ノートのマイナーモデルチェンジは、いつ頃
日産の現行E13型ノートは2020年12月に発売された3代目モデル。まだまだ新型車というイメージであるが、販売2年目となる2022年は一部改良と特別仕様車の導入などが予想される。マイナーモデルチェンジ相当の改良は、しばらくは実施されないだろう。
ノートシリーズの2021年の販売実績は90,177台となった。
歴代ノートシリーズがマイナーモデルチェンジまでに要した期間は、初代E11型が3年、二代目E12型が4年2ヶ月であった。現行ノートも同程度のタイミングになると仮定すれば、マイナーモデルチェンジは2024年頃になることが予想される。
ノートのカスタマイズモデル、東京オートサロン2022で出品
現行E13ノートには、2021年8月にはプレミアムイメージの「ノートオーラ」が追加されている。一方で、ライバルではトヨタ・ヤリスクロス、ホンダ・フィットクロスターといったSUVモデルの導入でラインアップ強化されている。こういったSUVのトレンドに応えて、発売されたのがノート オーテック クロスオーバーである。
東京オートサロン2022では、「ノート オーテック クロスオーバー カスタマイズド」、「ノート オーテック カスタマイズド」が出品された。
ノート オーテック クロスオーバー カスタマイズド
AUTECHブランド初のコンパクトクロスオーバーをより上質かつアクティブなスタイルにカスタマイズされた。
ノート オーテック カスタマイズド
AUTECHブランドならではの“プレミアムスポーティ”なデザインを更に昇華させたプログレッシブモデルとなる。
ノート オーテッククロスオーバーが発売、最低地上高アップ&SUVテイスト
日産からノート「AUTECH CROSSOVER」が2021年10月7日に発売となった。
2020年にフルモデルチェンジされた新型ノートをベースに、「AUTECH」ブランドによって、プレミアムかつSUVテイストにカスタマイズされたモデルとなる。
ノート オーテック クロスオーバーの消費税込み車両本体価格は、2WD車が2,537,700円、4WD車が2,796,200円に設定された。
新型ノートにSUVテイストのプレミアムエクステリア
エクステリアは、オーテックブランド車共通の表現であるドットパターンフロントグリル、AUTECH専用のブルーに輝くシグネチャーLED、メタル調フィニッシュのドアミラーなどが採用された。
さらに、専用デザインのサイドシルプロテクターやホイールアーチガーニッシュ、ルーフモール、CROSSOVER専用デザインのアルミホイールが装備された。
ボディカラーでは「AUTECH CROSSOVER」専用カラーとして、ルーフ別色の2トーンカラーが設定された。
最低地上高2.5cmアップで、不整地や雪道での走行に対応
ノート オーテック クロスオーバーはSUVテイストの装飾パーツの装備に留まらず、専用サスペンションと大径タイヤの採用により、最低地上高は25mm拡大される。不整地や雪道といった日常的な悪路に対しての走破性が高められた。
車高はアップされているものの、オーテックブランドのイメージを損なわない乗り味が与えられた。スプリング、ショックアブソーバー、パワーステアリングに専用チューニングが施されることで、レベルの高い走行フィールが実現された。
専用デザインのインテリアも装備される
インテリアでも専用デザインが与えられた。シート地は、レザレットが採用されることで、柔らかな手触りと上質感が備わる。
インパネは、紫檀柄を採用し、高級感が出される。
新型ノート オーテック クロスオーバーは、先代C-Gearを後継
ノート オーテック クロスオーバーは、あくまで通常ノートのバリエーションの一つとしてのラインアップとなった。先代型E12ノートにもSUVテイストのC-Gear(シーギア)が設定されてたが、これを後継するモデルとなる。
日産の現行ラインアップでは、小型SUVとしてキックスがある。キックスに搭載されるe-POWERは第一世代で、駆動方式もFFのみという、やや物足りない仕様であった。FFと4WDの両方が設定されるノート オーテック クロスオーバーに期待する声は大きい。
