2021年に販売停止となっていたエスクードであるが、欧州仕様ビターラに新開発のストロングハイブリッドを搭載したモデルの販売がスタートしている。日本仕様の輸入販売再開の期待が高まっている。
これまでスズキの「ストロングハイブリッド」といえば、現行スイフトなどに搭載される1.2L+5速AGS+10kWモータのシステムを意味していたが、スズキは公式には「ストロングハイブリッド」呼称を使っておらず、単に「ハイブリッド」としていた。
今回からは「ストロングハイブリッド(STRONG HYBRID)」の表現を公式に使っており、その仕様は、K15C型1.5Lエンジン+6速AGS+24kW(33ps)モータのシステムとなった。
エスクード/ビターラは新開発ストロングハイブリッド搭載、欧州の事情でエンジンが左右されてきた
エスクードおよび欧州ビターラは2015年に発売された4代目モデルである。当初は、1.6L NAガソリンエンジンのM16A型が搭載されたが、2017年にK14C型の1.4L直噴ターボエンジン(ブースタージェットエンジン)搭載モデルがラインナップに追加された。その後、1.6Lモデルは廃止となっている。
K14C型は2.0L NAガソリンエンジンクラスからのリプレイスに相当し、最高出力136PS、最大トルク21.4kgmのパフォーマンスに仕上げられた。従来M16A型の117PS/15.4 kgmから大幅なパフォーマンスアップを果たしながらも、排気量ダウンと環境性能を向上を実現してきた。
エスクードは、ビターラの車名でグローバル販売されており、特に生産地でもある欧州が主力マーケットである。当時、欧州でトレンドであったダウンサイジングターボによる環境対策が取られてきた。
新型ビターラもK14D型48Vマイルドハイブリッドは継続された
新型エスクードも欧州の環境規制に大きく影響された。「Euro 6d」規制に対応するため、新開発パワートレインによる電動化が進められた。
従来型ビターラの欧州仕様は、2020年の段階でマイルドハイブリッド搭載モデルがデビューしていた。これは、前述の1.4LブースタージェットエンジンのK14C型をベースに、型式をK14D型に改め、48VタイプのISGを搭載したマイルドハイブリッドシステムの搭載であった。
この新開発K14D型ハイブリッドは、導入からまだ日が浅いこともあり、新型ビターラでも、ラインアップが継続されている。
K14D型48Vマイルドハイブリッドは、2021年11月に発表された新型S-CROSSでも採用されることが明らかとなっている。
そして新開発パワートレインは、33psモーターを搭載するストロングハイブリッドが採用された。
エスクードの欧州仕様、新型ビターラに搭載されるストロングハイブリッドとは
欧州仕様ビターラに搭載される新開発ストロングハイブリッドは、6速AGS(オートギアシフト)を使った、スズキ独自開発のシステムとなった。ちなみにスズキは、トヨタからハイブリッドシステムの供給を受けることを発表していたが、今回の新型ビターラはその対象では無い。
スズキはこれまでに、5速AGSと組み合わせたハイブリッドシステムとして、出力10kWのMGU(モータージェネレーターユニット)を使ったものがあり、先代ソリオや現行スイフトに採用されてきた。新型ビターラでは、これを超える高出力なモーターを使ったシステムとなった。
環境規制は各国地域で厳しくなっているが、特に欧州では罰金制度もスタートしている。スズキがラインアップするような普及価格帯のエンジン車は、ハイブリッド化によりCO2排出量を下げなければ、販売することが難しい状況だ。