「コンパクトクルーザー EV」の市販型は、2024年以降の発売が予想される。これまでファンの間では「ランドクルーザーミニ」などの呼称が使われていたが、新たなモデルネームの候補として「ランドクルーザー FJ」が噂されている。
「LAND CRUISER FJ」は、2023年10月27日に特許庁に出願されたばかり。2018年まで国内販売された「FJ CRUISER」を彷彿させるモデルネームでもあり、「コンパクトクルーザー EV」とエクステリアデザインの方向性は近く感じる。
ただし、「FJクルーザー」は、「ランドクルーザープラド」をベースとしたモデル。ラダーフレーム構造を採用し、全長 4,635 mm、全幅 1,905 mm、全高 1,840 mm、ホイールベース 2,690 mmといったボディサイズであった。
2023年8月2日の「ランドクルーザー 250/70」の新型発表会では、2車種の新しいSUV計画が、映像により明らかにされた。画像左上のモデルは、これまで「コンパクトクルーザー EV」という名前で公開されてきたコンセプトカーの市販型であることが想定される。
また、画像右上のモデルはジャパンモビリティショーで公開された「ランドクルーザー Se」で、全長5150mm✕全幅1990mm✕全高1705mm、ホイールベースは3050mmと、ボディサイズが明らかとなっている。画像が両モデルの実際のボディサイズを反映していると仮定すれば、「コンパクトクルーザー EV」のボディ本体部分の全長は4.0~4.1m程度が想定され、背面スペアタイヤの厚みを入れても4.3m程度には収まるように見える。
ボディ構造については、「ランドクルーザー Se」ですらモノコックボディを採用しているぐらいである。同じくBEVで、より小さなボディの「コンパクトクルーザー EV」にラダーフレーム構造を用いているとは考えにくく、GA-Bをベースに開発されたBEVであると推定される。2020年のバッテリーEV戦略説明会で公開された画像では、タイヤレターに「YARIS CRUISER」と表記されていたが、GA-Bのヤリスから派生したBEV SUVという位置づけのモデルであることが予想される。
こういったあたりを考慮すると、「ランドクルーザー FJ」のモデルネームが「コンパクトクルーザー EV」市販型のモデルネームとして相応しいかどうかは微妙なところである。現段階では、「ランドクルーザー FJ」は全くの別車種のモデルネームとして使われる可能性が残されているだろう。
また、かつて「LAND HOPPER(ランドホッパー)」の商標が「コンパクトクルーザー EV」の市販型モデルネームとして使われるのではという憶測もあった。
しかし、「LAND HOPPER」はジャパンモビリティショーで披露された、折りたたみ式の三輪モビリティであることが確定している。
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車名は、コンパクトクルーザーのほか、ヤリスクルーザー、ランドクルーザー ミニなども予想される
「コンパクトクルーザー EV」は、コンセプト段階のエクステリアデザインが公開済みとなっている。しかし、これ以外の情報は、憶測に頼るところが大きい。
なかでもマガジンX 2023年9月号で紹介された予想はユニークで、全長が4m未満というコンパクトさに、ラダーフレーム構造の採用が挙げられる。さらに、パワートレインには純ガソリンエンジンが選ばれ、そのターゲットとして新興国市場が見据えられている。プラットフォームの関係から1.5L THSⅡの搭載は難しく、日本をはじめとした環境規制の厳しい市場向けにはBEVが用意されるというものだ。見かたを変えれば、2017年に生産終了した、ダイハツ生産のラッシュ/ビーゴ/インドネシア テリオスの後継車種と考えることもでき、かなり現実的な予想とも言える。そうなればモデルネームとしてブリザードを復活させるのも相応しい。
一方、ED2がエクステリアデザインに大きく関わっていることを考えると、やはり欧州をメインとしたグローバルモデルである可能性が高い。BEV戦略説明会では、「YARIS CRUISER」なるモデルネームらしきものもこっそり公開されており、舗装路での走行性能とパッケージングに優れたGA-Bプラットフォームをベースとしたモデルであることが予想される。仮称としては「ランドクルーザー ミニ」などとも呼ばれている。一説によると、日本市場においては、この「ランドクルーザー ミニ」の発売計画があるため、新型C-HRの国内導入が見送られたというものもある。
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ヤリスクルーザー、2021年12月発表の「COMPACT CRUISER EV」市販型の登場期待
