アルトワークスの復活は無い?新型アルト登場から2年経過も販売終了されたまま
先代型8代目アルト(HA36S型)をベースにした「アルトワークス」は、9代目アルトのフルモデルチェンジ発売により販売を終了したままとなっている。2021年12月の新型アルト登場から2年が経過するが、スズキから新型アルトワークスに関する情報は出されていない。
新型アルトには歴代初のマイルドハイブリッドの搭載となった。このシステムは環境性能の向上だけでなく、加速性能にも寄与するため、次期アルトワークスにも期待が集まる。だが、全車がCVTを搭載し、5MTの選択肢がない点は新型アルトワークスの登場のハードルを高めているかもしれない。
最近のスズキでは、一部仕様変更のタイミングで、ラインアップ復帰が遅れていたスイフトスポーツ(ZC33S型)、およびワゴンRのマニュアルトランスミッション搭載モデルの再発売があった。この2モデルが一時ラインアップから姿を消したことで、MT採用モデルのさらなる縮小も心配されたがこれは免れた。ただし、ワゴンRの5MTは、エンジンがNAのR06D型に合わせられているため、ターボエンジン搭載が想定されるアルトワークスにそのまま搭載というわけにはいかないかもしれない。
注目すべきは2024年1月。東京オートサロンが開催されるが、もしここで新型アルトをベースにしたスポーツコンセプトが出品されれば、それが新型アルトワークス登場の前触れとなる可能性がある。
「アルトワークス」フルモデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
新型アルトワークスの発売を予感させるモデルの出品無し、東京オートサロン2023
2015年12月発売のHA36S型アルトワークスは通常アルトのフルモデルチェンジから約1年遅れの発売であった。新型フルモデルチェンジから1年となる2022年12月には、新型アルトワークスの発売を待望する声も大きかったが、これは叶わなかった
その後、スズキは東京オートサロン2023で、3年ぶりにブース出展を果たした。新型アルトをベースとしたスポーツカスタムカーや、次期アルトワークスコンセプトのようなモデルの出品が期待されたが、残念ながらスズキブースからは、そういったモデルの出品は一切無し。
東京オートサロン2023のスズキブースはアウトドアイメージ一色に仕上げられており、ハスラーやスペーシアギアなどといったSUV色の強いモデルだけによる演出となった。
「アルトワークス」フルモデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
アルトワークスの発売は無し?商標出願済みアルトスピリットはどうなった?
現行の9代目アルトは2021年12月のフルモデルチェンジ発売であった。そのひと月前には、スズキから「ALTO SPIRIT(アルトスピリット)」なるモデルネームが商標出願されており、アルトシリーズへの派生モデルの設定が待望されていた。しかし、発売に向けての具体的な情報は、未だに出されていない。
現行型アルトは、全車がCVTの採用となっており、先代8代目に設定された5AGSや5MTといったトランスミッションは用意されていない。また、ターボエンジン搭載モデルがなく、コンベンショナルのR06A型と、初採用となったマイルドハイブリッドのR06D型の2種類が用意されてきた。さらに、ボディスタイルにおいては、全高拡大による居住性アップが盛り込まれており、スポーツ志向は弱められた。
9代目アルトにワークスが追加設定される可能性について、スズキから肯定的な発言は、まだ一度も出されていない。
そんななか、発売が期待されるアルトスピリットは、本格的スポーツのアルトワークスのようなモデルではなく、スポーツテイストのアクセサリーが装着された派生モデルであることが予想される。
一方で、アルトスピリットについては、もう一つの可能性も考えられる。スズキは2023年1月に、2030年度までに投入するBEVとして6つのモデルをシルエットで発表した。
6つのシルエットのうち、左上のモデルはアルトをベースとしていることが想定される。アルトスピリットはBEV版のモデルネームとして使われるのではという噂もあるが、現段階では憶測でしか無い。2023年秋のジャパンモビリティーショーで何らかのメッセージが含まれるコンセプトカーの出品を期待したい。
「アルトワークス」フルモデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
次期アルトワークスはハイブリッド化されるのか
新型アルトワークス発売への技術的な障壁は、新型アルトのトランスミッションがCVTのみであることも一つである。さらに、スズキの軽自動車向けターボエンジンも環境規制などの影響を受け、従来エンジンの搭載継続を難しくさせている。
