ダイハツでは、「DN マルチシックス」のコンセプトを引き継ぐ、SUVテイストの3列シートミニバンの計画がある。そのモデルネームは、商標登録済みの「ロッキー スペース」となるかもしれない。さらに、OEM姉妹車種としてトヨタから発売される「ライズ スペース」も用意される見込みだ。
しかし、これら2モデルの市場投入の時期は、かなり遅れることになりそう。当初は2024年後半頃の発売が期待されたが、ダイハツの試験不正問題の影響を大きく受けて、大幅な延期となることは免れないだろう。
2024年2月2日には、全車種の生産停止から、一部車種での生産再開に向けての発表があった。まずは、安全性が確認された商用車のトヨタ「プロボックス」とマツダ「ファミリア バン」について、2024/2/12に京都工場で生産を再開する予定。
しかし、多くの車種については、具体的な生産再開時期すら示せない状況にある。
ダイハツでは、2023年5月のティザー開始が予定されていた、ムーヴのフルモデルチェンジすら、いつごろの実施になるのか全く読めない状況だ。ダイハツの新型車投入計画は1年程度は遅れて進行すると思われ、ロッキー スペース/ライズ スペースについては2025年以降の発売が予想される。
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ロッキー スペースは、3列シートとは限らない、2列シートの可能性も
「ロッキー スペース」は、モデルネームの通り、現行型ロッキーから室内空間が拡大されることは間違い無さそうだが、これが2列シート車なのか3列シート車なのかは未確定。ただし、アジア市場では先行してDNGAプラットフォーム採用の3列シートミニバンが販売されており、国内導入が待望される状況となっていた。
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新型ロッキー スペースは、インドネシアのミニバン「セニア」の国内版か?
ダイハツから「ロッキー スペース」なるモデルが、国内向けに導入されそうだが、アジア新興国では「DN MULTISIX」の市販型として相応しいモデルが、既に販売されている。2021年11月にインドネシア生産がスタートした「新型セニア」がこれにあたり、姉妹車種としてトヨタ・アバンザ、トヨタ・ヴェロッツも設定された。
さらに2022年7月には、マレーシア生産されるプロドゥア・アルザが姉妹車種に加わった。これら4姉妹車種のボディサイズは全長 4395mm × 全幅 1730 mm × 全高 1690-1700 mmで、ホイールベースは2750 mmでプラットフォームにはDNGA-Bが採用される。
これらは、エクステリアの雰囲気を含めて、コンパクトSUV「ロッキー」の7人乗りロングボデイ車に相当する。
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新型ロッキー スペースは後席スライドドアの装備が期待される
アジア新興国で販売される4姉妹ミニバンは、後席ドアとしてヒンジドアが採用されている。DN MULTISIXで示されたモデルは、後席ドアノブが前方にあることから、スライドドア装備車としての発売が期待されてきた。
国内向けの新型ロッキー スペースが3列シート ミニバンとなれば、スライドドアの装備は望まれるところ。
かつてのダイハツ生産の3列シートミニバン「ブーンルミナス」および「トヨタ・パッソセッテ」は、不人気モデルに終わったが、スライドドアが装備されていなかったことも原因の一つとして考えられた。
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ダイハツの小型3列シート ミニバン、インドネシア「シグラ」、マレーシア「アルザ」は日本市場では小さすぎる
新型ロッキースペースが3列シート車である場合、全長はセニアなどと同じ4.4m近くなることが予想される。ただし、ダイハツがアジア新興国で生産してきた3列シート装備のミニバンは、セニアなど4姉妹車種の他に、2016年よりインドネシアなどで販売される「シグラ」もある。
シグラのボディサイズは、全長4070mm×全幅1655mm×全高1600mm、ホイールベース2525mm。グローバルAセグメントプラットフォームをベースに開発された7人乗り仕様で、日本で販売するとなると、室内の狭さがニーズと合わないだろう。当然スライドドアも非装備となっている。シグラをベースとしたモデルが国内導入される可能性は低そうだ。
ちなみに、シグラには姉妹モデルとしてトヨタ・カリヤも用意され、ここでもトヨタブランドでのOEM車種が設定されている。
新型ロッキースペースは、2列シート車の可能性は残されるが
一方、新型ロッキースペースは、現行型ロッキーから全長を20cm程度延長させた2列シート車ではないか、という予想もある。後席居住性の向上とラゲッジスペースの拡大により、商品力が高められるというもので、そうなると、価格帯もキャラクターも「ヤリスクロス」と近くなり、トヨタのラインアップの中で差別化が難しくなりそうだ。
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国内ミニバンの新車ラッシュは、コンパクトセグメントにまで拡大
2022年は、中型ミニバンの販売競争が激しい年となった。トヨタ・ノア/ヴォクシー、ホンダ・ステップワゴン、日産・セレナが、フルモデルチェンジにより新型デビューした。
そして、国内ミニバンの販売競争は、小型ミニバンのカテゴリにまで拡大する。既にトヨタ・シエンタが2022年8月にフルモデルチェンジ発売されており、納期が長引く状況となっている。最大のライバルであるホンダ・フリードは、フルモデルチェンジがやや遅れるが2024年夏頃に実施される見込み。さらにダイハツのほか、日産も新規の3列シートミニバンをノートをベース開発中という噂もある。
このようにBセグメントカーをベースとした派生ミニバンを国内ブランド各社が用意してくるのも、昨今の自動車価格の値上がりが背景にありそうだ。新型となった中型ミニバンのエントリー価格は、ノアが267万円、ステップワゴンは約300万円、セレナが約277万円に設定された。いずれも主力モデルの価格帯は300万円台中盤となっており、従来からのユーザー層も容易に付いていくことができない。こういった状況の中で、一回り小さいサイズの3列シートミニバンを投入することで、ユーザーの求める価格帯を満たす狙いもありそうだ。
新型ロッキースペースは、インドネシアの「セニア」がベースとなることが予想される。DNGA-Bプラットフォーム採用ということになり、「e-SMART HYBRID」の搭載については問題が無いはず。ただし、日本仕様だけにスライドドア車を用意できるのかどうかは、現段階では判断が難しいところである。
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新型「ロッキースペース」まとめ
まとめ更新日: 2024/02/04
- 2012年4月にブーンルミナス/パッソセッテが販売終了
- 2017年に後継の3列シートミニバンコンセプト「DNマルチシックス」が発表
- 2021年にダイハツの新開発ハイブリッドシステム「e-SMART HYBRID」がロッキーに搭載され実用化
- 「ロッキー スペース」が商標登録済み(2023年5月)
- OEM姉妹車種として、トヨタ「ライズ スペース」あり
- 新型ロッキー スペースの発売時期は、大幅延期となり2025年以降の予想
- 1.2L e-SMART HYBRID搭載予想
- DNGAプラットフォーム採用予想
- インドネシア生産のセニアと多くの部分が共通化され、3列シート車となる可能性
- 従来型ロッキーを一回り大きくした2列シート車の可能性も