トヨタのSUVラインアップが超過密、C-HRの存在感低下
2020年、トヨタではハリアー、ヤリスクロスが発売された。さらに2021年にはカローラクロスが日本発売されるということで、トヨタのクロスオーバーSUVラインアップは超過密状態となりつつある。
- ライズ
- ヤリスクロス
- カローラクロス(予定)
- C-HR
- RAV4
- ハリアー
この中で、存在感を落としているのがC-HRである。
C-HR、かつては販売台数ナンバーワンの人気車種
C-HRは2016年3月にジュネーブ発表されたモデルである。著者もワールドプレミアの現場に駆けつけたわけだが、その奇抜なほどのエクステリアは、良い意味でトヨタらしくなく、「これは売れる」という確信を得たほどであった。
C-HRはその後、2016年12月に日本発売され、2017年4月には車名別販売台数ランキング1位を獲得した。
年 | 月 | 販売台数 | 順位 | |
---|---|---|---|---|
2016 | 12 | 4654 | 15 | C-HR 日本発売 |
2017 | 1 | 9144 | 4 | |
2017 | 2 | 12985 | 3 | |
2017 | 3 | 16816 | 4 | |
2017 | 4 | 13168 | 1 | |
2017 | 5 | 12872 | 2 | |
2017 | 6 | 14318 | 2 |
この1位の座は、多くの場合、コンパクトカーであったり、プリウスのような営業車としての需要もある車種が着くわけだが、遊びの要素が強くコストも割高な中型サイズのSUVモデルが来ることは近年では珍しかった。
他メーカーのライバル車が登場するも揺るぎない人気
年 | 月 | 販売台数 | 順位 | |
---|---|---|---|---|
2018 | 4 | 4531 | 15 | |
2018 | 5 | 5536 | 12 | スバル フォレスター FMC予約スタート |
2018 | 6 | 6820 | 13 | |
2018 | 7 | 6704 | 13 | |
2018 | 8 | 6075 | 9 | ホンダ CR-V 日本発売 |
2018 | 9 | 6678 | 12 | |
2018 | 10 | 5862 | 13 | |
2018 | 11 | 5790 | 14 |
その後、C-HRの販売台数は1万台を超えるペースでは無くなったものの、この手のクルマとしては上出来の販売実績を積み上げることになる。
2018年にはライバルとなりそうな、スバル・フォレスターのフルモデルチェンジ発売、ホンダ CR-Vの日本発売があったが、C-HRのセールス状況には、ほぼ影響がなかった。
C-HRの人気低下、第一の原因はRAV4の登場
年 | 月 | 販売台数 | 順位 | |
---|---|---|---|---|
2019 | 2 | 6085 | 12 | |
2019 | 3 | 8952 | 11 | |
2019 | 4 | 4307 | 15 | トヨタ RAV4 日本発売 |
2019 | 5 | 4208 | 16 | |
2019 | 6 | 4342 | 19 | |
2019 | 7 | 4195 | 19 | |
2019 | 8 | 3608 | 17 | |
2019 | 9 | 4425 | 22 | マツダCX-30 予約スタート |
2019 | 10 | 2554 | 20 | |
2019 | 11 | 5097 | 13 | トヨタ ライズ 発売 |
2019年に入り、トヨタはRAV4を日本発売させた。この新型RAV4が、C-HR人気低下の最初のキッカケになったことが販売台数およびランキングのデータから読める。
「トヨタの敵はトヨタ」という有名なフレーズが当てはまる状況になった。
C-HRの2020年の販売ランキングに影響したポイントは2つ、ハリアーとヤリスクロス
特に2020年になってからのC-HRは、販売台数下落に拍車をかけている。もちろん4月にコロナによる緊急事態宣言があり、通常の社会情勢ではなかったというのはある。しかし、それはどのメーカー、車種も同じことである。ランキング順位に着目しても、C-HRの下落が目立つのだ。
年 | 月 | 販売台数 | 順位 | |
---|---|---|---|---|
2020 | 4 | 2334 | 19 | コロナ緊急事態宣言 |
2020 | 5 | 1595 | 19 | |
2020 | 6 | 1833 | 28 | トヨタ ハリアー FMC |
2020 | 7 | 2160 | 26 | |
2020 | 8 | 2349 | 21 | |
2020 | 9 | 3681 | 17 | トヨタ ヤリスクロス発売 |
2020 | 10 | 2690 | 23 |
C-HRにとってヤリスクロスの発売は、実はプラスであった
C-HRの販売低迷により、最近ではC-HRの存続、つまり次期モデルの存在を危ぶむ論調すらある。こういった中では「ヤリスクロスに販売台数が流れた」という意見が多いが、実はこれは真実ではないと見ている。
ヤリスクロスの発売タイミングでは、C-HRの販売台数と順位は、むしろ好転しているのである。
ヤリスクロスは、C-HRに対して車格が下のモデルであるが、こういった格下のモデルが発売されるタイミングで、格上のモデルが売れやすくなるという現象は他にも起こっている。2019年11月にコンパクトSUVのライズが発売された時も、C-HRの販売台数は増えたし、ランキング順位も上がっていた。
C-HRの人気凋落、第二波はハリアーのフルモデルチェンジ
では、逆に格上のモデルが発売されるとどうなるのか。先に述べた2019年のRAV4の場合がこれにあたる。そして、2020年6月に行われたハリアーのフルモデルチェンジ発売もC-HRにとって影響が大きかった。
このとき、C-HRの販売台数はランキング順位を大きく落とし、28位にまで転落した。ちょうど緊急事態宣言が収束し、販売台数が回復する時期であったにもかかわらず、C-HRは落ち込んだままであった。
C-HRの人気を凋落させた原因は、ヤリスクロスではなく、上位モデルのRAV4やハリアーにあったと考える。