ホンダでは、シビックタイプRのフルモデルチェンジに向けての準備が進められている。東京オートサロン2022でも出品され、日本発売が待たれる段階となっていたが、発売時期は2022年秋頃が予想される。搭載されるエンジンは、従来型のブラッシュアップ版となる2.0LターボエンジンK20C型となり、電動化は見送られる。純ガソリンエンジンを搭載するシビックタイプRとしては、最後のモデルとなりそう。
新型シビックタイプRの価格は消費税込み500万円前後が予想される
2021年7月に販売終了となった従来型シビックタイプR(FK8型)の最終型は、通常TYPE Rの4,752,000円と、TYPE R・Limited Editionの5,500,000円が用意されていた。フルモデルチェンジにより値上りは予想されるが、噂されていたパワートレインの電動化が見送られ、従来型エンジンがキャリーオーバーされることで、その幅は小さくなりそう。
また、生産拠点の変更も価格面ではメリットとなるだろう。先代型は英国スウィンドン工場での生産であったが同工場は閉鎖となった。新型では寄居工場での国内生産となり、輸送費などの輸入コストが削減されることになる。さらに昨今の円安による影響も小さくなりそうだ。
東京オートサロンに出品されたモデルから察すると、タイヤサイズは従来型20インチから19インチに下げられる見込み。これも価格面では下げる要素となるはずだ。
これらのことを合わせると、フルモデルチェンジにより値上げは実施されるもののその幅は極端には大きくならない。通常グレードで消費税込み500万円前後の価格設定が予想される。
2022年のシビックシリーズは、タイプRとe:HEVモデルの追加が予告されていた
2021年からシビックシリーズの11代目となるフルモデルチェンジが進行中となっている。先行して導入されたガソリンターボエンジン搭載モデルに続き、ハイブリッドバージョンである2.0L e:HEV搭載モデルについても2022年7月1日に発売される予定となっている。
シビックタイプRについても、2022年の追加発売が公式に予告されていた。

シビックタイプRプロトタイプが東京オートサロン2022で出品された
東京オートサロン2022で出品された新型シビックタイプRプロトタイプは、ボディ表面に貼られている特別な擬装シールが特徴となっている。
これはドイツ ニュルブルクリンク サーキットでのタイムテストを終えたモデルと思われ、12月に入ってからは鈴鹿サーキットでの走行シーンもツイッターで公開されていた。
※ツイッターの利用規約に基づいた引用をさせていただいております。
Ready for 2022!#CivicTypeR #Suzuka pic.twitter.com/PS00qiljp3
— Honda 本田技研工業(株) (@HondaJP) December 13, 2021
また、新型シビックタイプRプロトタイプの展示は東京オートサロン限定としている。
新型シビックタイプRのスペックアップは少なそう、エンジンは電動化されずキャリーオーバー
ドイツ ニュルブルクリンク サーキットでのタイムテストモデルは、ボディ表面には偽装シールが貼られているものの、新型シビックタイプRのエクステリアを確認できるところまで来ている。
パワートレインについては明らかとされていない部分が多かったが、従来型の
K20C型2.0Lガソリンターボエンジンがキャリーオーバーされる見込み。
従来型FK8型の最終モデルに搭載されるK20C型のスペックは、最高出力320PS、最大トルク400Nmであった。ブラッシュアップにより、新型シビックタイプRでは、いくらかのパフォーマンスアップが期待されるが、その幅は大きくはならないことが予想される。
次期型シビックタイプRがコンベンショナルエンジン最終モデルの可能性、K20C型がそのまま継続される
新型シビックタイプRは、従来型(K20C型)キャリーオーバーの2.0L VTEC-TURBOを搭載し、コンベンショナルエンジン最終モデルとしてデビューする。
ホンダは2040年にグローバル生産モデルでエンジン車の全廃を宣言しており、EVとFCVのみの生産に移行していく。特に日本国内では、2030年の段階でハイブリッドを含めた電動化率100%の達成を予告している。
ホンダが明言している電動化タイミングに沿って考えていくと、2022年発売モデルはコンベンショナルエンジンとして発売できる最後のチャンスということになる。
ただし、無視できないのが欧州市場である。メーカーに課せられる罰金制度もスタートしており、新型タイプRがコンベンショナルエンジンを搭載するとなれば、CO2排出量基準をオーバーしてしまうだろう。それでもタイプRは販売台数としては少ないから、BEVの「HONDA e」やe:HEV搭載の他モデルで、CO2排出量をカバーできるという計算も成り立つ。
シビックタイプR電動化案は次々型で採用か、48Vマイルドハイブリッド vs SPORT HYBRID SH-AWD
一方で、欧州市場での長期的な販売を考えると、CO2排出量基準を満たさないモデルを継続していくことは難しい。
従来型の2.0L VTEC-TURBOエンジンをベースに、何らかの電動化が盛り込まれるというのも可能性の一つ。
欧州販売されるいくらかの他メーカーモデルと同様に、外部調達による48V式のマイルドハイブリッドを導入することで、現時点で求められる環境性能をある程度達成できる可能性がある。
そして、もう一つの電動化案としては、NSXやレジェンドで採用されたSPORT HYBRID SH-AWDである。左右独立制御されたモーターによるリア駆動が加わることで環境性能の向上とコーナリング性能が高められる。AWD化により、タイプRの開発目標となってきた「ニュルブルクリンク、FF車最速」という文言は使えなくなるが、これを搭載することになれば多くのユーザーは歓迎するだろう。
しかし、ホンダはSPORT HYBRID SH-AWDの開発終了を発表していた。搭載実績のあるNSXやレジェンドとは、エンジンサイズもプラットフォームも異なることから、シビックタイプRに搭載となれば更に開発費用も必要となる。次々型以降であっても実現性は低そうだ。
新型タイプRの生産拠点は国内の寄居工場
2021年7月に販売が終了した先代シビックタイプRは、英国スウィンドン工場での生産であったが、同工場はホンダの方針により閉鎖される。その後、タイプRシリーズの生産をどの工場が引き継ぐのかも注目されるポイントであった。
新型タイプRのベース車であるハッチバック仕様については、新たに寄居工場とインディアナ州グリーンズバーグ工場が生産拠点となっており、これらいずれかの工場で新型タイプRの生産が行われることが予想されてきた。
新型シビックタイプRは最終的には寄居工場で生産されることになった。
シビックタイプRのEV化はいつ頃、ホンダの方針は脱エンジン
ホンダは2040年に世界販売の全ての四輪車をEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)とすることを方針として発表している。さらに、EVとFCVの販売比率として、2030年に40%、2035年に80%としていく中間目標も掲げている。
将来的にはエンジン車の生産販売から撤退することが確定的となっているわけだが、それまでに、かなりの時間が残されているのも事実だ。直近に発売される新型車については、まだまだエンジンを搭載する車が現実的な選択肢となってくる。タイプRがEV化されるのは、2030年頃の発売が想定される7代目モデルか、その次の8代目モデルとなりそう。
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