新型コペンとJMS2025――「K-OPEN」と「K-OPEN ランニングプロト」で見えた次の一歩
ジャパンモビリティショー2025のダイハツ・ブースでは、「新型コペン」を示す2つの展示が中心にありました。
ひとつは、デザインと思想を示す『K-OPEN』で、新型の市販車のような雰囲気を帯びていますが、現時点でそのままの量産は否定されています。
もうひとつは実際に走って確かめるための試作車「K-OPEN ランニングプロト」です。
ダイハツは、軽自動車サイズで、前のタイヤで曲がり、後ろのタイヤで走る力を出す“FR”という走りの仕組みを、新しいコペンの方向性として強く打ち出しました。
従来型コペンの2026年8月末の生産終了が予告されるなか、リアリティのある後継モデルが示されました。
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新型コペンのキーワードは「軽×FR」
新型コペンに向けた今回の提案では、軽自動車の規格でFRを目指すことがはっきり示されました。
これまでのコペンはFF(エンジンが横向きで前のタイヤが走る力も受け持つ方式)でしたが、次の世代では走りの気持ちよさをもっと大切にしたFRで開発が進められています。
軽だからこその取り回しや、風を感じるオープンの気持ちよさを、より多くの人が“気軽に”味わえる方向へ進めるという考え方です。
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「K-OPEN」は“考えを見せる”モデル
「K-OPEN」は量産前提の最終形ではなく、あくまで“次のコペンの考え方”を伝える提案です。
軽やかなオープンエアの気持ちよさと、FRらしい素直なハンドリングを両立させることを目標に掲げています。市販の時期や細かな仕様は決まっていませんが、目指す方向を明確に示した展示でした。
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「K-OPEN ランニングプロト」は“作って走って確かめる”車両
「K-OPEN」と同時に置かれた「K-OPEN ランニングプロト」は、実際に動く試作車です。
エクステリアは現行コペンクーペですが、パワートレインは、次期型に向けたテスト車両です。新しいコペンの走りをちゃんと確かめるために、まずは作って、動かして、試す。そんな考えでつくられています。
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新型コペン、K-OPEN ランニングプロトで見えた具体像――縦置きターボとFR化の研究
「ランニングプロト」は、現行型コペンのボディをベースにしながら、エンジンを“縦置き”で搭載していました。
縦置きというのは、クルマの進む向きに対してエンジンのクランク軸が前後に向く置き方で、FRに適したレイアウトです。ここでは軽商用車のハイゼット系に使われる直列3気筒ターボのユニットが採用され、低い位置に収まるよう工夫されていました。
前側にエンジン、長い棒のようなプロペラシャフトで力を後ろへ送り、後ろのタイヤで路面を蹴る――そんなFRの仕組みを、量産部品をできるだけ使いながら実験しているのが特徴です。
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量産部品の活用とパッケージの工夫
後輪の力を受け止めるためには、デフ(後輪へ力を分ける装置)やドライブシャフトが必要です。
ここでもハイゼットの部品を活用する方向が示されました。床下にはプロペラシャフトを通すスペースが必要になりますが、大がかりな加工に頼りすぎず、マウント(固定方法)の工夫で縦置きエンジン化を試しているのが印象的でした。ホイールベース(前後のタイヤの間隔)も含めて、軽×FRの最適解を探る段階です。
トランスミッションについても、現行のハイゼット系と同様に、CVTと5MTの両方を設定しやすいことが見込まれます。軽スポーツらしく、運転する楽しさを重視した5MTの選択肢が見えるのは、クルマ好きにはうれしい話です。一方で、普段使いのしやすさを考えるとCVTの存在も重要です。
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ルーフ方式と足まわりは検討中
屋根の方式は、電動ハードトップ、ソフトトップ、タルガトップなど複数が検討されています。
軽量化や静粛性、荷物の積みやすさなど、オープンカーには考えるべきポイントがたくさんあります。後ろのサスペンションも、コスト重視か走り重視かで方式が変わります。現時点では“未定”ですが、ここはまさに開発の腕の見せどころです。
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新型コペンの“今”にたどり着くまで――1.3LターボのVISION COPENからの転身
少し前をふり返ると、2023年のジャパンモビリティショーでは「VISION COPEN」というコンセプトカーが登場しました。
こちらは軽ではなく小型車サイズで、1.3Lのエンジンを縦置きにしたFRという提案でした。想定寸法は全長3835mm、全幅1695mm、全高1265mm、ホイールベース2415mmとされ、軽規格を超える5ナンバー小型車でコペンの次を狙う、という方向性が示されていました。