「COMPACT CRUISER EV」は、2021年12月のトヨタのBEV戦略説明会で、2030年までに発売するBEVとして15車種のなか一台である。これには「ヤリス クルーザー」のモデルネームが与えられる可能性がある。2018年年1月に、日本仕様が生産終了となったFJクルーザーを彷彿とさせるエクステリアデザインも話題となった。
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コンパクトクルーザーは、トヨタ欧州の開発拠点(ED2)でデザインされた
ヤリスクルーザーのコンセプトカーとして考えられる「COMPACT CRUISER EV」は、ED2(Toyota Europe Design Development)でデザインされ、2021年12月の発表後、2022年10月にはカーデザインアワードを受賞した。
ED2は、フランスのニースに拠点が置かれたトヨタの欧州デザイン開発部門である。ここでは、やはり欧州市場を主な販売ターゲットとするモデルがこれまでデザインされてきたが、グローバル販売されるケースも多い。
特に2023年は、ED2でデザインされた新型C-HRがフルモデルチェンジ発売間近となっており注目を集めている。
ただし、新型C-HRは欧州の他、グローバル販売も計画されるが、日本市場からは撤退する見込みとなっている。これまでトヨタが国内販売してきたCセグメント以下のクロスオーバーSUVは、カローラクロス、C-HR、ヤリスクロス、ライズといったラインアップであった。新型ヤリスクルーザーは、国内で廃番となるC-HRのポジションを後継するモデルとしても注目される。
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ヤリスクルーザーはGA-Bプラットフォーム採用の可能性
「COMPACT CRUISER EV」のボディサイズについては様々な予想があった。
小さなサイズでの予想では、スズキ・ジムニーの対抗となる軽自動車~AセグメントSUVで、ダイハツ生産の新型ラガーとして復活し、トヨタでも新型ブリザードとしてOEM販売されるというもの。
また、大きなサイズでの予想では、見た目通りFJクルーザーの後継モデルということになり、全長は4.6m程度が想定された。
ただし、現在は「COMPACT CRUISER EV」の発表時からさらに追加された画像もある。これにより、ボディサイズをもう少し絞り込んでいくと、全長約4.1m×全幅約1.7m×全長約1.7mといったあたりが想定される。やはり、「YARIS CRUISER」のモデルネームに相応しいBセグメントSUVのボディサイズが浮かび上がってきた。ヤリスシリーズ同様にGA-Bプラットフォームの採用が予想される。
また、ED2でデザインされていることを考えるとダイハツ生産の可能性は低いのではないか。ジムニーと直接対抗するモデルでもなく、あるいはラッシュ/ビーゴを後継するラダーフレーム構造でもないということになる。
GA-Bプラットフォームならではのメリットとして考えられるのが、BEV以外のパワートレイン選択肢が容易に実現することである。ヤリス、ヤリスクロス同様の1.5L NAや1.5L ハイブリッドを搭載するモデルも期待したい。
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「YARIS CRUISER」のモデルネームは「COMPACT CRUISER EV」のタイヤレタリングによるもの
「YARIS CRUISER」なるモデルネームは、「COMPACT CRUISER EV」のタイヤレタリングにより明らかとなっていた。
実際に市販型のモデルネームとして採用するかどうかは、未だ検討段階ではあるだろう。ただし、通常は隠すべきであろう新型車のモデルネームを意図的にリークさせていることは、無視することのできない情報である。
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コンパクトクルーザー まとめ
まとめ更新日: 2024/01/27
- ランドクルーザー250/70の発表会(2023年8月2日)で、シルエットが紹介
- 2021年12月バッテリーEV戦略説明会で発表された「COMPACT CRUISER EV」
- タイヤの「YARIS CRUISER」の文字が隠されずに公開
- 商標登録「LAND CRUISER FJ」が使われる可能性あり
- 推定ボディサイズ全長約4.1m(スペアタイヤ込み約4.3m)、全高約1.7m、全幅約1.7m
- GA-Bプラットフォーム採用
- GA-Bプラットフォーム初のBEV
- 現行ヤリス シリーズと共通の1.5L ガソリン、1.5L ハイブリッドの採用も期待
- ED2でデザイン(C-HRなども手掛ける)
- C-HR後継としての日本市場発売も期待される