新型エルグランドのテストカーがスパイショット、プロパイロットと次世代運転支援
新型エルグランドは、ジャパンモビリティショーでエクステリアとインテリアが公開済みです。そういったなか、2026年夏の発売に向けて、完全擬装されたテストカーによる走行試験も行われてきています。

新型エルグランド スパイショット(画像提供 X@Masyasya_04 様)
テストカーのフロントからのショットでは、ドット柄が判別できないように横桟グリルを思わせるラッピングが施されています。
新型エルグランドは、最新のProPILOTシステムに加えて、上級グレード向けにはProPILOT 2.0も選択できる運転支援パッケージが用意されます。高速道路でのロングドライブだけでなく、都市部の渋滞走行まで含めて「移動時間そのものをラクにする」ことが大きなテーマとなっています。

新型エルグランド スパイショット(画像提供 X@papa_towers 様)
日産はJMS 2025で、新型エルグランドに搭載される最新版ProPILOTが、50km/h未満の渋滞時でハンズオフ走行をサポートすることを明らかにしています。標準装備となるこのProPILOTでは、従来同様のアダプティブクルーズコントロールや車線中央維持に加えて、低速域でステアリングから手を離して走行できるシーンが拡大し、いわゆる「ノロノロ渋滞」での腕や肩まわりの負担を大きく軽減してくれることが期待されます。
さらに、新型エルグランドでは、ドライバーがウインカーを操作した際にシステムが車線変更をアシストする機能を備えたProPILOT 2.0も設定される見込みです。こちらは高速道路でのハンズフリー走行や、追い越し時の車線変更支援など、長距離移動での疲労軽減を狙った上級仕様となり、同社の他モデルで実績のあるハンズオフ機能をミニバンセグメントにも展開する形になります。
このように、新型エルグランドにおける運転支援は、「渋滞域をメインにカバーする最新版ProPILOT」と、「高速道路の長距離移動をさらに任せられるProPILOT 2.0」という2段構えとなる方向性が示されています。ユーザーは走行シーンや予算に応じて、自分に合った運転支援のレベルを選べることになりそうです。
一方で、日産は別枠で「次世代ProPILOT」と呼ぶ全く新しい世代の運転支援技術の開発も進めています。これはAI技術と次世代LiDARを組み合わせ、複雑な市街地を含む一般道で、熟練ドライバーに近い判断をサポートすることを目指したシステムで、2027年度に日本市場向けの一部量産モデルへ搭載開始と公式に発表されています。

新型エルグランド スパイショット(画像提供 X@Masyasya_04 様)
次世代ProPILOTは、高速道路の単一車線をカバーしてきた従来のProPILOT、複数車線やナビ連動まで広げたProPILOT 2.0に続く「第3段階」と位置づけられています。信号や交差点、歩行者や自転車、路上駐車車両など、一般道ならではの多様な状況に対応しながら、より自然で安心感のある運転支援を提供することが狙いとされています。
新型エルグランドが、この次世代ProPILOTを将来のマイナーチェンジや年次改良のタイミングで採用する可能性も期待されていますが、現時点で日産が車種名まで明言しているわけではありません。発売直後の2026年夏モデルでは、あくまで最新版ProPILOTとProPILOT 2.0の組み合わせが主役となり、その後のモデルライフのどこかで、AIを活用した次世代ProPILOTが追加されるかどうかは、今後の正式アナウンスを待つ必要があります。
とはいえ、日産自身が「熟練ドライバーのような運転を実現する信頼できる運転支援」「一般道を含むあらゆる交通環境に適応した先進の衝突回避能力」といったコンセプトを掲げていることから、新型エルグランドが将来的にこの技術の受け皿の1つとなるシナリオは十分に想像できます。すでに渋滞ハンズオフや高速ハンズフリーといった機能を備える同車に、AIベースの次世代ProPILOTが重ね合わされていけば、「運転の楽しさと、任せられる安心感」を高いレベルで両立したフラッグシップミニバンへと進化していくことが期待されます。
「新型エルグランド」の<まとめ>は、次のページ
新型エルグランドの発売時期と価格、4WD e-4ORCE専用パッケージへの期待
新型エルグランドは、日産自動車が4代目モデルとして開発したフラッグシップミニバンです。
ジャパンモビリティショー2025で世界初公開され、日本での発売時期は2026年夏と予告されています。
従来型から約16年ぶりのフルモデルチェンジとなり、「プレミアムツーリングモビリティ」として位置づけられた最新世代のエルグランドが登場することになります。
新型エルグランドは、アルファード/ヴェルファイアに代表される競合プレミアムミニバンに対抗するモデルとして注目されています。
シリーズ式ハイブリッドによる静かで滑らかな走り、e-4ORCEによる「酔いにくさ」、クリーンなサイドビュー、休息性の高いシート機構などを武器に、日本市場のミニバンの基準を更新する存在になることが期待されています。