HA36S型アルトワークスは、R06A型ターボエンジンを採用し、トランスミッションは5速MTと5速AGSからの選択であった。
一方で最新のスズキの軽自動車向けエンジンを見ていくと、ロングストローク化とISG(モーター機能付発電機)搭載によるマイルドハイブリッド化が大きなテーマとなってきた。
既に、ロングストローク化された新世代R06D型エンジンは、新型アルトで採用されたほか、ハスラーやワゴンR、ワゴンRスマイルの各NA車で搭載されており、マイルドハイブリッド化も済まされている。
また、ターボエンジンについては、ハスラーやワゴンRスティングレーなどで新世代型が導入されており、これは従来型アルトワークスと同じR06A型ではあるが、マイルドハイブリッド化が済まされている。そして、これらのハイブリッド ターボモデルはトランスミッションにCVTを採用したものばかり。
やはりアルトワークスはマニュアルトランスミッションが望まれるわけだが、そのまま採用可能なパワートレインが、現行販売モデルの中で存在しない状況となっている。
「アルトワークス」フルモデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
次期アルトワークスに、R06A型ハイブリッド ターボ搭載の可能性は
R06A型のハイブリッド ターボのモータースペックは、最高出力3.1PS、最大トルク 5.1kg・mとなっており、仮に次期アルトワークスがハイブリッド化され、このユニットが搭載されるとすれば、発進時の加速性能は向上を果たすはず。
コンベンショナルなガソリンターボエンジンと5速MTの組み合わせで軽量ボディを走らせるのが、アルトワークスの醍醐味でもあるが、マイルドハイブリッド化は受け入れざるを得ない状況でもある。
HA36S型パワートレインのキャリーオーバーが、ユーザーニーズとしては最も多くなりそうだが、これでは環境性能などが満たせない可能性がある。
「アルトワークス」フルモデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
最新HA36S型アルトワークスは4WDモデルよりも軽量で加速性能に優れた2WDモデルが人気
新型アルトにワークスが設定されない中では、最新のアルトワークスは、中古車市場で流通している8代目アルトがベースのHA36S型となる。ただし流通台数は非常に限られているようだ。
かつては4WDのイメージが強かったアルトワークスであるが、HA36S型では2WDモデルがより人気で社外カスタムパーツも多く流通している。軽自動車でスポーツ走行する魅力は、車体重量の軽さにあり、加速性能は2WDモデルが優れる。軽自動車でありながら、背中がシートに貼り付くような0-100km加速を楽しむことが可能で、限られた予算のなかで、このあたりの楽しみを中心置くユーザーは、特に4WDモデルの重量増をデメリットとして考える傾向がある。
一方で、雪道やダート走行の機会があるユーザーからは、トラクション性能が優れる4WDモデルが選ばれる。
またリアのサスペンション形式にも違いがあり、2WDがトーションビーム式、4WDがI.T.L.式(3リンク式)となっており、試乗などで乗り比べるポイントの一つとなっている。
「アルトワークス」フルモデルチェンジの<まとめ>は、次のページ
アルトワークスは歴代アルトの2~5、8代目モデルに設定された
通常アルト発売の約1年後に発売されるイメージがあるアルトワークスであるが、歴代モデルを振り返ると必ずしも発売されていたわけでは無い。
初代アルトワークスは、71V型の2代目アルトに設定された。続いて3代目、4代目、5代目のアルトにもワークスは設定された。2000年のアルトシリーズのマイナーチェンジでは、ターボエンジン搭載モデルが廃止となり、これに伴いアルトワークスもカタログ落ちとなった。
その後、通常アルトシリーズは6代目、7代目とフルモデルチェンジされていくものの、ワークスは発売されない状況が続いた。
そして2015年、先代型8代目(HA36型)アルトをベースに開発された新型アルトワークスが約15年ぶりにラインアップに復活した。また8代目では、お手軽なスポーツモデルとして、「アルト ターボRS」も設定され、久しぶりにスポーツ志向が強調された世代となった。
アルトワークス復活 まとめ
- 現在のところアルトワークス復活に関するスズキからの声明無し
- 新型アルトは2021年12月発売、1年経過するもワークスの追加無し
- 東京オートサロン2023で、アルトワークスをイメージさせるモデルの出品は無し
- 新型アルトは全車CVT搭載で5速MTの設定無し
- スズキの新世代ターボエンジンは、R06A型のマイルドハイブリッド
- ワークスが出されるならマイルドハイブリッド化される可能性
- アルトスピリットが商標出願されているが正体は不明、BEV説、スポーツカスタマイズ説あり