新型エルグランド E53型、JMS 2025で発表
新型エルグランドがジャパンモビリティショー2025で世界初公開されました。
走りの根幹には第3世代e-POWERと最新e-4ORCEを採用し唯一のパワートレイン選択肢となります。
オットマンは助手席と2列目シートに採用されます。2列目シートはゼログラビティ思想のキャプテンシートが備わります。跳ね上げ式の3列目格納による荷室がレイアウトされます。
さらに、外観ではスライドドア車でありながらクリーンなサイドビューを実現する工夫が採られており、従来のエルグランドから一歩踏み込んだデザインと機能の両立が図られています。
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エクステリア:端正な面構成と“レール隠し”で仕立てるクリーンサイド
新型エルグランドのエクステリアは、フロントではドット柄をベールにしたたくましさと、LEDランプ類の繊細さを両立させているのが特徴です。
サイドはウエストラインの通し方とドア下部の抑揚でボリュームを端正に見せ、ボックス形状の効率を活かしつつも、のっぺり見えない陰影設計がなされています。
注目すべきは、スライドドアのレール処理です。リアクォーターガラスのボトムラインにレールを一体化することで、サイドパネルに露出した溝やカバーを視覚から消し、クリーンな面を確保しています。
レールの始端・終端の段差や目地が最小限に抑えられており、近接で見ても破綻のない仕上がりです。
リアは立ち気味のゲート面で荷室の効率を最大化し、コンビランプのグラフィックで夜間視認性と存在感を両立しています。
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スライドドアレール統合の背景:特許切れ技術の開放がもたらした自由度
リアクォーターガラスのボトムラインにスライドドアレールを一体化する手法は、トヨタ車体が1999年12月22日に出願した「特願平11-364158」に端を発します。
2002年の初代アルファードを皮切りに、ヴェルファイア、レクサスLMなどが採用してきた実績ある設計で、スライドドア車でありながらサイドビューをすっきり見せられるのが利点です。
この特許は存続期間満了によって消滅しており、現在は他社も同趣旨のレイアウトを採ることが容易となっているでしょう。
新型エルグランドがこの自由度を生かしたことで、スライドドアの利便性と高級ミニバンらしいクリーンな面表現が両立されました。
実車ではゴムモールの処理、クォーターガラスの下端ラインとの取り合いが巧みで、洗車やメンテナンス時の拭き取りやすさにも配慮が感じられます。
視覚的なノイズが減ることで、ボディカラーの発色や陰影の出方が素直になり、写真映えも向上します。
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インテリア:水平基調の表示系と“休める座席”で長距離の質を上げる
室内は、水平基調のインパネにより視界と見切りをよくし、メーターとセンターディスプレイの配置を最適化して視線移動を抑えています。
操作面の触感は上質で、スイッチ類のクリック感や回転ノブの抵抗がちょうどよく、長距離でのストレスを和らげる方向にまとめられています。
素材はソフトパッドを多用し、肘や掌が触れる面の“当たり”がよいのが印象的でした。
後席の電源や収納のレイアウトは、モバイル端末の充電やPC作業、映像視聴を想定した実用的な設計で、移動中の“過ごし方”を確実にアップデートしてくれます。
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電装:インパネ、ディスプレイオーディオに14.3インチ×2枚
ドライバーズシートからは14.3インチの横長ディスプレイ2枚の装備が確認でき、これらはフル液晶メーターとディスプレイオーディオであることが想定されます。
ディスプレイオーディオの下に空調関連のコントロールパネルが置かれます。これより下はしっかりした物理スイッチが採用され、操作負荷を下げています。
運転支援は加減速や停止保持の滑らかさが第一印象を左右しますが、モーター駆動の緻密な制御がここでも効いてきます。
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シート機構:助手席オットマン/2列目ゼログラビティ/3列目跳ね上げ式
オットマン(レッグレスト)は助手席と2列目シートに備わります。長距離での同乗休息や、運転交代時の仮眠など実用シーンで効く装備です。
2列目はゼログラビティ思想に基づくキャプテンシートで、骨盤から胸郭にかけての角度を適正化し、腰背部の緊張を減らす立体クッションを採用。伸縮式オットマンと相まって、移動中の疲労を穏やかにします。
3列目は“跳ね上げ式”の格納により、荷室を拡大させることができます。
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ユーティリティ:箱を“まっすぐ”積める荷室と使い勝手の造作
2列目のテーブルやカップホルダーの配置、電源の容量と口数も使い勝手に直結し、移動時間を“消費時間”から“活用時間”に変える下支えをします。
跳ね上げ式3列目と活用すれば、キャンプ用品など、嵩張る荷物のレイアウト自由度は大きく広がります。
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タイヤ&シャシー:235/60R18の素直さと、e-4ORCE協調の接地感
展示車は235/60R18が装着されていました。
60扁平は段差の角を丸める能力に優れ、18インチはステア応答と直進安定のバランスが取りやすい定番サイズです。