一方で、新型エルグランドの先行受注の受付開始時期はまだ決まっていません。価格も未定のままですが、4WDのe-4ORCE搭載モデルだけのラインアップになると想定され、高額な価格帯になることが見込まれます。
ライバルとなるトヨタ・アルファードでは、X ハイブリッドの2WDモデルが消費税込み5,100,000円に設定されています。
新型エルグランドのe-4ORCEモデルが、このアルファードの価格を下回ることはないのではないかという見方ができ、プレミアムミニバンとしての位置づけにふさわしい価格帯が予想されます。
ボディサイズについては、全長4995mm×全幅1895mm×全高1975mmという数値が示されています。
現行モデルと比べると、全長が30mm長く、全幅が45mm広く、全高が160mm高くなっています。
数字だけを見るとひと回り大きくなっているように感じますが、そのぶん室内空間のゆとりやシートアレンジの自由度が高められていると考えられます。
新型エルグランドの展示車には、235/60R 18タイヤが装着されています。60偏平×18インチというサイズの選択により、段差での当たりを和らげつつ、ステアリング応答性と直進安定性のバランスを狙った足まわりセッティングが期待されます。
プレミアムミニバンとしての乗り心地と、高速道路での安心感を両立させようとする姿勢がうかがえます。
「新型エルグランド」の<まとめ>は、次のページ
新型エルグランドのパワートレインと走行性能、先進運転支援技術
新型エルグランドのe-POWERとe-4ORCE
新型エルグランドは、日産の第3世代「e-POWER」シリーズ式ハイブリッドシステムを唯一のパワートレインとして採用します。
エンジンは発電専用とし、タイヤを回す役割はモーターだけが担当する構成です。常にモーター走行となるため、発進時からスムーズで力強い加速を実現しながら、エンジンの回転を発電に専念させることで、静粛性や燃費性能の向上を図っています。
新型エルグランドに組み合わせられるエンジンは、新開発の1.5Lターボ「ZR15DDTe」が想定されます。このエンジンは発電専用エンジンとして開発されており、モーター・発電機・インバーター・減速機・増速機を1ユニット化した「5-in-1 e-POWERパワートレインユニット」としてまとめられています。
日産は、このZR15DDTeエンジンにおいて熱効率42%を掲げており、同社のシリーズ式ハイブリッド技術の集大成ともいえるユニットになっています。
駆動方式は4WD専用になることが想定され、新型エルグランドは進化版「e-4ORCE」電動駆動4輪制御技術を組み合わせます。
前後モーターのトルク配分と回生配分を協調制御することで、加減速時やコーナリング時の姿勢安定性と乗り心地の両立を狙っています。
これにより、車体の前後の揺れや左右の揺れを抑え、乗員が酔いにくいと感じるような穏やかな挙動が期待されます。
さらに、新型エルグランドは4輪の減衰力を可変制御するインテリジェントダイナミックサスペンションを採用します。
e-POWERおよびe-4ORCEと協調させることで、上下動や揺れを抑えた落ち着いた走りを目指しており、長距離ドライブでも疲れにくい乗り味を追求しています。プレミアムミニバンとして、静かで上質な移動時間を提供することを重視した設計になっています。
「新型エルグランド」の<まとめ>は、次のページ
新型エルグランドのデザインとインテリア、プレミアムミニバンとしての世界観
新型エルグランドのエクステリアとボディカラー
新型エルグランドのエクステリアは、「The private MAGREV(リニアモーターカー)」や「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」をキーワードとしてデザインされています。
日本の伝統工芸である「組子」をモチーフとしたフロントグリルや、面の張りを生かしたサイドパネルによって、“威風堂々”とした存在感を表現しています。
スライドドアのレールは、リアクォーターガラスのボトムラインに一体化する構造が採用されています。
これにより、スライドドアの利便性を保ちながら、側面の見た目をクリーンに見せるサイドビューを実現しています。プレミアムミニバンとしての高級感と、実用性を両立させた工夫といえます。
ボディカラーでは、富士山の夜明けの一瞬をイメージした「FUJI DAWN(フジドーン)」や、高貴さを象徴する青紫系カラー「至極(シゴク)」などの新色が設定されます。
日本的な情景や色彩感覚をデザインに反映していることが特徴です。
一方で、販売の主力になりそうなのは、プリズムホワイトやダイヤモンドブラックに代表されるホワイト系やブラック系のボディカラーであることが予想され、新色FUJI DAWNの展示車よりも、こうした定番カラーの方がカッコよく見えるのではという前評判もあります。
「新型エルグランド」の<まとめ>は、次のページ
