レクサスUX300e日本向け135台の理由、CAFE規制でEVは欧州中国優先

UX

レクサスからUX300eが2020年10月22日に国内発売された。2020年度内の国内割り当て台数は、わずかに135台ということで、抽選で当たらなければ買えない状況である。なぜ、日本の割り当て台数がこんなにも少ないのか、これについて欧州、中国のEV政策の面からまとめてみる。

ux300e

UX300e

まずは、発売されたレクサス UX300e、こんな電気自動車

UX300eは2019年の広州モーターショーでワールドプレミアされ、中国、欧州で先行して発売されてきた。日本発売は2021年が予想されていたが、以外にも早くなった。ただし、わずか135台という国内割り当て台数を考えれば「名目上の発売」にも思える。

UX300e EVシステム

UX300e

UX300eは、GA-Cプラットフォーム+EV

ボディサイズは全長4495mm×全幅1840mm×全高1540mm、ホイールベース2640mmのGA-Cプラットフォーム採用車種である。このあたりは他のUXシリーズと変わりは無い。

搭載されるモーターは、最高出力150kW(203PS)、最大トルク300Nm(30.5kgfm)のパフォーマンスで前輪駆動となる。

リチウムイオン式の駆動用バッテリーは54.4kWhでフロア内部に敷き詰められる。

フル充電からの航続距離はWLTCモードで367km。50kWの急速充電スタンドを利用すればチャージ時間は約50分で75%、約80分で100%となる。

200V 16Aの普通充電であれば、約14時間で100%とかなり時間がかかる。

EVプラットフォーム

UX300e

車両価格は580万円から

2グレード用意され、

  • UX300e version L (635万円)
  • UX300e version C (580万円)

いずれも消費税込み車両価格となる。

UX300e 充電

UX300e

実はCH-Rも既に中国ではEV化していた

トヨタ系プラットフォームのGA-C採用車種がEV化されたということで、他のCセグメント車種への展開を考えた場合、技術的ハードルが低くなることも注目される。

GA-Cプラットフォーム採用車種はプリウス、C-HR、カローラシリーズといったあたり。

ただし、CH-Rとその姉妹モデルであるIZOA(イゾア)に関しては、既に中国向けにはEVモデルがラインアップされてきた。

CH-R / IZOA EV

CH-R / IZOA EV

多くのメーカーでEVは、中国、欧州向けが優先される

現状の各国、地域の環境車に対する優遇や規制の状況を考えると、EVについては当面は中国、欧州向けと考えるメーカーが多くなりそうである。その理由は以下の通りである。

中国、欧州では、EVがゼロ・エミッションでカウントされる

中国と欧州におけるEVは、ゼロ・エミッション扱い、つまりCO2排出量ゼロでカウントされるのだ。

日本などの基準では、EVはゼロ・エミッションではない。EVとはいえ、CO2は、バッテリーの生産過程でも発生するし、チャージ電力を火力発電しても発生する。実質的なCO2排出量を想定し、個々のEVはこれに基づいた算出がなされる。

ただし中国、欧州で、EVのCO2排出量をゼロカウントすることが、インチキであるかと言えばそうでもない。地球規模のCO2排出量よりも、まずは都市部で発生する局地的な環境悪化の改善を進めることにも大義はある。

EVのゼロ・エミッションと、CAFE方式によるCO2排出量算出

そして、EVのゼロ・エミッションと、CAFE方式による規制が結びつくことが、各メーカーが欧州と中国でEVを売らなければならない事情に直結している。CAFE方式は、メーカーごとの一台あたり平均CO2排出量に基づく規制である。

このCAFE方式によるルールでは、販売車種の全てで燃費性能を向上させ続けることも大事だが、それよりもCO2ゼロカウントのEVの台数を増やすことが、効果的に目標達成に結びつく。

極端な例を言えば、マツダがEV車種を欧州、中国で大ヒットさせれば、CO2排出量の空いた枠で、燃費面で不利なロータリーエンジン搭載車をラインアップさせることも夢ではないというわけだ。

欧州では2021年よりCO2排出量未達に対する罰金がスタート

欧州では2021年からCAFE方式による目標未達メーカーに対する罰金がスタートする。おそらく多額の罰金を支払わなくて済むのは、日系メーカーでは、ハイブリッド車で強みを持つトヨタのみとなりそう。

欧州出身メーカーでは、フォルクスワーゲンの罰金は高額となる見込み。

またドイツ系のプレミアムブランドや、フェラーリ、ランボルギーニなど平均車両価格が高額となるメーカーは、車両価格に対する罰金の比率が小さいので、大きな痛手とはなりにくい。

中国はCAFCとNEV、EVナンバープレート発行優遇

中国のCAFC規制も、呼称が少し違うが、概念はCAFE方式と同じである。さらにNEVの規制もあり、2つでデュアルクレジット規制と呼ばれている。

NEVは、BEV(バッテリーEV)、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCEV(燃料電池自動車)の生産比率に関する規制である。2020年は10%が目標で、年々2%上昇が予定されている。

また、渋滞や大気汚染の問題が深刻な大都市では、ナンバープレート発行の制限も行われている。EVであればナンバープレート発行がされやすいというわけだ。深センなど特定の都市でEVが多いのも、そこが先進地域であること以上に、政策的な規制と優遇が作り上げたものでもある。

中国 EV

日本のCAFE規制は足並みを揃える素振りだけ

一方で、日本でもCAFE方式に基づいた規制はあるが、基準に達しなかった場合の罰金は、ほぼ無いに等しい。

米国は逆に従来型ガソリン車に対する規制を緩和する動きすらある。

EVは都市部の環境改善には、確実に効果を発揮するが、地球規模のトータルCO2排出量の削減については、限定的であるのが実情である。なにより車両価格が高額となってしまうことは、結果として、古く環境性能の低いクルマが長く乗り続けられるというデメリットも考えなくてはならない。

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