日産・セレナのフルモデルチェンジは、2023年序盤の実施が予想される。

セレナはフルモデルチェンジで6代目モデルとなる、30年以上の歴史
歴代セレナシリーズは1991年に発売されたバネットセレナ(C23型)を原点とし、30年以上に渡って販売されてきた。1994年のマイナーモデルチェンジでは独立した「セレナ」のモデルネームが与えられ、およそ現在と近いポジションが確立されている。
1999年には、初めてのフルモデルチェンジを受けて2代目セレナ(C24型)の販売が始まった。FFレイアウトが採用され、乗用車としての快適性が向上し、2.0L ガソリン車にはCVTが採用された。
続く3代目セレナ(C25型)は2005年に発売され、以降のミニバンブーム後半の時代を5~6年の周期でフルモデルチェンジを受けた。先代モデル比で大幅延長となったホイールベースは2860mmで、これは現行型まで変えられていない。搭載エンジンは当時最新のMR20DE型の1種類に絞られた。
2010年発売の4代目セレナ(C26型)では、パッケージングの改善により居住性が大幅に向上しており、室内長は先代モデル比で+300mmを実現している。それでもホイールベースは変えておらず小回り性能は維持された。2012年には、最高出力1.8kWの小型モーターを使ったマイルドハイブリッド「S-HYBRID」がエンジンラインナップに加わった。燃費性能の向上幅は限定的であったものの、当時のハイブリッドブームに追従した。
現行型セレナC27型の一部改良、マイナーモデルチェンジでの変更点
そして、現行型の5代目セレナ(C27型)は2016年にフルモデルチェンジ発売された。
セレナのライバル2車種は2022年にフルモデルチェンジを実施
2022年に入ってから、国内の中型ミニバンのセグメントでは、ライバルのトヨタ、ホンダから新型車が投入されており、早くも販売競争が激しくなっている。まずはトヨタは新型ノア/ヴォクシーに約8年ぶりのフルモデルチェンジ発売を実施した。
次にホンダからは、フルモデルチェンジした新型ステップワゴンが発表されており、発売日は2022年5月となる見込み。2022年1月開催の東京オートサロンでは、カスタマイズモデルが一般公開されるに至っており、既に先行予約が受付中となっている。
これらトヨタとホンダの3モデルが新型に切り替わったことで、中型ミニバンの販売競争が激化している。
日産は半導体不足の影響を大きく受けており、新型車投入計画を順調に進められていない。ノートやアリアといったモデルの発売日は大幅に遅れたし、新型エクストレイルについては未だ国内発表を実施できていない状況である。
新型セレナC28型へのフルモデルチェンジは、CMFプラットフォームで開発される
CMFプラットフォームで開発中のC28型セレナ
フルモデルチェンジでC28型となるセレナは、ルノーと日産が共同開発したCMF-C/Dプラットフォームを採用し、開発が進められている。これまでにCMF-C/Dプラットフォームが採用された主なモデルは、日産・T32型エクストレイルなど。そして3列シートミニバンとしてもルノー・エスパスが存在する。
エスパスのボディサイズは
全長4860mm
全幅1890mm
全高1680mm
ホイールベース2885mm
である。
これは日本のミドルクラスミニバンの市場で求められるボディサイズとはマッチしない。現行セレナより全高が185mm程度も低くければ居住性で不満が出るだろうし、全幅においてもエスパスでは入庫できない駐車場が多くなる。新型セレナとエスパスは、共通プラットフォームの3列シート車となるものの、互いのキャラクターは大きく異なる。
それでも、新型セレナの全幅に関しては、1.7mを超える水準にまで拡大されると考えられる。つまり5ナンバーモデルは廃止で、全車3ナンバー仕様となる可能性が高い。
ちなみに先行してフルモデルチェンジされた国内ミドルクラスミニバンのトヨタ・ノア/ヴォクシー、ホンダ・ステップワゴンは全車3ナンバーとなった。

新型セレナのエクステリア画像がプロモーション動画でリークか
山形日産グループ創業60周年を記念するプロモーション動画では、新型セレナのリーク画像と思われるシーンが含まれていた。
ボディ側面は水平基調のキャラクターラインが印象的。大きめの三角窓は現行型を踏襲し、斜め前方視界が確保されている。リアクォーターウィンドウは、現行型よりも控えめな尻上がりとなり、水平基調のデザインに合わせられる。
また、前方部分では、ヘッドランプユニットがコンパクトな横一列配置となり、これは側面のキャラクターラインとも繋がる。上下2段に分割された現行型のヘッドランプユニットと比較して、シンプルに纏められているのがわかる。日産車おなじみのVモーショングリルも継続されている。
日産では、ワンサイズ上のミニバン、エルグランドもフルモデルチェンジが計画されているが、その発売時期は2023年以降となりそう。動画のミニバン車種は、発売日がより近い新型セレナである可能性が高いと考えられる。
セレナ2022年度後半フルモデルチェンジまでの販売を担う「XV エアロ」2021年11月特別仕様車
6代目となる新型セレナ発売まで、あと約1年といったところであるが、現行型最終モデルとなるであろう特別仕様車セレナ「XV エアロ」が2021年11月に発売された。
「XV エアロ」は、専用のエクステリアパーツとしてフロントバンパーが装備された。また、これ以外にもハロゲンフォグランプ、サイドシルプロテクター、リアエアロバンパー、LEDリアコンビネーションランプ、アルミホイールなど標準装備される。
お買い得な特別仕様車「XV エアロ」の設定でモデル末期の販売体制が整えられたと考えられる。
このタイミングで大掛かりな販売テコ入れがなされると、2022年度後半のフルモデルチェンジ時期の延期を疑わなければならないが、そこまでの内容では無さそうだ。
半導体不足に加え東南アジアからの部品供給の問題は残されるが、2022年度後半の新型セレナの発売が期待される。

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