「ライズ スペース」とダイハツ「ロッキー スペース」、小型車開発は継続
ダイハツでは、トヨタ「ライズ スペース」とダイハツ「ロッキー スペース」の開発が進められていました。これらのモデルネームは、2022年12月に出願された商標登録から明らかとなっていました。
これらのモデルは、従来の小型SUV「ロッキー」および「ライズ」をベースにしたボディサイズ拡大版であることが予想されます。
ダイハツでは、大規模な型式認証不正が発覚し、その影響が続いています。
2024年2月13日、井上雅宏氏の新社長就任が発表され、新体制におけるトヨタとダイハツの事業再編について言及されました。特に、軽自動車を軸とした事業への転換が強調され、国内向け事業を軽自動車専業に事業縮小することも検討されていました。このような状況の中、「ライズスペース」と「ロッキースペース」の計画が廃止されるのではないかとの懸念が生じました。
しかし、その後の2024年4月8日のダイハツの会見では、新体制での小型車の開発について、トヨタが開発から認証までの責任を持ち、ダイハツが実際の開発を担うことが説明されました。これにより、小型車の開発を継続する意向が示され、「ライズスペース」と「ロッキースペース」の計画も継続されていることが想定されます。
ダイハツは、多くのモデルが販売再開となり、型式認証不正問題から回復しつつあるように見えます。しかし、長期間この問題に追われたことで、2024年11月1日より施行される法規対応に間に合わない車種が多く発生する見込みです。そのため、新型車を投入する余裕はまだありません。
新型ムーヴにおいては、発売が2025年春頃になることが想定されており、これは当初の計画から約2年の遅れとなります。また、フルモデルチェンジの準備が進められてきたルーミー、トール、ジャスティについても、法規対応を実施することで現行型の販売を延長するという措置が取られるようです。ルーミーなどのフルモデルチェンジは、2027年6月以降の大幅延期となることが見込まれています。
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ライズ スペース、ロッキー スペースはセニア日本仕様に相当か
商標登録済みのダイハツ「ロッキースペース」、トヨタ「ライズスペース」は、
これまでインドネシアで販売されてきたセニアに近いモデルになることも予想の一つです。
インドネシア国際オートショー2023では「セニア LIMITED EDITION」が発表されました。
セニアシリーズは、ダイハツが20年に渡って新興国市場で販売してきた3列シートを装備するコンパクトミニバンです。
「LIMITED EDITION」はこれを記念する限定20台の特別仕様車です。
2021年にフルモデルチェンジ発売された最新型のセニアは、DNGAプラットフォームが採用されており、一部で日本発売を待望する声もありました。
そのフロントデザインは、日本でも馴染みのあるロッキー、ライズの系統の顔付きであることが確認できます。
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SUVフェイスの3列シート コンセプトカーが、2017年の東京モーターショーで発表
ダイハツは、東京モーターショー2017でコンセプトモデルの「DNマルチシックス」を公開していました。
これはSUVスタイルのエクステリアに、3列シートを装備したモデルでした。その後、2019年11月に2列シート車の「ライズ」と「ロッキー」が発売されました。
ボディサイズと乗車定員は異なるものの、「DNマルチシックス」の流れを汲むエクステリアデザインが採用されました。従来型セニアは、これまでアジア新興国を中心に販売されてきました。しかし、「DNマルチシックス」は東京モーターショーで発表されていただけに、日本発売の可能性が期待されました。
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ライズ スペースはセニア ベースのミニバンではなく2列シート車の可能性も
「ライズ スペース」および「ロッキー スペース」が3列シート車になるかどうかは、現段階では確定した情報ではありません。
マレーシアで販売されるライズの姉妹車種、プロドゥア・アティバには、
全長を拡大させたストレッチ版の2列シート車が出るのではという噂があります。
これが「ライズ スペース」および「ロッキー スペース」の正体である可能性も残されています。
ただし、国内市場で待望されるのは3列シート車ではないでしょうか。
そうなると、「ライズ スペース」および「ロッキー スペース」のベースとなるのは、インドネシアの3列シート車「セニア」ということになるでしょう。
セニアはダイハツの共通プラットフォームであるDNGAが採用された最新の3列シート車で、従来のFRレイアウトから、パッケージングに優れたFFレイアウトへと構造を大きく変えてきています。
