スズキとVWの提携解消発表から2ヶ月が経過
今から約2年前、2009年12月にスズキとVWの提携は始まった。
VWは、スズキの得意分野であるインドを中心とする新興国市場向けの低価格車の開発と、その販売網を得るのが目的。
一方でスズキは、VWのハイブリッド技術やEVといった環境技術の獲得が狙いで、両社の提携締結に至った。
その条件となったのが、スズキ株の19.9%をVWが保有するというもの。
19.9%という数値は、スズキがVWの子会社になるには足りない数値ではあるが、VWはスズキの筆頭株主ということになる。
VWに19.9%も株式を握られている状況では、スズキ経営陣とVWの友好関係が保てなければ、VWがスズキを敵対買収することも可能というわけだ。
スズキ経営陣によるスズキ株の保有がほとんどないことが、スズキ経営陣側にとって弱みになっていた。
提携締結には至ったものの、両社の間には具体的な相互提供がほとんど無いまま1年が過ぎた。
そして、2011年3月にVWが発行する株主報告書に、スズキがVWの持分法適用会社であると記載されたことに、スズキ経営陣は猛反発。
スズキ経営陣はVWからの環境技術提供は受けれないと判断し、次の技術提携先を模索。
2011年6月には、フィアットとディーゼルエンジンの供給を受ける提携を結び、VWとの仲違いが決定的となった。
2011年9月にスズキは、VWとの提携解消を発表。
提携解消の話し合いは難航し、現在も同意に至っていない。
スズキ株が含み損、VWが保有する株式を売却できない
提携解消すら難航する原因は、VWが保有するスズキ株が含み損を抱えてしまっていることにあるとされている。
取得時に1株2061円だったスズキ株は、本日2011/11/8の引値で1641円。
VWが総額2225億円で取得したスズキ株は、現在1772億円の価値しかない。
ただし、この間にユーロ円が130円から108円に円高になったことを計算に入れれば、実質的には約17.1億ユーロの取得額が16.4億ユーロへと、4.2%程度の含み損で収まることになる。
自らのブランドイメージも傷付きかねないスズキ株の敵対買収による対抗は、VWにとっても得策では無いだろう。
提携解消問題の進展は、スズキ株の相場しだいになりそうだ。