スズキの現行型ソリオは2020年12月にフルモデルチェンジ発売された4代目モデル。販売期間1年半が経過した。
ソリオの納期は半年ぐらいに延びている、フルモデルチェンジ時より待たされる
スズキは半導体不足、あるいは東南アジアでの新型コロナウィルス感染拡大による部品不足の影響を大きく受けているようだ。ソリオの納期は約半年程度にまで延長しており、車検切れ時期を見込んだ早めのオーダーが必要になっている。
また、現行型ソリオはセールス面でも苦戦しているように見える。フルモデルチェンジ発売の当初は、月間5000台を超えるペースの販売実績を出していたが、2021年5月以降は月間3000台前後の水準にとどまっている。先代型と比較しても販売台数は減っている状況だ。もちろん2021年は半導体不足の影響が大きかったから単純には比較できないが、台数が出やすい新型のコンパクトワゴン車としては、セールスが成功しているとは言い難い。
スズキ ソリオ 2020年12月のフルモデルチェンジ
現行のソリオ、ソリオバンディットはパワートレインラインナップや装備面が、今どきの新型車としては、物足りない部分があるということで、一部で酷評される懸念もあった。ただ、実際に購入するユーザーの目線に立てば、昨今の他メーカーの新型車に比べて値上がり幅が小さく、低価格なのことが歓迎されている。
従来型ソリオと比較、全長を拡大、広いラゲッジを備えた
まずは、大きくなったというボディサイズを新型と従来型で比較してみる。
新型ソリオ(MA27S、MA37S)のボディサイズ
- 全長 3,790mm
- 全幅 1,645mm
- 全高 1,745mm
- ホイールベース 2,480mm
従来型ソリオ(MA26S、MA36S、MA46S)のボディサイズ
- 全長 3,710mm
- 全幅 1,625mm
- 全高 1,745mm
- ホイールベース 2,480mm
新型ソリオはラゲッジスペースが拡大された
新型ソリオのボディサイズは先代比で、全長が+80mm拡大した。さらに他スペースの最適化で、ラゲッジ奥行きは先代比で+100mmの拡大となり、ユーザーにとっての利便性が大きく向上した。
ソリオは積載力で有利なトールワゴン車ではあるが、全長がコンパクトなうえ、後席スペースを優先した設計のため、ラゲッジスペースの狭さが弱点であった。ここが改善されたことはメリットとして大きい。
また、より小さいボディサイズを望むなら、スペーシアのような、乗り心地も機能面も向上した昨今のスーパートールワゴン軽自動車を検討したほうがいいだろう。
ホイールベースは従来型と変わっておらず、小回り性能は維持された。新型ソリオの最小回転半径は従来型と同じ4.8mを実現している。
パワートレインラインアップが物足りない
新型ソリオのパワートレインラインナップは、1.2Lコンベンショナルガソリンと1.2Lマイルドハイブリッドの2タイプとなる。従来型にあった、1.2Lストロングハイブリッドは廃止となった。
このあたり、電動化が進められる世界的なトレンドのなかでは、逆行する商品展開となっており、モータージャーナリストや専門家の目線では、否定的な意見もある。ただし、日本で使う一般ユーザーの目線からすれば、1.2Lストロングハイブリッドは無くても大きな問題とはなりにくい。実際に先代型でもあまり売れていなかった。
むしろ経済的に優れた1.2Lコンベンショナルガソリンの設定が継続されたことが、ユーザー的にはメリットに感じるだろう。
マイルドハイブリッドの燃費性能向上効果は少ない
燃費性能は2WD車のWLTCモードで、コンベンショナルガソリン車が19.0km/L、マイルドハイブリッド車が19.6km/Lとなる。
やはりマイルドというだけあって、ハイブリッドシステムによる燃費性能の向上幅は、最近のハイブリッドカーの水準からすると小さい。それでも、燃費性能の差よりも、装備面の違いで、HYBRID MX/HYBRID MZあるいはソリオバンディットのHYBRID MVといったハイブリッドモデルが選ばれるケースが増えそうだ。
例えば、全方位モニター用カメラパッケージ、全方位モニター付メモリーナビゲーション(つまりメーカーオプションナビ)は、ハイブリッド車に限りオプション装備可能となる。
ACC装備はハイブリッドのみ
そして、全車速対応のアダプティブクルーズコントロール(ACC)もハイブリッド車にしか装備されない機能の一つである。