「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」が東京国際カスタムカーコンテスト2023においてコンセプトカー部門 最優秀賞を受賞した。
「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」は、東京オートサロン2023のホンダブースで、メインステージを飾ったモデル。HRC(株式会社ホンダ・レーシング)が、2024年のSUPER GTシリーズ GT500クラスへの参戦に向けてのレース専用車両で、究極のピュアスポーツ性能を追求した「CIVIC TYPE R」をベースに開発中となっている。今回、そのデザインの方向性が示された。
今回の受賞をにあたって、HRC 代表取締役社長の渡辺康治氏は、「コンセプトカー部門 最優秀賞に選ばれたことを大変光栄に思います。東京オートサロンを皮切りに、皆様にこの車両をご覧頂ける機会をご用意していきます。Hondaのピュアスポーツモデルである『TYPE R』の名を冠したマシンで戦う2024年シーズンのSUPER GTにご期待ください」とコメントした。
「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」画像 2023年1月
市販型、シビックタイプRは受注停止中
シビックタイプRについては、東京オートサロン2023での華やかな演出があったものの、市販型の方は、受注停止中となっている。また、公表されている工場出荷時期としては、2023年1月16日時点で「1年以上」としているが、実際にはもっと長い納期が想定されている。
新型【シビックタイプR】パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞、最後の純エンジン搭載車【ホンダ最新情報】税込み価格499万7300円 2022年12月
ホンダが2022年9月2日に日本発売した「シビックTYPE R」が、2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤーにおける「パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。通常「シビック e:HEV」モデルとの同時受賞となった。
特に「シビックTYPE R」については、優れたシャシー性能と空力ボディ、滑らかな回転フィールのVTECターボエンジンによって、街乗りからサーキット走行まで幅広くカバーできるパフォーマンスに、多くの評価が集まった。
ホンダは、「シビックTYPE R」について、スポーツモデルの本質的価値である「速さ」と官能に響く「ドライビングプレジャー」が両立する、究極のピュアスポーツ性能を目指して開発したとしている。また、独自のVTEC TURBOエンジンはさらにブラッシュアップされており、出力とトルクにおいてパフォーマンスアップが果たされている。運転に夢中になることを目指した痛快なドライビングフィールが追求された。
2.0L VTEC TURBOエンジンは新開発ターボチャージャーを搭載し、最高出力は330ps、最大トルクは42.8kgf・mとなる。
新型シビックTYPE R概要
新型「CIVIC TYPE R(シビック タイプアール)」の消費税込み車両本体価格は、499万7300円に設定された。
新型シビックタイプRのグランドコンセプト「Ultimate SPORT 2.0」
先代シビック TYPE Rのコンセプトである「Ultimate SPORT」をさらに進化させ、速さと走る喜びを極めたピュアスポーツ性能が目指された。スポーツモデルの本質的価値である「速さ」と官能に響く「ドライビングプレジャー」の両立が提供される。
新型シビックタイプRのデザイン
2021年にフルモデルチェンジした新型シビックをベースに、TYPE Rとしての走行性能を高めるため、さらにローアンドワイドなパッケージが追求された。また、広い水平視野角を持った視界とすることで、高い車速域においてもドライバーに情報がダイレクトに伝わることが目指された。
エクステリアデザインは、圧倒的な速さと美しさを兼ね備えたデザインが目指された。ボディーと一体となったワイドフェンダーはサイドパネルから美しく流れるような造形とするとともに、フロントからリアに抜ける一連の空気の流れをコントロールすることで空力性能が向上された。エクステリアカラーには、TYPE Rの象徴的なカラーであるチャンピオンシップホワイトに加え、新色としてソニックグレー・パールが追加された。
インテリアデザインは、ドアを開けた瞬間に気持ちが高ぶるような赤いシートとフロアカーペットを採用するとともに、インテリアパネル周りは、運転に集中できるようノイズレスなブラック基調に仕上げられる。フロントシートは、サーキットでの限界走行時においても安心して身体を委ねられるよう多面体の3D形状で身体をサポートするとともに、摩擦係数の高いスエード調の表皮を採用することでコーナリングや急な加減速時などの高G状態での身体の滑りが低減された。メーターのデザインには、通常の表示に加え+Rモードの専用デザインが設定された。サーキット走行などにおいて、ドライバーが必要な情報をいかに瞬間認知できるかを重視し、上部にはエンジン回転数やレブインジケーター、ギアポジションなどを配置し、下部をマルチインフォメーションディスプレーとすることで車両情報が任意に表示できるようになった。また、レブインジケーターは、注視しなくても感覚的に認識できる点灯式が採用され、瞬間的に情報を視認でき、気持ちが高ぶるデザインとなっている。
