マツダは、MAZDA6の後継モデルとしても期待される「新型セダン」の計画を、上海モーターショー2023のプレビューイベント「MAZDA BRAND NIGHT」で発表した。
新型車の車体画像はベールに包まれているものの、スポーティなセダンの形状がはっきりと確認できる。ボディサイズは2種類用意されており、それぞれ「MAZDA3 SEDAN」と「MAZDA6 SEDAN」を後継するグローバルモデルであることが期待されるが、中国専売の新シリーズの可能性も残される。
近年、マツダはSUVモデルに重点を置いた新型車の導入を進めてきたが、今回の発表で、ようやく次世代セダンに関する計画の存在が明らかとなった。
特にMAZDA6に関しては、現行のGJ系が2012年にデビューして以来、販売期間が長くなっており、次期型へのフルモデルチェンジが待ち望まれている状況である。
2種類の新型セダンに採用されるパワートレインとしては、いずれもBEVとPHEVが計画されている。内燃機関を搭載するモデルも用意されるということで、2021年6月に発表された、「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」は、採用されないということになる。
大きい方のモデルが、MAZDA6の後継に相当する車種とするなら、新世代SUVのラージ商品群からのプラットフォーム流用も1つの可能性として考えられる。
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MAZDA6フルモデルチェンジに相当する後継車種は、新たなデザインコンセプトを採用か
公開された車体画像はベールに包まれているものの、フロント部分は現行のマツダのファミリーフェイスとは大きく異なることが観察できる。
現行モデルではボンネットフードのラインがボディ先端まで直線的に伸びているが、計画中のモデルでは先端の手前で折れ曲がり、トヨタのハンマーヘッドを立体的にしたような面が形成されている。これは、2010年から続くKODO(魂動)コンセプトに基づいたファミリーフェイスの終了を示唆しているのではないか。
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MAZDA6欧州向けは地域により販売終了、日本向けは商品改良で延命
MAZDA6は、日本市場向けには、2022年12月に商品改良が実施されたほか、特別仕様車も設定され、販売期間が延長されることになった。しかし、英国販売は2023年1月に終了している。
欧州市場ではドイツなどではワゴン/セダンともに販売ラインアップが維持されているものの、フランスなどではカタログ落ちしている状況となっている。また、米国とカナダの市場を受け持つ、北米マツダでは、2021年の段階で、MAZDA6の撤退を発表していた。
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新型MAZDA6、2022年12月商品改良と20周年特別仕様車セダン/ワゴン
MAZDA6の商品改良と特別仕様車の設定が2022年12月9日に発表され、予約受付がスタートした。
特別仕様車は、2002年5月に前身となるアテンザが発売されてから20周年を記念するモデルで「MAZDA6 20th Anniversary Edition」として販売される。「XD L Package」がベースとなり、専用装備としてフロントフェンダーバッジ、シルバー塗装フロントグリル、高輝度塗装19インチアルミホイールが奢られる。インテリアでも、専用エンボス加工されたフロントシートヘッドレストのほか、チルトアップ機構付きの電動スライドガラスサンルーフなどが装備される。
ボディカラーは「MAZDA6 20th Anniversary Edition」専用色の選択が可能となり、「匠塗(TAKUMINURI)」の第4段となる「アーティザンレッドプレミアムメタリック」が設定される。光の当たり方で、通常レッドから深みのある小豆色にまで表情が変わり、プレミアムかつコンサバティブな雰囲気に仕上げられる。
また、通常モデルも商品改良を受けており、「SKYACTIV-D 2.2」の出力・トルク向上によるパフォーマンスアップ、パワーステアリングの改善、運転支援機能「クルージング&トラフィック・サポート」の採用などが盛り込まれた。ボディカラーでも、他モデルで先行導入されていた「匠塗」の「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」、「プラチナクォーツメタリック」が選択肢に追加された。
マツダでは、今回の商品改良に向けて販売調整が行われてきたこともあり、フルモデルチェンジを期待する声もあった。しかし、実際には商品改良ということで、現行型の延命策が実施された。MAZDA6後継モデルの登場は2024年以降まで待たされることになるだろう。マツダではFRレイアウトのラージ商品群の導入が始まっているが、同プラットフォームを使ったMAZDA6を後継するセダンおよびワゴンについては、今のところマツダからは公式なアナウンスがない。2017年の東京モーターショーで発表された「MAZDA VISION COUPE」の市販型が待望される。
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MAZDA6に商品改良で消失したグレード、パワートレイン 2022年12月
2022年12月のMAZDA6の商品改良と特別仕様車の内容が発表されたが、商品ラインアップの整理も実施された。これまでディーゼル向けトランスミッションとして用意されてきた6MTの設定は廃止された。また、エンジンラインナップでも、2.5Lガソリンターボが廃止された。これらスポーツイメージをリードしてきたモデルが消失となった。フルモデルチェンジを控えたモデル末期のグレード整理と見ることもできるだろう。
また、従来から設定されてきた特別仕様車「BLACK TONE EDITION」も廃止されているが、これを後継する「SPORTS APPEARANCE」が新たに設定された。
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MAZDA6のフルモデルチェンジに相当する後継モデルは別車名が与えられる可能性