日産のシリーズ式ハイブリッド、e-POWERは新型ノートから第二世代型に進化し、特に4WDモデルにおいてはモーター出力が大幅に強化された。フロント85kW、リア50kWの本格的な仕様となっている。
ノートとノートオーラの違い【比較】約261万円からの高級仕様が2021年8月発売
さて、2021年8月に発売されたノートオーラを見ていく。
新型ノートオーラは、本来であれば2021年春に発売されていたはずのモデルであったが、自動車向け半導体不足の影響によりスケジュールが延期となっていた。数ヶ月程度の遅れで、発売に漕ぎ着けることができた。
ノートオーラは100kWモーターを採用、車両価格は約261万円から
新型ノートオーラは、日産が2020年末にフルモデルチェンジさせた主力コンパクトカー、ノートの高級仕様に相当する。
見た目だけでなくパワートレインも強化されており、通常ノートのフロントモーターの85kW(116PS)/ 280Nmは、新型ノートオーラでは100kW(136PS)/ 300Nmとなった。これは18%の向上である。
消費税込み車両価格はFFの「G」が2,610,300円、「G leather edition」が2,699,400円。各4WDモデルが2,868,800円、2,957,900円となる。
ちなみに通常ノートのエントリーモデルは約203万円、AUTECHグレードが約250万円に設定されている。
ノートオーラは全幅40mm拡大で3ナンバーサイズ
ボディサイズは全長が同じで、全高もほぼ変わらず。ただし、全幅はノートオーラが40mm拡大されており、3ナンバーサイズとなる。
- ノート:全長4045mm×全幅1695mm×全高1520mm
- ノートオーラ:全長4045mm×全幅1735mm×全高1525mm
ノートオーラのフロントデザインはワイド感が強調される
ノートオーラのエクステリアは、拡大された全幅を使い、ワイド感が強調された顔つきとなった。フロントグリルは、逆台形のVモーショングリルが採用されるが、ノートオーラではこれが横長となり、全幅1.7m枠に縛られない欧州コンパクトカーのようなゆとりのある表情となった。
またリップスポイラーは、通常ノートでは樹脂パーツ感が残されたままであったが、新型ノートオーラでは光沢のある塗装で仕上げられ高級感が与えられている。
ヘッドランプユニットの比較では、通常ノートでは4眼LEDと目頭にターンシグナルランプが置かれたデザインであった。ノートオーラではランプ高さが抑えられ、外形そのものがシャープになった。特にターンシグナルランプとデイタイムランニングライトについては、ヘッドランプユニットの外に移され、Vモーショングリルのフレームラインに置かれる。
全幅拡大の恩恵により、フェンダーアーチの膨らみが豊かとなり、デザイン性を高めている。さらにタイヤサイズも通常ノートの15~16インチから、新型ノートオーラでは17インチとなり、ホイールも専用デザイン。このあたりもノートオーラならではのプレミアム感が与えられた部分である。
リア周りも専用デザインの外板をコストを掛けて採用
リアビューでは、通常ノートでは樹脂バンパーが採用されていた部分が、ボディ同色に塗装されたパネルに置き換わっている。
コンビネーションランプは、外形では通常ノートと違いが無いように見えるが、点灯パターンは変えられている。特に左右を連結する一文字のパターンは、近年の高級車のデザイントレンドを汲んだものだろう。リア周辺にも専用デザインの外板を採用することで、ワイドに見える工夫がされている。
ノートオーラのインパネは大画面化、北欧家具のようなインテリア
インテリアでは、ツイード生地と木目調パネルが多用され、モダンな仕上がりとなった。
インパネのモニタ類は、12.3インチの「アドバンスドドライブアシストディスプレイ」と、9インチの「NissanConnectナビゲーションシステム」によって構成される。
フロントセンターアームレストには、腕を置いたまま、指先だけで楽に操作することが可能な電動シフトを配したことで、運転に余裕がもたらされる。
ノートオーラの発売日は秋、日産の減産体制は続く