新型シビックタイプRのダイナミクス
圧倒的な速さを追求するとともに、運転時におけるあらゆるフィーリングを磨き上げ、FF最速を目指す“Fastest(ファステスト)”、痛快なドライビングフィールで運転することに夢中になる“Addicted Feel(アディクテッド フィール)”、高速安定性と信頼感に満ちた“Secure Feel(セキュア フィール)”、がダイナミクスにおける狙いとなっている。
Fastest
これまでのTYPE Rを上回るパフォーマンスを目指し、TYPE R専用の2.0L VTEC TURBOエンジンを磨き上げ、より高出力・高レスポンスの実現が極限まで追求された。
新型シビックタイプRに搭載されるエンジンの2.0L VTEC-TURBOのK20C型は、基本部分が先代型からキャリーオーバーされる。マイルドハイブリッドなどの電動化は実施されておらず、シビックタイプRとしては最後のコンベンショナルガソリンエンジン車ということになりそう。
先代型からの進化点で最も大きなものは、ターボチャージャーとなる。インペラは新規設計となり、ハウジング形状も再設計された。インテーク容量の増加やECUも最適化されている。
新型のエンジンパフォーマンスは、最高出力は330ps、最大トルクは42.8kgf・mとなった。先代型の最高出力320ps、最大トルク40.8kgf・mからいずれも向上している。
Addicted Feel
速さを追求するだけでなく運転することに夢中になれるよう、思い通りに操ることを目指したハンドリングや、足裏に吸いつくようなスロットルワークによるドライバビリティーが磨き上げられるとともに、6速MTの操作感とレブマッチシステムを進化させることで痛快なドライビングフィールが追求された。
Secure Feel
洗練されたデザインとしたうえでさらなる空力進化を図り、前後バランスの良いダウンフォースの発生と、空気抵抗の低減が両立された。さらに、軽量かつ高剛性のボディーにより、高速走行時における高い安定性が実現された。
また、リアルタイムにクルマの機械的な運動情報や自分自身の運転操作による車両の挙動などを知ることのできるHonda LogR(ホンダ ログアール)を活用することで、ドライビングスキルの向上や走行映像のシェアなど、ドライバーとクルマがひとつになったドライビングプレジャーがドライバーに提供される。
新型シビック タイプRの画像1
新型シビック タイプRの画像2
新型シビックタイプR、ワールドプレミア直前に画像がリーク
シビックタイプRの正式なワールドプレミアは2022年7月21日AM11:00ということであったが、ホンダ本社1Fのウエルカムプラザ青山の展示スケジュール上では、チャンピオンシップホワイトに塗装された新型シビックタイプRのサムネイル画像がリークしていた。
搭載されるエンジンは、従来型のブラッシュアップ版となる2.0LターボエンジンK20C型となり、電動化は見送られる。純ガソリンエンジンを搭載するシビックタイプRとしては、最後のモデルとなりそう。
新型シビックタイプRの価格は消費税込み500万円前後が予想される
2021年7月に販売終了となった従来型シビックタイプR(FK8型)の最終型は、通常TYPE Rの4,752,000円と、TYPE R・Limited Editionの5,500,000円が用意されていた。フルモデルチェンジにより値上りは予想されるが、噂されていたパワートレインの電動化が見送られ、従来型エンジンがキャリーオーバーされることで、その幅は小さくなりそう。
また、生産拠点の変更も価格面ではメリットとなるだろう。先代型は英国スウィンドン工場での生産であったが同工場は閉鎖となった。新型では寄居工場での国内生産となり、輸送費などの輸入コストが削減されることになる。さらに昨今の円安による影響も小さくなりそうだ。
東京オートサロンに出品されたモデルから察すると、タイヤサイズは従来型20インチから19インチに下げられる見込み。銘柄についても変更があるようで、従来型コンチネンタルから、新型ミシュラン パイロットスポーツとなりそう。
一方で、走行性能に関しては従来型を上回る性能に仕上げられている。先代のシビック TYPE R Limited Editionの鈴鹿サーキットでのタイムラップを更新しており、FFモデルで最速となる、2分23秒120を記録している。ある程度のコストアップが必要なエンジンチューンや軽量化が施されている可能性があるだろう。
これらのことを合わせると、フルモデルチェンジにより値上げとはなるもののその幅は極端には大きくならないはず。通常グレードで消費税込み500万円前後の価格設定が予想される。
2022年のシビックシリーズは、タイプRとe:HEVモデルの追加が予告されていた
2021年からシビックシリーズの11代目となるフルモデルチェンジが進行中となっている。先行して導入されたガソリンターボエンジン搭載モデルに続き、ハイブリッドバージョンである2.0L e:HEV搭載モデルについても2022年7月1日に発売される予定となっている。
シビックタイプRについても、2022年の追加発売が公式に予告されていた。
シビックタイプRプロトタイプが東京オートサロン2022で出品された
