軽EV、IMkの市販型が開発中
日産は前回の東京モーターショーで軽自動車規格のEVとして、IMkコンセプトを発表していた。
外観からは室内スペースを重視したワゴンボディが採用されているのがわかる。日産のガソリン車を搭載する従来型軽自動車は、ベーシックワゴンのデイズと、スーパーハイトワゴンのルークスがラインアップされるが、このIMkは比較的デイズに近いボディサイズである。
IMk市販型の発売時期
IMkコンセプトは日産ブースからの出品であったが、実際には、三菱自動車と軽自動車部門を協業するNMKV社での開発および生産となる。
岡山県倉敷市の水島製作所がその拠点となっており、昨年2020年夏から総額約80億円に及ぶ、新型の軽EV生産に向けた設備投資を始めたことが明らかとなっている。これはまさにIMkの市販型に向けた動きであると考えられる。
日産、三菱の双方の声明からIMk市販型の発売時期について、予測してみる。
日産、事業構造改革計画 NISSAN NEXT
まずは日産側の発表内容から見ていく。2020年5月に「事業構造改革計画/NISSAN NEXT」を発表しており、これによると2023年度までにEVとして合計8車種の市場投入を予定している。このなかに日本市場向けの軽EVが1車種、明記されている。
三菱、新中期経営計画 Small but Beautiful
また一方で、三菱自動車は2020年7月に新中期経営計画「Small but Beautiful」を発表しており、このなかでも日産自動車と協業の軽自動車EVについての記載がある。ただし、発売時期については、明言が避けられている。
なお三菱自動車は市場投入の具体的な時期について言及したPHEV、EVの環境対応車がある。エクリプスクロスPHEV、中国市場向け新型EV、次期アウトランダーPHEVの3モデルで、これらは2022年度までに市場投入される計画である。新型の軽自動車EVは、その後になる可能性がある。
これら日産、三菱の公式発表から推測すると、IMk市販型の発売時期は2023年度になることも考えられる。これは昨今のEVブームのなかでユーザーが期待するところよりも、かなり遅いタイミングに感じる。
ただし一部の自動車情報誌によれば2021年2月のIMk市販型の発表を予想しているものもある。
IMk発売が日本のEV移行を急速に進める可能性
一般的にEVが普及しない大きな原因とされるのが、航続距離、バッテリーコスト、充電インフラの問題である。ただし、軽自動車ということであれば、そもそも日常の生活圏での走行を前提としているユーザーも多い。航続距離が短いというデメリットを受け入れる素地が、ある部分では元々備わっているというわけである。
一説によると、IMkの航続距離は150km程度になるという話もあり、これだとバッテリーコストは少なくて済む。車両価格は補助金との差し引きでガソリン車と同程度になるという期待もできる。
そして、近距離に割り切った使用であれば、自宅充電をメインにできるので燃料負担を抑えることができる。さらに急速充電スタンドといった充電インフラが整備されていないというデメリットを感じることも少ないだろう。
つまり次の2つの条件、近距離の走行に割り切ること、そして充電用電源を確保できる自宅駐車場があること、これらをクリアできる軽自動車ユーザーは、このIMkの発売を皮切りに、EV移行が進むことが想定される。
IMkは三菱アイミーブを後継する
IMkは、三菱自動車が2009年に発売した軽電気自動車、アイミーブの後継モデルという位置づけでもある。アイミーブは欧州市場でもプジョー・iOn、シトロエン・C-ZEROのモデルネームでOEM販売されてきた。
現在は、歩行者安全に関する改正法規をクリアするためバンパーサイズが拡大され、軽自動車規格のサイズを超えている。日本国内向けには登録車としての販売が継続されている。
ただ発売から12年が経過しており、性能と車両価格が時代にマッチしていない。IMk市販型の登場が待望される段階にある。
コンセプトからIMk市販型を予想する
プリズムディスプレイの市販型採用が期待される
IMkコンセプトのインテリアは完全にフラットな床面が特徴的で、実際の寸法よりも広々と感じる。
ダッシュボード上のメーターパネルを含めたディスプレイは、三角柱のプリズムが横置きされたようなデザインとなっており、インテリアで最も目を惹く部分である。この質感を残したまま市販化させることができたら、オーナーの所有欲を満たす部分の一つになりそうである。
IMkコンセプトのカッパー系統色は市販型でも採用か
東京モーターショー2019では、IMkコンセプトと、もう一台のEV、アリアコンセプトが同時発表となっていた。このアリアは既に市販型が発表されている。市販型アリアのボディカラー、選択肢の一つに「暁(あかつき)」と呼ばれる、光沢感のあるカッパー系統色が設定されており、これはIMkコンセプトで示されたものにも近い。
この特徴的な、ボディカラー暁は、「一日の始まり」と電気を流す「銅」を表現したもので、IMk市販型でも近い色合いが用意されるのではないだろうか。