モデル末期に向けてラインアップが縮小されたMAZDA6であるが、その先のフルモデルチェンジについては、これまでマツダは明言を避けてきた。後継するフラグシップセダンあるいはクーペが登場したとしても、FRレイアウトのラージ商品群の一つともなれば、恐らくモデルネームは変更されるはず。いずれにせよMAZDA6を名乗るモデルは、現行型を以て終了となる可能性が高いだろう。
マツダは新世代のラージ商品群の第一弾として、新型CX-60を2022年9月に発売した。これを皮切りに、共通のFRプラットフォームを採用する複数の新商品が市場投入されることになるが、現在のところ、公表されているラージ商品群はSUV車種に限られる。
マツダが上級車種のFR化に向けて意欲的であることは、2017年の東京モーターショーで出品された「MAZDA VISION COUPE」により明らかとなっていた。しかし、当初はその市販化の実現性について懐疑的な意見も多かった。
現在は、新型CX-60が発売され、これには新開発の直6ディーゼルエンジンが搭載された。さらに、北米豪州で発売される新型CX-90では、新開発の直6ガソリンターボ マイルドハイブリッドが搭載される。これらの技術はMAZDA6後継モデルにも採用されることが期待される。
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MAZDA6のフルモデルチェンジは2024年以降まで待たされる
マツダが2022年5月に行った決算発表会では、2023年3月期の重点取り組み事項として「CX-50、CX-60、CX-90」の3車種が示された。MAZDA6後継モデルは含まれなかったから、この期中に発売されることは無いはず。
MAZDA6のフルモデルチェンジは後回し、FRレイアウトのラージ商品群はSUVが先行
さらに、ラージ商品群のクロスオーバーSUVとして、「CX-70、CX-80」が控えており、これらが2023年内に市場投入されることになる。MAZDA6後継モデルに相当するセダンやワゴン、あるいはクーペの市場投入時期については、未だマツダから公式な情報が出されておらず、その時期はかなり待たされることになりそう。
現行MAZDA6はGJ系アテンザ時代を含め販売11年目に突入、フルモデルチェンジが待望される
とはいえ現行MAZDA6は、2012年11月に発売されたGJ系アテンザから基本構造を変えておらず、既に販売11年目に突入した。計画が先行されるラージ商品群のSUV発売の後には、速やかにMAZDA6のフルモデルチェンジが実施されることが期待される。
マツダの新型車投入計画は2024年が空白、ここにMAZDA6後継車種を発売か
マツダの新型車投入計画として、2022年~2023年にラージ商品群として「CX-60、CX-70、CX-80、CX-90」のSUVモデルを先行導入していくことが発表されていた。さらに、2025年頃に新たなEV専用プラットフォームによる車種を計画しており、これはMAZDA2やCX-3の後継車種に相当する小型BEVであることも可能性の一つ。
つまり、マツダが公開してきたスケジュールでは、2024年が空白となっており、このあたりにMAZDA6 ワゴン/セダンのフルモデルチェンジに相当する、後継の新型車種を市場投入してくる可能性がある。

MAZDA6のフルモデルチェンジは遅れる、販売11年目に
現行型MAZDA6(GJ型)は、2012年11月発売の3代目アテンザから基本部分が変えられていない、ロングセラーモデルとなっている。2019年にはグローバルネームのMAZDA6へ、国内向けモデルを含め統一され、マツダのフラグシップセダン/ワゴンとしての役割を果たしてきた。
アテンザ時代まで遡って歴史を見ていくと、2002年に初代モデル(GG/GY系)が発売され、2008年に最初のフルモデルチェンジで2代目モデル(GH系)に切り替わった。その後5年足らずで、2012年の3代目モデル(GJ系)が発売されている。
また、この間には多彩なエンジンが搭載されてきたが、国内向けには直列4気筒エンジンに限られ、排気量は2.0L~2.5L。ガソリンNAだけでなくガソリンターボ、ディーゼルもラインアップされてきた。
ちなみに北米仕様には、GH系アテンザに3.7LのV6エンジン搭載モデルがラインアップされていた。このエンジンは、フォードと共同開発によるもので、CX-9にも搭載実績がある。アテンザはFFレイアウトであるので、V6エンジンが横置き搭載された。
ラージ商品群に属することになる、新型のMAZDA6後継モデルは、CX-60同様に直6エンジンが縦置き搭載されることになる。
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MAZDA6のフルモデルチェンジより優先されている、SUV車種の強化
セダン/ワゴンのMAZDA6のフルモデルチェンジが遅れる一方で、近年の世界的なSUVトレンドのなかでは、マツダはクロスオーバーSUV車種の強化が優先して進められてきた。2022年1月には、北米向け新型CX-50の現地生産もスタートしている。
このCX-50は日本市場には導入されない見込み。ナローボディに相当するであろう「CX-40」が日本の特許庁で商標登録されており、これが日本発売される可能性は残される。ただし、現状はCX-60(2列シート車)が発売済みで、2023年内にもCX-80(3列シート車)が発売される見込みとなっている。
さらにワイドボディ版のCX-70とCX-90が、北米向けモデルとして準備が進められている。
次期MAZDA6を考える上で、CX-60とCX-80は重要なモデルで、プラットフォーム共用の関係となる見込み。マツダではこれらをラージ商品群と呼んでいる。
なお、北米の新型CX-50はスモール商品群に属する。パッケージングに優れたエンジン横置きレイアウトが採用されており、販売中のMAZDA 3、CX-30、MX-30とプラットフォーム共用の関係にある。
MAZDA6はフルモデルチェンジで、ラージアーキテクチャ採用
現行MAZDA6はエンジン横置き搭載となっている。マツダではエンジン横置き車種についても新世代プラットフォームのスモールアーキテクチャへの切り替えを進めてきた。
スモール商品群と呼ばれる新世代製品は、2019年発売のMAZDA3を皮切りに、これまでCX-30、MX-30を市販化させ、前述の北米CX-50も加わった。
また、特に日本市場に向けては、従来プラットフォーム商品のCX-3、CX-5、CX-8の販売も継続して行っていくようだ。