また、上位モデルではトランスミッションのD-CVTが搭載されるほか、安全運転支援システムについてもスマートアシスト相当の装備が採用されており、将来の日本仕様の設定を思わせる商品内容となっています。
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ライズ スペースはe-SMART HYBRIDの採用が期待される
「ライズスペース」および「ロッキースペース」のパワートレインについては、
シリーズ式ハイブリッドの「e-SMART HYBRID」の搭載が期待されています。
この「e-SMART HYBRID」はこれまで、ロッキーとライズに限り採用されていましたが、認証不正の問題により、長らく生産、出荷が停止されてきました。
この問題も解消され、2024年7月に生産が再開しましたが、2024年11月施行の法規対応が遅れ、販売停止期間が生じる見込みです。
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新型ライズ スペースはSUVスタイル、パッケージングに優れたシエンタと差別化
新型ライズ スペースのボディサイズは、インドネシア セニアの全長4,395mm×全幅1,730mm×全高1,700mmと近くなることが想定される。日本仕様を考えた場合、専用エクステリアで全幅を1.7m未満に抑えられるかどうかも焦点になるだろう。また、全長はトヨタの小型ミニバン「シエンタ」の4,260mmを超えている。シエンタは2022年のフルモデルチェンジで新型となったが、全高が+20mmとなったのみで、従来型から大型化をほとんど受けずコンパクトサイズが維持された。
新型ライズ スペースのエクステリアは、やはり小型SUVのロッキーの流れを汲んだものとなるはず。一方で新型シエンタは、大型サイドモールの採用などにより、SUVテイストに仕上げられたもののデザインの方向性は大きく異なる。
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新型ライズ スペースには、e-SMART HYBRIDの搭載に期待
新型ライズ スペースのパワートレインをインドネシア セニアと共通化させ、国内販売した場合、少なくとも環境性能の面では力不足となりそう。搭載される1.3L NAの1NR-VE型は新興国向けのエンジンであり、もう一つの1.5L NAの2NR-VE型についても、国内の現行ラインナップで導入例はあるが、グランマックス、タウンエースなど商用モデルでの採用に留まっている。
こういった状況を考えると、国内向けには専用パワートレインの導入が必須となりそう。そんななか搭載が期待されるのがシリーズ式ハイブリッドシステムの「e-SMART HYBRID」である。「e-SMART HYBRID」は現在のところ、「ロッキー」「ライズ」のみで搭載されるが、今後、採用モデルを拡大させていかねば、開発コストを回収できない状況にある。新型ライズ スペースには、ハイブリッドモデルの採用が予想される。
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新型ミニバン ライズ スペースは「SUV×3列シート」をDNGAプラットフォームで実現する
小型ミニバンとしての新型ライズ スペースの発売が待望されるが、かつてのダイハツ生産の国内向け小型ミニバンといえば、2012年まで販売されたブーンルミナスと、その姉妹車種トヨタ・パッソセッテがあったが、これらはセールス的には成功しなかった。当初の計画は、トヨタ生産のシエンタシリーズを廃止し、ダイハツ生産モデルに切り替えるというものであったが、この通りにはならなかった。現行ラインアップを見てもシエンタシリーズのみが継続されている状況だ。
しかし、その後もダイハツでは、ブーンルミナスを後継する国内向け小型ミニバンの可能性について意欲的な姿勢を見せてきた。2017年の東京モーターショー発表のコンセプトカー「DN MULTISIX」では、SUVテイストのデザインを取り入れることで、小型の3列シート車ながらも所有欲が満たされそうな、デザイン性の高い内外装が特徴であった。
小型ミニバンのカテゴリで先行するシエンタ、フリードが居住性重視の設計により多数のユーザーニーズに応えていくなか、ダイハツは当時のトレンドであった「SUV×3列シート」というコンセプトを小型車で模索していた。マツダのCX-8が発売され人気となったのも同じ2017年であった。
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新型「ライズ スペース」まとめ
まとめ更新日: 2024/10/06
- トヨタは「ライズ スペース」を商標登録
- ダイハツは「ロッキー スペース」を商標登録
- ライズの室内空間拡大版が想定される
- 2列シート車か3列シート車は未確定
- エクステリアはSUVスタイルか
- 3列シートミニバンであるならインドネシア セニアの日本仕様の可能性
- e-SMART HYBRIDの搭載が期待される
- ダイハツは、小型車開発を継続する方針が示された