丸いデイタイムライトや、電動開閉式ルーフ(アクティブトップ)の継承にふさわしいスタイルも特徴でした。
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“軽に回帰”という見立て
その後も注目は続き、2025年5月には滋賀の竜王フェスタでもVISION COPENが再び展示されました。
ところが2025年秋のJMSでは、同じ“FR”でも軽自動車サイズの「K-OPEN」が前面に出てきます。
小型×1.3LのVISION COPENから、軽×660cc未満に重心を移したわけです。ここには市場の声や、メーカーの現在の考え方が反映されている、という見方ができます。
軽ならではの“気軽さ”を守りながら、FRの楽しさを実現したい。新型コペンの道筋は、より多くの人が手にしやすい軽スポーツへと調整された、と受け止められます。
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トヨタ/ダイハツの関わり方
JMS2025の場では、グループとして次のコペンに関与を強める趣旨の発言も紹介されました。
次期コペンでもGRブランドによる商品設定を期待する声もあります。どのような形になるかはまだわかりませんが、軽×FRの挑戦は、グループの知見を生かせるテーマでもあります。
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新型コペンの発売期待高まる、現行コペンは2026年8月末で生産を終了
新型の検討が進む一方で、現行コペンについては2026年8月末で生産を終了することが正式に発表されています。
すでにWebカタログでも生産終了の案内が掲出され、在庫がなくなり次第、販売も順次締め切られていきます。
ただしダイハツは、コペンで培ってきたモノづくりの精神や技術、そしてファンとの絆を未来につなげるという強い意思をあわせて表明しています。全国でのイベント開催も告知され、感謝を形にしながら次の一歩へ進む姿勢が伝えられました。
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新型コペンは“いつ出るの?”という問いに対して
「いつ発売?」という問いは当然ですが、今はまだ“テストと検討の段階”です。
JMS2025で示されたのは、軽でFRのオープンスポーツを実現するという方向性と、それを確かめるために本当に走る試作車を作っている、という事実です。
ルーフ方式やサスペンション形式、トランスミッションの最終決定、そして安全や環境などの最新基準への適合――やるべきことは多く、だからこそ「ランニングプロト」が大切なのだと受け取れます。
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“気軽で楽しいFR”をどう形にするか
軽×FRの新型コペンは、ハンドルを切ればスッと頭が入っていき、アクセルを踏めば後ろのタイヤがグッと路面をつかむ、そんな操る楽しさを目指しています。
軽さはスポーツの大きな武器で、エンジンの力をムダなく使えるから、日常の速度域でも気持ちよさを感じやすいのです。
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もう一度“コペンらしさ”へ
コペンは、初代から“軽のオープンカーをみんなに広めた”存在でした。
現行型は2014年6月に登場し、長い間ファンに愛され続けてきました。次のコペンに向けて、ダイハツは初心をもう一度見つめ直し、“気軽で楽しいオープンスポーツ”の価値を、軽×FRという新しいやり方で磨こうとしています。
JMS2025の展示は、その意思表示でした。デザインを見せる「K-OPEN」と、走って学ぶ「K-OPEN ランニングプロト」。この2本立てから、次の一歩が生まれていくはずです。
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VISION COPENの意匠登録画像が公開
2024年3月4日には、ダイハツが意匠登録した新たな画像が公開されました。
車体デザインは、ジャパンモビリティショー2023で出品された「VISION COPEN」そのものの姿に見えます。当該意匠は、同ショー出品前の2023年9月28日に出願されていました。
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コペンが一部仕様変更で法規対応、販売再開 2024年12月
コペンは2024年11月に施行された新たな法規に対応できず、一時的に販売を停止していましたが、2024年12月10日に安全性能の向上などを含む一部仕様変更が行われ、販売が再開されました。
この再販売にあたっては原材料価格の高騰などを理由に94,600円から140,800円の値上げが実施され、ユーザーにとっては新たな負担増も生じることとなりました。
また、これまでラインアップされていたクロスオーバーテイストのXPLAYシリーズが廃止されるといった大幅な変更もあり、モデル末期に向けて商品ラインアップの整理が進められたと考えられます。
