ホンダのN-BOXがいよいよマイナーモデルチェンジとなる。現在、従来型モデルの新規受注を停止しており、在庫販売のみに切り替わっている。本来ならもっと早い時期が想定されていたが遅くなった。正式なマイナーモデルチェンジは2020年12月頃になりそう。
後期型N-BOX、全車速ACCと電子制御パーキングブレーキの装備は見送りか
現行型N-BOXは2017年に発売された2代目モデルである。今回のマイナーモデルチェンジは販売期間3年半が経過するタイミングで、後期型に切り替わるということになる。そして、この後期型N-BOXで、新たに装備されることが期待されていたのが、全車速ACC(オートクルーズコントロール)と、電子制御パーキングブレーキである。ただし、これらは見送りとなっている可能性がある。
N-BOXのマイチェン、ACCの改良は盛り込まれる見込み
既に、前期型の生産が終わっているということは、後期型の生産、あるいはその準備が進められているということ。つまり後期型の仕様については確定しているはずである。それでも全車速ACCについての確定的情報が出てこないのは、従来型在庫の販売に影響が出るためだろう。この手の情報は、厳しい箝口令が敷かれているケースが多い。
ただし、ACCの改良は盛り込まれる見込みで、これは全車速までとはならず、対応速度域が拡大される程度にとどまりそうである。
なぜN-BOXに全車速ACCが望まれるのか
今回のN-BOXのマイナーモデルチェンジにおいて、全車速ACCが特に望まれていたのには理由がある。軽スーパーハイトワゴンとしてカテゴライズされるライバル車種、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タント、日産・ルークスの何れもが全車速ACCを装備しており、残るはN-BOXだけという状況なのである。
そして、同じホンダの軽自動車、N-WGNも2019年のフルモデルチェンジで全車速ACCと電子制御パーキングブレーキを装備済みで、同様にN-BOXにも適用させれば、技術的なハードルは低いはずと考えるからだ。
N-BOXは、全車速ACCを装備しなくても、売れる
一方で、今回のN-BOXのマイナーモデルチェンジのタイミングでは、敢えて全車速ACCを装備させないというのも合理性がある。ホンダには全車速ACCが無くともN-BOXを売っていける自信があるはずだ。
先月2020年9月の軽自動車販売台数は、
1位 N-BOX 18,630台
2位 スペーシア 15,592台
3位 タント 11,897台
4位 ルークス 10,736台
といった結果となっている。
N-BOXの人気は相変わらずのようで、全車速ACCを付けなくてもセールス面で問題が無いことは実証済みなのである。もちろんいつまでもN-BOXに全車速ACCを装備できないままでいると、いずれは販売面でのデメリットが大きくなるだろうが、当面は心配が無さそうである。
ホンダが本当に売りたいのはフィット、ヤリスに大差をつけられ負けている
むしろホンダとしてはフルモデルチェンジから間もないフィットを売りたいはず。2020年2月に発売となったフィットは、当初はライバルのトヨタ・ヤリスに販売台数でリードしていたが、その後ヤリスが追い抜いている。先月2020年9月の販売台数は、ヤリスが22,066台、フィットが8,922台となっており、いつの間にかヤリスの完全勝利という状況になっているのである。
軽スーパーハイトワゴンとBセグメントコンパクトは競合しやすく、必要以上にN-BOXを魅力的にしても、それはそれで問題なのである。
ちなみに、フィットは全車速ACC装備だが、ヤリスは未装備。全車速ACCは、現状の小型車クラスでは販売競争の決め手になっていないようにも思える。
モデル末期のテコ入れで、全車速ACC導入を期待
今回のN-BOXマイナーモデルチェンジの目玉は、エクステリアの大幅刷新ということになるだろう。人気車種だけあって街中で溢れてきた感もある。そんななかでのフェイスリフトの効果は大きい。
またインテリアデザインもリフレッシュされる。シートバックテーブルの標準装備化も見込まれている。
ただ、競争の激しい軽スーパーハイトワゴン市場において、N-BOXがこの程度のマイナーモデルチェンジで、フルモデルチェンジまでおよそ3年を乗り切れるのか微妙でもある。この先、モデル末期のテコ入れで、全車速ACCが導入される可能性も残されているのではないだろうか。