さて、発売中の通常ノートの5月の販売台数は5,962台で、これは月間計画の8,000台を大きく割り込む結果となった。この原因は、人気不振というよりも、半導体不足による生産調整によるものだろう。
追加発売されたノートオーラは月間2,000台の計画となっており、ノートシリーズ全体で月間10,000台を販売していく計画。ただし、日産はしばらくは減産を行う見通しで、計画達成は容易ではない。
ノートオーラは高級イメージ、モーター出力アップ、プレミアムな内装、外装
ノート シリーズはプレミアム化される、日産のBセグメント戦略
現行型ノートシリーズはノートオーラを含め、全車e-POWERである。通常ノートもエントリー価格202万9500円と立派なプライスが付けられており、電動化とともにプレミアム化も進められてきた。
国内Bセグメントカーに求められるものは、近年の軽自動車シフトの影響もあり、変化してきた。ホンダ・フィットは居住性や使い勝手を追求したが、販売台数を伸ばせていない。一方で、トヨタ・ヤリスはスポーツ志向を強め2020年度の車名別販売台数で首位となった。
そんななか日産は、かつてのティーダのコンセプトである「プレミアム・コンパクト」を新型ノート オーラで再興させようとしている。
プレミアム車種ノート オーラ発売が望まれる理由は、ティアナの廃止にもある
また、日産は事業構造改革計画 NISSAN NEXTのなかで、現行の69車種から、2023年度までに55車種以下へラインアップを減らすことを発表している。既に2020年7月に中型FFセダンのティアナが廃止となっており、その国内ユーザーの受け皿として、コンパクトながらも上級の内外装を持つモデルが待望されていた。
なお中型のFFセダンそのものは、北米および中国では無くてはならない存在であり、これはアルティマに統合される形で継続される。
日本は軽自動車から【EV化】日産三菱連合の小型電気自動車IMk
ノートオーラの発売日が、自動車向け半導体不足の影響を直撃
ノートオーラだけじゃない、各社の新車投入スケジュール、フルモデルチェンジ計画に影響
自動車向け半導体不足の問題は根が深く、すぐには解決できそうにない。関係各国の2021年GDPをも揺るがす問題になりつつある。
まずコロナ禍の初期においては、自動車メーカーも減産体制を取らざるを得なくなった。これには半導体メーカーも追従し、供給量を下げた。その後、自動車メーカーは急速に増えた需要に対し生産を回復させようとしたが、半導体メーカーからの供給量は、以前のようには戻らなかった。
この間に半導体メーカーは、今後の市場の伸びが確実な、家庭用電子機器やコンピューター向けの新世代製品に向けた生産へのシフトを進めており、設備投資もしてきた。いまさら自動車メーカーから増産要求されても、残されたリソースは限られるというわけだ。
そもそも自動車向け半導体は、基本的には旧世代製品に相当する。旧世代製品向け設備は「お払い箱」となる日も近いわけで、新たに生産設備を増強することは難しい。さらに、ガソリン車からEVへのパワートレイン変革など、自動車分野では今後の予測が難しい部分が多く、資本と人員を積極的には割きたくはないだろう。半導体メーカーとしては、投資対象として自動車向け以外の新世代製品に注力したほうが手堅い状況にあるのだ。
ノート オーラ発売を延期させた日産とは違う、一人勝ちのトヨタ
自動車向け半導体の供給不足は、日本のユーザーレベルでは、特にノートオーラに関する問題として表面化したが、実際にはもっと大きな次元の話である。EVブームで沸いているように見える欧米の自動車メーカーでも問題は深刻化している。
ただ、トヨタに関しては機会損失を比較的小さな範囲に留めてきた。実は、トヨタはサプライチェーンの弱点が半導体部品にあることを以前から見抜いており、在庫を余分に保有していた。
トヨタといえば、在庫をできるだけ持たない「ジャストインタイム」の本家本元であるが、他メーカーがその真似事を徹底し裏をかかれるなかで、トヨタは「改善版ジャストインタイム」の導入により、機会損失を小さく抑えることができていた。
ただし、あまりに長期化する半導体不足のため、トヨタも生産調整の実施を余儀なくされており、最近の新型車は、正確な発売日を発表しない方針のようだ。