燃料電池車、トヨタ・MIRAIがフルモデルチェンジ
トヨタから新型MIRAIが発売された。2014年に発売された初代モデルからのフルモデルチェンジとなる。初代モデルでは、セダン派生の個性的なボディスタイルが与えられ、FCVであることを主張するデザインであった。今回の新型は、スタイリッシュな普通の高級セダンに仕上げられた。
新型ミライ 二代目モデルは、クラウン後継としての高級サルーン
さて、新型MIRAIの詳細をお伝えする前に、トヨタのラインアップでは大きな改革が行われようとしている。長年、フラッグシップサルーンの座に君臨し続けてきたクラウンが、いよいよ現行型で廃止となる見込みである。クラウンのモデルネームを継承する車種は計画されているようだが、これはSUVになる可能性が高い。トヨタの一つの時代が終わろうとしているのだ。
そんな中、発売されたのが新型MIRAIである。パワートレイン種別では燃料電池車(FCV)であるが、コンサバティブかつスポーティーな5人乗りのプレミアムセダンに仕上げられており、クラウンの実質的な後継車に相応しい仕上がりとなっている。
ガソリンエンジンがダサい時代が迫っている
「2030年半ばガソリン車禁止」、これは現在、政府で検討されている目標の一つであり、自動車業界に激震を与えた。
結局のところ、「ハイブリッド車は禁止されない」ということになりそうだが、欧州や中国ではハイブリッド車を含めたガソリン燃料車そのものを減らしていこうという動きがある。その場合、現行技術で第一の選択肢となるのは、EVということで概ね間違いないだろう。
ただし、トヨタは全方位での電動化戦略を進めており、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、EV、FCVを揃えたフルラインアップメーカーを維持するとしている。MIRAIはその一角、FCVを担うことになる。
プレミアムカーはFCVがスマート、3分で水素充填を完了させる
EVとFCVは、車体からのCO2排出量がゼロであるが、ユーザーの利便性において大きな違いがある。EVは長時間の充電が必要だが、FCVの新型MIRAIは3分で水素充填を完了させる。とはいえ、水素ステーションはまだまだ少ないのが現状だ。
トヨタは、初代MIRAIの10倍のペースで、新型MIRAIを市場投入するとしており、これに合わせて国内の水素ステーションも増やす計画でいる。水素ステーションが少ないという、FCV最大の弱点を払拭していく方針である。
初代モデルからスペックは大幅向上、価格帯は維持される
新型MIRAIは、GA-Lプラットフォームが採用される。初代モデルはSAIと共通プラットフォームであったが、新型はクラウンと共通プラットフォームである。車格的なクラスは段違いに上がった。
それでも新型MIRAIの車両価格は、消費税込み710万円~805万円に設定された。初代モデルの740万円より、むしろエントリー価格は下げられている。初代モデルの10倍売るというのも意気込みだけではないというのがわかる。
GA-Lプラットフォームということなので「FR」
ボンネットフード内に収まるのは、32kgにまで軽量化されたFCスタック。燃料電池最高出力は174psとなる。
初代モデルは前輪駆動であったが、新型は後輪駆動となる。搭載されるモーターの最高出力は182ps、最大トルクは30.6kgmとなる。
水素タンクはセンタートンネルに縦置き、リアシート下に横置き、ラゲッジに横置きの合計3本が搭載される。航続距離は約850kmとなる。
FCスタックには災害時の電源にも使える外部給電アウトレットを備える。