現行型RAV4は、2018年に約2年8ヶ月の販売空白期間から国内ラインアップを復活させたモデルである。
以降、トヨタは国内中型SUVのカテゴリをRAV4とハリアーによる2モデル体制で構え、販売を強化してきた。そんななか昨年2020年6月、トヨタで行われたのが、ハリアーの4代目モデルの登場である。これをきっかけに、RAV4の国内販売は堅調ではあるものの、ハリアーに対しては歯が立たない状況となっている。
RAV4とハリアーはTNGA(GA-K)プラットフォーム採用で共通部分が多い
現行型のRAV4とハリアーを比較すると、共通する部分が多い。
いずれもホイールベース2690mmのTNGA(GA-K)プラットフォームを採用し、搭載されるエンジンはダイナミックフォース世代のもの。
2.0L NAはM20A-FKS型で、2WDとAWDが用意される。
2.5LハイブリッドはA25A-FXS型で、2WDとE-Fourが設定される。
この辺りまでは、両モデルで共通化されている部分である。
ちなみに、RAV4のパワートレインについてはPHVもあるが、月間300台規模に留まっており、EVブームによって高まる需要に対し、十分に供給できていない状況だ。
RAV4とハリアーはエクステリア、キャラクターの違いで差別化
両モデルの大きな違いの一つがエクステリアの方向性である。
RAV4はクロスカントリー風、ハリアーはシティSUV風の外観が与えられている。しかし、これは日本のユーザーがRAV4よりもハリアーを選ぶケースが多い理由の「決め手」では無いであろう。
RAV4よりハリアーが多く選ばれる理由はプレミアム感の違い
RAV4がハリアーを超えられない理由は、モデルネームが持つプレミアム感にあると考える。
現行モデルでこそRAV4とハリアーは、ほぼ同じ車格にあるが、時代を遡ってみると、その差は大きい。
RAV4は、かつてはコンパクトSUVで大ヒットしたモデル
RAV4の初代型および2代目モデルは、BセグメントのクロスオーバーSUVであり、今で言えばライズと同程度の車格である。当時の免許取り立ての若者が、最初に所有するようなモデルでもあった。これが大ヒットとなったから、この時のイメージが強く定着してしまった。
日本でのRAV4ブーム終了後、主力市場が北米に移され、3代目RAV4から大型化を受けた。そして、続く4代目 RAV4が日本発売に至らなかったことは、過去のコンパクトSUVのイメージが、ユーザーの頭の中で十分に上書きされなかった要因の一つにもなっているだろう。
現行の5代目RAV4は、初代型モデルとは比較するに値しないほど、一見して立派となった。しかし、過去のコンパクトSUVのイメージが、当時を知るユーザーの心のどこかで引き摺られたままで、価格相応以上のプレミアム感を与えるには至っていないのではないか。
RAV4とは違う、ハリアーは初代からプレミアムSUV
一方で、ハリアーは1997年の初代モデルからプレミアムSUVとしてのスタートであった。北米ではレクサスRXシリーズとして販売されたぐらいであるから、客観的に見てもプレミアムクラスであることは明らか。
3代目ハリアーからは、RXシリーズとは別設計となり、実は「脱プレミアム化」を受けている。
しかし、新型登場の度に、アップグレードされる装備とスタイリッシュな内外装を提供することで、ユーザーにプレミアム感の低下を感じさせる隙を与えていないのだ。
結果、ハリアーは価格以上のプレミアム感を演出することに成功している。
RAV4が国内市場において、ハリアーに勝てない理由は、こういったところにあると考える。