トヨタでは「(仮称)センチュリーSUV」なるモデルが開発中となっており、その発売日は2023年秋~年度末あたりが予想される。
セダンボディの従来型センチュリーは、レクサスの4代目LSのロングボディ車とプラットフォーム共用されたエンジン縦置きのFRレイアウトが採用されている。
新たに計画される「センチュリーSUV」は、GA-Kプラットフォームの採用によりエンジンは横置きとなる。ホイールベースは同プラットフォームで最長クラスが採用されることで、大型クロスオーバーSUVとして相応しい車体構造となるはず。そのベースとなるであろうモデルが、北米グランドハイランダーとして2023年2月に発表された。
北米グランドハイランダーのホイールベースは116インチ(換算2946mm)にも及ぶ。これまでGA-Kプラットフォームのロングホイールベース版は、レクサスRXや北米ハイランダーなどで採用されてきた、ホイールベース2850mm版があったが、これを上回るボディ骨格が登場した。
センチュリーSUVは、この北米グランドハイランダーと多くの部分を共用しながら開発されていることが想定される。このほか、北米グランドハイランダーには、プレミアム版として、新型レクサスTXも計画されており、2023年以降にデビューするいくらかの上級SUVのベースとなっていそうだ。
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GA-Kプラットフォーム ロングホイールベース採用 SUV まとめ
ホイールベース | ||
2850mm | 2946mm | |
トヨタ(日本) | クラウンクロスオーバー クラウンエステート(予想) |
センチュリーSUV(予想) |
トヨタ(北米) | クラウンクロスオーバー ハイランダー |
グランドハイランダー |
レクサス | RX | TX(予想) |
新型センチュリーSUVは、ロールスロイス・カリナン対抗、ショーファーカーもSUVトレンド
センチュリーは、1967年に初代モデルが発売され、日産・プレジデントと並び国内ブランドのショーファードリブンカーを代表するモデルとなってきた。現行センチュリーは、2018年にフルモデルチェンジ発売された3代目モデルで、このタイミングでトヨタ最新のテクノロジーが投入された。
一方で、近年では、お抱え運転手付きを前提としたショーファーカーにおいても、セダン離れが進行している。特に国内やアジアでは、アルファードのようなミニバン車種をショーファーカーとして採用するケースも増えており、居住性能の高さはもちろん、コスト削減と控えめな威圧感もメリットとなっているだろう。
そして、グローバルでは、SUVトレンドの波がショーファーカーのカテゴリにまで押し寄せている。ロールスロイス・カリナン、メルセデス・マイバッハGLS、キャデラック・エスカレードプラチナムなどといった大型高級SUV車種が、ショーファーカーとしての需要に応え、頭角を現しつつある。計画中の「センチュリーSUV(仮称)」は、こういった新たなカテゴリへの参入を目論む車種で、国内外の富裕層あるいは官公庁に向けて選択肢の一つとなる。
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センチュリーSUVのプラットフォームはGA-Kのロングホイールベース版
仮称ながらも「センチュリーSUV」を名乗るショーファーカーとしては、プラットフォーム種別を見る限り、物足りない印象を受ける。
ちなみにトヨタの現行ラインアップでフラッグシップSUVとしてポジショニングされるランドクルーザー300系は、ラダーフレーム構造を採用したGA-Fプラットフォームが採用される。
センチュリーSUVはプレミアムな内外装が与えられることで、価格面では同ブランドのフラッグシップSUVのポジションが与えれる見込み。
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センチュリーSUVのパワートレインは、V6 3.5L マルチステージハイブリッド横置き、さらにBEVが予想される
センチュリーSUVのパワートレインは、 V6 3.5L マルチステージハイブリッドの8GR-FXS型の採用が予想される。これはレクサスLS500h、LC500hで採用されてきたが、GA-LプラットフォームのFRレイアウトのため縦置き搭載であった。GA-KプラットフォームのセンチュリーSUVでは、8GR-FXS型が横置き化されることになり、ここは新開発される部分となる。
また、官公庁や企業の重役が利用者となるケースも多くなり、価格よりも環境イメージも重要となってくる。排出ガスがゼロであるBEVの採用も予想され、そうなると、腰高なSUVボディのフロアは、駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載する格好の場所となる。
新型センチュリーSUVは、田原工場で生産される予定となっており、これは日経新聞などでも報じられた。これまで同工場では、8GR-FXS型を搭載するレクサス・LS、GA-Kプラットフォーム採用のレクサス・NXなどを生産してきており、センチュリーSUVを生産するに相応しい事業所と考えられる。ちなみに現行センチュリーは、元町工場で生産されており、新型センチュリーSUVは生産工場の面からも、素性の全く異なる車種であることが想定される。
センチュリーSUV まとめ
- 発売予想時期、2023年9月~2024年3月
- ジャパンモビリティーショー出品の予想
- GA-Kプラットフォーム、ロングホイールベース版をベースに開発
- V6 3.5L マルチステージハイブリッドを横置き
- BEVも設定の可能性
- ランドクルーザー300を超える価格設定により、新フラッグシップSUV
- ロールスロイス・カリナンを意識か?スクエアなボディデザイン予想
- 現行センチュリーの流れを汲む、角目ヘッドライトの可能性