ミニバンは積載の増減や乗員数の変化が大きいため、ばね上のピッチングやロールをどう受け止めるかが肝になります。
今後、グレードによって19~20インチの設定や静粛指向タイヤの採用が拡張される可能性も考えられ、最終仕様の発表に注目したいところです。
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パワートレイン:第3世代e-POWER×ZR15DDTe、STARCで熱効率42%
パワートレインは、シリーズ式ハイブリッド「第3世代e-POWER」が唯一の選択肢となることがプレスリリースされています。
新開発1.5Lターボの発電特化型エンジン「ZR15DDTe」を組み合わせ、日産独自のSTARCコンセプトによる燃焼で熱効率42%を達成します。
シリーズ式の肝は、エンジンを常に高効率ゾーンで運転できることにあります。必要出力に応じて発電量を巧みに制御し、バッテリーの入出力とインバータ冷却を最適化。これにより市街地の微速域では滑らかさ、郊外や高速では静粛と伸びやかな巡航力を両立します。
エンジン直結がないため変速ショックがなく、加減速の“頭の揺れ”を抑えやすいのも長所です。
加えて、最新版e-4ORCEは前後トルク配分と回生配分を協調制御し、姿勢安定と路面追従性を高い次元で両立。濡れたマンホールやうねりのある路面でも、発進~低速域の扱いやすさが期待できます。
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静粛・乗り心地:酔いにくさを目標に据えた微小トルク制御
ミニバンで最も体感差が出るのが、0~40 km/hの微小トルク領域と、停止直前・再発進時の姿勢制御です。
e-POWERはモーターならではの緻密な出力制御で、駐車場の微速や渋滞のノロノロでも“ギクシャク”を抑えやすく、e-4ORCEの前後回生配分が減速度の立ち上がりを滑らかに整えます。
遮音材や吸音材の適用範囲は広く、床下・フェンダーライナー・ダッシュ周りの処理でロードノイズの耳障りな帯域をカット。
バックグラウンドノイズが低いほど会話や音楽、後席での作業が快適になり、長距離後の疲労感は確実に軽減されます。助手席オットマンと2列目ゼログラビティの“休める座席”も相まって、家族旅行や送迎での満足度は高い水準が見込めます。
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発売時期と市場展望:日本を核に電動ミニバンの新基準へ
公開時点で、日本での発売は2026年夏期が目安です。
第3世代e-POWERを中核に、e-4ORCEとの組み合わせを広範に用意する見込みで、WLTC燃費や航続実力は最終発表待ち。発電特化エンジンZR15DDTeは欧州キャシュカイ(2025年9月)や北米ローグ=日本名エクストレイル(2026年度)への展開も計画されており、ユニット規模の拡大によるコスト・信頼性面のメリットが期待できます。
日本市場ではアルファード/ヴェルファイアが長らく基準でしたが、電動四輪制御とシリーズ式ならではの滑らかさ、レール統合によるクリーンサイド、休める座席の完成度を武器に、新しい基準を提示する存在になり得ます。充電を前提としない“電動の恩恵”というメッセージも、生活導線に馴染みやすい魅力です。
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競合比較の視点:造形の清潔感、実用の即戦力、走りの“酔いにくさ”
競合と比べたとき、新型エルグランドの差別化は三つに集約されます。
第一に、レール統合によりスライドドアの利便を保ちながらクリーンなサイドビューを実現した造形の清潔感。
第二に、助手席オットマンや2列目ゼログラビティ、跳ね上げ式3列目がもたらす、家族旅行から機材運搬まで“今日から役に立つ”即戦力の実用。
第三に、シリーズ式×e-4ORCEによる微小トルク領域の扱いやすさ、停止直前や再発進の滑らかさがもたらす“酔いにくさ”。この三点が日常域の満足を底上げします。タイヤサイズ235/60R18の現実的な判断も、快適性と応答性のバランスを取りに行くセッティングに寄与します。
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新型エルグランド まとめ
まとめ更新日: 2025/11/03
- JMS 2025で世界初公開。日本発売は2026年夏期を想定。
 - スライドドアレールをリアクォーターガラスのボトムラインに一体化し、クリーンサイドを実現。
 - 当該レール統合は特許切れ技術の活用で自由度が拡大し、デザインと機能を両立。
 - 助手席オットマンを実車で確認。2列目はゼログラビティ思想+オットマンで“休める座席”。
 - 3列目は跳ね上げ式格納を現地で確認。床面を一定に保ち、長尺積みにも対応。
 - 展示車のタイヤは235/60R18を写真で確認。快適性と応答のバランスが良好。
 - 第3世代e-POWERを中核に、最新e-4ORCEと協調。微小トルク域の扱いやすさで“酔いにくさ”を狙う。
 - 発電特化の1.5Lターボ「ZR15DDTe」にSTARC燃焼を採用し、熱効率42%を掲げる。
 - 電装・HMIは“多く見せず速く伝える”思想。無線連携や後席映像環境が長距離の質を高める。
 - 競合に対し、造形の清潔感・実用即戦力・滑らかさの三点で勝負。量産発表で仕様確定へ。
 

  
  
  
  












































































