東京オートサロン2022で出品された新型シビックタイプRプロトタイプは、ボディ表面に貼られている特別な擬装シールが特徴となっている。
これはドイツ ニュルブルクリンク サーキットでのタイムテストを終えたモデルと思われ、12月に入ってからは鈴鹿サーキットでの走行シーンもツイッターで公開されていた。
※ツイッターの利用規約に基づいた引用をさせていただいております。
Ready for 2022!#CivicTypeR #Suzuka pic.twitter.com/PS00qiljp3
— Honda 本田技研工業(株) (@HondaJP) December 13, 2021
また、新型シビックタイプRプロトタイプの展示は東京オートサロン限定としている。
新型シビックタイプRのスペックアップは少なそう、エンジンは電動化されずキャリーオーバー
ドイツ ニュルブルクリンク サーキットでのタイムテストモデルは、ボディ表面には偽装シールが貼られているものの、新型シビックタイプRのエクステリアを確認できるところまで来ている。
パワートレインについては明らかとされていない部分が多かったが、従来型の
K20C型2.0Lガソリンターボエンジンがキャリーオーバーされる見込み。
従来型FK8型の最終モデルに搭載されるK20C型のスペックは、最高出力320PS、最大トルク400Nmであった。
次期型シビックタイプRがコンベンショナルエンジン最終モデルの可能性、K20C型がそのまま継続される
新型シビックタイプRは、従来型(K20C型)キャリーオーバーの2.0L VTEC-TURBOを搭載し、コンベンショナルエンジン最終モデルとしてデビューする。
ホンダは2040年にグローバル生産モデルでエンジン車の全廃を宣言しており、EVとFCVのみの生産に移行していく。特に日本国内では、2030年の段階でハイブリッドを含めた電動化率100%の達成を予告している。
ホンダが明言している電動化タイミングに沿って考えていくと、2022年発売モデルはコンベンショナルエンジンとして発売できる最後のチャンスということになる。
ただし、無視できないのが欧州市場である。メーカーに課せられる罰金制度もスタートしており、新型タイプRがコンベンショナルエンジンを搭載するとなれば、CO2排出量基準をオーバーしてしまうだろう。それでもタイプRは販売台数としては少ないから、BEVの「HONDA e」やe:HEV搭載の他モデルで、CO2排出量をカバーできるという計算も成り立つ。
シビックタイプR電動化案は次々型で採用か、48Vマイルドハイブリッド vs SPORT HYBRID SH-AWD
一方で、欧州市場での長期的な販売を考えると、CO2排出量基準を満たさないモデルを継続していくことは難しい。
従来型の2.0L VTEC-TURBOエンジンをベースに、何らかの電動化が盛り込まれるというのも可能性の一つであった。
欧州販売されるいくらかの他メーカーモデルと同様に、外部調達による48V式のマイルドハイブリッドを導入するというもので、現時点で求められる環境性能をある程度達成できる可能性がある。
そして、もう一つの電動化案としては、NSXやレジェンドで採用されたSPORT HYBRID SH-AWDというものがあった。左右独立制御されたモーターによるリア駆動が加わることで環境性能の向上とコーナリング性能が高められる。AWD化により、タイプRの開発目標となってきた「ニュルブルクリンク、FF車最速」という文言は使えなくなるが、これを搭載することになれば多くのユーザーは歓迎するだろう。
しかし、ホンダはSPORT HYBRID SH-AWDの開発終了を発表していた。搭載実績のあるNSXやレジェンドとは、エンジンサイズもプラットフォームも異なることから、シビックタイプRに搭載となれば更に開発費用も必要となる。次期型以降であっても実現性は低そうだ。
新型タイプRの生産拠点は国内の寄居工場
2021年7月に販売が終了した先代シビックタイプRは、英国スウィンドン工場での生産であったが、同工場はホンダの方針により閉鎖される。その後、タイプRシリーズの生産をどの工場が引き継ぐのかも注目されるポイントであった。
新型タイプRのベース車であるハッチバック仕様については、新たに寄居工場とインディアナ州グリーンズバーグ工場が生産拠点となっており、これらいずれかの工場で新型タイプRの生産が行われることが予想されてきた。
新型シビックタイプRは最終的には寄居工場で生産されることになった。
シビックタイプRのEV化はいつ頃、ホンダの方針は脱エンジン
ホンダは2040年に世界販売の全ての四輪車をEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)とすることを方針として発表している。さらに、EVとFCVの販売比率として、2030年に40%、2035年に80%としていく中間目標も掲げている。
将来的にはエンジン車の生産販売から撤退することが確定的となっているわけだが、それまでに、かなりの時間が残されているのも事実だ。直近に発売される新型車については、まだまだエンジンを搭載する車が現実的な選択肢となってくる。タイプRがEV化されるのは、2030年頃の発売が想定される7代目モデルか、その次の8代目モデルとなりそう。
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