新型エルグランドのインテリアとコクピットまわり
新型エルグランドのインテリアは、「特別なプライベートラウンジ」を目指して開発されたとしています。
テーラーフィット素材や木目調パネル、組子パターンのキルティングなどが広範囲に用いられ、上質で和のテイストを感じさせる室内空間が構成されています。日本ならではの落ち着いた高級感を、家族やゲストが過ごすサロンのような雰囲気として表現されています。
インストルメントパネルとセンター部分には、国内モデルとして初となる14.3インチクラスの大画面統合型インターフェースディスプレイが2枚並べて配置されています。
木目調パネルと一体化した静電式スイッチや、最大64色に設定可能な間接照明と組み合わせることで、先進性と高級感を両立したコクピットを実現しています。
運転席まわりは未来感と落ち着きが同居した空間となり、長時間のドライブでも飽きのこないデザインを意識した構成になっています。
前席まわりでは、幅広く高いセンターコンソールを採用しています。従来型で可能だった前席間のウォークスルー性は抑えられる一方で、運転席と助手席それぞれのパーソナル感を高める設計となっています。
プレミアムミニバンとして、運転席も助手席も専用シートのように感じられる空間づくりが行われています。
「新型エルグランド」の<まとめ>は、次のページ
新型エルグランドのシート構成と荷室、快適
新型エルグランドは、助手席にオットマン(レッグレスト)を備えています。
2列目にはゼログラビティ思想に基づくキャプテンシートと伸縮式オットマンを組み合わせ、長距離移動時にも乗員が休息を取りやすい“休める座席”を重視した構成です。
ロングドライブや送迎など、さまざまなシーンでリラックスして座れることを目標としています。
3列目シートには、跳ね上げ式格納機構が採用されています。3列目を左右に跳ね上げて固定することで、床面を一定に保ちながらキャンプ用品などの長尺物や嵩張る荷物を積みやすい荷室スペースを確保できる構造になっています。
多人数乗車と大容量ラゲッジスペースの両方に対応しやすい工夫が盛り込まれています。
音響面では、BOSEプレミアムサウンドシステムが採用され、最大22個のスピーカーと3Dサラウンド再生によって臨場感の高い音響空間を提供します。
一部グレードではフロントシートのヘッドレストにもスピーカーを組み込む構成が紹介されており、プレミアムミニバンらしい音楽体験が意識されています。
快適装備としては、前席および後席に複数のUSB Type-Cポートやスマートフォン収納スペース、ワイヤレス充電などの装備が配置されます。
長時間ドライブ中のデバイス利用や充電需要に応えるインテリアユーティリティが重視されており、家族全員がスマートフォンやタブレットを使いながら移動するようなシーンにも対応できるようになっています。
新型エルグランドは、このようにパワートレイン、走行性能、運転支援技術、エクステリアデザイン、インテリアの仕立て、シート機構、オーディオやデバイス対応装備といった要素を組み合わせることで、「プレミアムツーリングモビリティ」としての立場を明確にしようとしているモデルです。
価格やグレード構成、先行予約の開始時期など、まだ公表されていない要素もありますが、4WD専用のe-4ORCEモデルとして登場する新型エルグランドが、プレミアムミニバン市場にどのような影響を与えるかが注目されています。
「新型エルグランド」の<まとめ>は、次のページ
(このページには、権利者より報道目的または個人的・非営利目的の場合のみの使用が許可されている画像・動画を使用しています。)
新型エルグランド まとめ
まとめ更新日: 2025/11/28
- 新型エルグランドは2026年夏発売予定の4代目フラッグシップミニバン
- ボディサイズは4995mm×1895mm×1975mmで現行型よりひと回り拡大
- 第3世代e-POWERと進化版e-4ORCEを組み合わせた電動4WD専用モデル
- 新開発1.5Lターボ「ZR15DDTe」発電専用エンジンと5-in-1ユニットで熱効率42%を掲げる
- インテリジェントダイナミックサスペンションと協調制御で酔いにくく落ち着いた乗り味を追求
- ProPILOT 2.0を搭載し、将来的には一般道対応の次世代プロパイロット採用も期待される
- 組子モチーフのグリルやFUJI DAWNなど和の世界観を取り入れたエクステリアが特徴
- 14.3インチ級ディスプレイ2枚と64色間接照明で先進かつラウンジ的なインテリアを演出
- 助手席&2列目オットマン、跳ね上げ式3列目を採用
- 最大22スピーカーのBOSEサウンド
- 豊富なUSB Type-C/ワイヤレス充電

















































































































































