,700 | |||
Z | 2,309,200 | |||
ハイブリッド | G | e-SMARTハイブリッド 1.2L(WA-VEX) | 2WD(FF) | 2,173,000 |
Z | 2,338,000 |