ホンダは2023年冬にオデッセイの改良モデルを発売することを発表した。予てより噂されていた中国生産モデルの国内販売ということになる。先行予約は2023年秋から開始される予定となっている。前モデルは、狭山工場の完成車の生産終了に伴い、2021年末に販売終了していた。
ホンダが中国市場で展開するミニバンラインアップは、广汽本田(広州)のオデッセイと、東風本田(武漢)のエリシオンという2種類の姉妹車種で、それぞれに専用のエクステリアが与えられてきた。
中国生産モデルによるオデッセイの復活については、国内生産モデルが終了するタイミングでも噂されていたが、ベースとなるモデルが中国仕様オデッセイなのか、中国仕様エリシオンになるのかがはっきりとしていなかった。
今回公開された新型オデッセイのエクステリアによって、中国仕様オデッセイをベースに計画されていることが判明した。新フロントグリルで存在感を高めた「精錬」をコンセプトとしたデザインが特徴となる。新グレード「e:HEV ABSOLUTE・EX BLACK EDITION」が設定され、ブラックを基調としたプレミアムなイメージが演出される。
インテリアには、本革シートや2列目の4ウェイパワーシート、シートヒーター、折りたたみ式シートセンターテーブルが採用され、エレクトリックギアセレクターやワイヤレス充電器が新たに装備される。
安全面では、Honda SENSINGに近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビーム、急アクセル抑制機能が追加され、Honda CONNECTとHonda Total Careプレミアムでコネクテッドサービスが利用可能となる。
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新型オデッセイはマイナーチェンジでライバルミニバンに対抗
「広汽ホンダ・オデッセイ」と「東風ホンダ・エリシオン」の両モデルは2021年にマイナーチェンジが施されており、現地での人気も高い。むしろ、直近の5代目オデッセイに相当するモデルについては、開発当初から主力市場が中国に移された感があった。2013年4月の上海モーターショーでは、デザインスタディモデルの「Concept M」が初公開されるなど、日本よりも中国でのプロモーションが目立っていた。
一方で、日本のラージクラスミニバン市場は、「トヨタ・アルファード」の一強状態が続いており、姉妹車種の「ヴェルファイア」と合わせてトヨタ勢に寡占されている。これらは2023年6月にフルモデルチェンジ発表が実施される見込みで、同市場の活性化が予想される。ホンダも中国から輸入したオデッセイ改良モデルでラインアップを復活させることになるが、国内生産の最新型の導入となるトヨタ勢に対して、商品力では大きく劣ることになりそう。
ただし、新型アルファード、新型ヴェルファイアは納期や生産量などの理由で、入手困難になることは、ほぼ間違いなく、比較的低価格で納期が早いオデッセイにもいくらかの商機はあるかもしれない。
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オデッセイ復活を機にフェイスリフト(マイナーチェンジ)実施、新フロントグリル採用
直近まで国内販売されていたオデッセイは、2013年11月発売の5代目モデル。日本仕様では、2017年11月、2020年11月と2回のマイナーチェンジを受けており、3~4年毎にフェイスリフトが実施されてきた。
2023年秋の予約受注開始のよる販売再開は、前回マイナーチェンジから3年目が過ぎることになり、新デザインの導入が期待されてきた。
「精錬」をコンセプトとした新フロントグリルで存在感が高められた、新型オデッセイは、2023年10月に開催されるジャパンモビリティショーでも出品されることになるだろう。
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復活後もオデッセイのモデルネームで販売
ホンダのかつての国内ラインアップでは、3列シートミニバンを2車種同時にラインアップしていたが、全高が低いタイプを「オデッセイ」、全高が高いタイプを「エリシオン」としていた。当初は、ミニバンブームのなかで「オデッセイ」が人気を博したものの、居住性に優れた全高の高いミニバンにニーズが変化していった。そんななか、エリシオンのセールスは振るわず、同クラスのライバル車に対して不人気車となってしまった。
2013年には、「オデッセイ」をフルモデルチェンジさせたが、これは「エリシオン」の直接後継に相当するような全高が高いタイプの新型ミニバンとなった。
従来型オデッセイの国内生産の終了は、狭山工場の完成車生産終了に伴うもので、このほかに「レジェンド」「クラリティ」といったモデルは廃止となった。「ステップワゴン」のようにフルモデルチェンジが実施され寄居工場へ移管されていった車種もある。