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コペン 価格表 2024年12月
| モデル名 | 変速機 | 消費税込み(円) | ||
| 旧価格 | 新価格 | 値上げ | ||
| Robe | 7速付きCVT | 1,888,700 | 1,983,300 | 94,600 |
| Robe | 5MT | 1,910,700 | 2,038,300 | 127,600 |
| Robe S | 7速付きCVT | 2,092,200 | 2,196,700 | 104,500 |
| Robe S | 5MT | 2,114,200 | 2,251,700 | 137,500 |
| Cero | 7速付きCVT | 1,943,700 | 2,040,500 | 96,800 |
| Cero | 5MT | 1,965,700 | 2,095,500 | 129,800 |
| Cero S | 7速付きCVT | 2,147,200 | 2,255,000 | 107,800 |
| Cero S | 5MT | 2,169,200 | 2,310,000 | 140,800 |
| GR SPORT | 7速付きCVT | 2,382,200 | 2,501,400 | 119,200 |
| GR SPORT | 5MT | 2,437,200 | 2,556,400 | 119,200 |
| XPLAY | 7速付きCVT | 1,888,700 | 廃止 | – |
| XPLAY | 5MT | 1,910,700 | 廃止 | – |
| XPLAY S | 7速付きCVT | 2,092,200 | 廃止 | – |
| XPLAY S | 5MT | 2,114,200 | 廃止 | – |
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コペン 20周年記念特別仕様車 2022年6月
ダイハツの軽オープンスポーツカー「COPEN(コペン)」が、2022年6月で初代モデル発売から20年を迎えた。20周年を記念する特別仕様車が設定され2022年9月に発売された。
初代「コペン」は、誰もが気軽に楽しめる本格的オープン・スポーツカーとして開発され、ユニークな外観デザインや電動開閉式ルーフ(アクティブトップ)等の高い商品性と「持つ悦び、操る楽しさ」が評価された。
さらに、2014年のフルモデルチェンジで発売された2代目モデルでは、コペンの象徴ともいえる電動式開閉ルーフは継承しつつ、新骨格構造「D-Frame」、内外装着脱構造「DRESS—FORMATION」の採用により「感動の走行性能」と「自分らしさを表現できるクルマ」が実現された。
「Robe(ローブ)」、「XPLAY(エクスプレイ)」に加え、2015年に「Cero(セロ)」、2019年には第4のモデルとして「GR SPORT(ジーアール スポーツ)」が発売された。
20周年を記念して2代目として初となるTVCMの放映を開始された。
またスペシャルサイトにて、これまでのコペンの歩みと特別仕様車の情報が公開されている。
この20周年記念特別仕様車は、1,000台限定生産で、2022年6月20日(月)より全国一斉に先行受注が開始された。その後、6月24日(金)に、受注台数が1,000台に達し、既にオーダー受付を終了させている。
丸目のヘッドランプが初代を想起させる「セロ」をベースに、1台1台職人が手作りでつくりあげるコペンの上質さを際立たせる特別装備として、2代目では初めてとなる本革製のスポーツシートが採用された。
自然の中で美しく映える、アイボリーの内装色とシートのコーディネートに加え、20周年の記念エンブレムとシリアルナンバー入りのスカッフプレートで特別感が演出される。
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新型コペン まとめ
まとめ更新日: 2025/11/11
- JMS2025で「K-OPEN」と「K-OPEN ランニングプロト」を公開
- 次期方針は「軽×FR」で走りの楽しさを重視
- 「K-OPEN」は量産最終形ではなく思想提示のモデル
- 「ランニングプロト」は縦置きターボ+FR構成を検証
- ハイゼット系の量産部品活用で現実解を探索
- トランスミッションはCVTと5MTの両方が見込まれる
- ルーフ形式とリアサスペンションは検討継続中
- VISION COPEN(1.3L・小型FR)から“軽へ回帰”の流れ
- 現行コペンは2026年8月末に生産終了が公表済み
- 次期コペンの発売時期は未定
K-OPEN 画像 ジャパンモビリティショー2025年10月
K-OPEN ランニングプロト 画像 ジャパンモビリティショー2025年10月
コペン 一部仕様変更 2024年12月
- 2024年12月、一部仕様変更で法規対応し販売再開
- XPLAY廃止
- 値上げ
































































































































