「MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV」は、2023年度後半以降の日本発売が予想される。
2023年4月に開催された幕張メッセで開催された「AUTOMOBILE COUNCIL 2023」では、マツダブースから「MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV」が出品された。1月のブリュッセルモーターショーでのワールドプレミアに続き、国内初公開となったが、現在のところ欧州仕様の左ハンドル車の公開に留まっている。
2023年10月25日よりプレスデーが始まるジャパンモビリティショーでは、日本仕様の公開と伴に、日本発売についての新たな情報公開が期待される。
「MX-30」の『ロータリーPHEV』と『一部改良』の<まとめ>は、次のページ
MX-30 e-SKYACTIV R-EV ブリュッセルでワールドプレミア 2023年1月
マツダは、「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」を2023年1月13日、ブリュッセルモーターショーで公開した。
「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」は、ロータリーエンジンを発電機として使用するプラグインハイブリッドモデルである。
MX-30にロータリーPHEV版が追加されることは、MX-30のEV版が発表された当初から予告されていたが、その導入時期は2022年前半から、2022年度下半期まで延期されるということであった。
MX-30は2022年11月に一部商品改良を受けていたが、その時はロータリーPHEVについての報告がなかった。今回の欧州発表で、ようやく発売が見えてきた。
17.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載することで、日常の幅広いシーンにおいてバッテリーEVとして使える85kmのEV走行距離が提供される。また、50Lの燃料タンクも装備されており、ロータリーエンジンによる発電によってさらなる長距離ドライブにも対応する。
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シリーズ式プラグインハイブリッドを採用しており、走行の全ては電気モーターによる駆動となる。発電用ロータリーエンジンは新たに開発されたものとなり、必要とされる出力性能をコンパクトに実現できるロータリーエンジンの特長を活かし、高出力モーター、ジェネレーターと同軸上に配置してモータールームに搭載される。そして、このコンパクトな電動駆動ユニットと、独自のシリーズ式プラグインハイブリッドシステムが実現された。
また、普通・急速両方の方式に対応した充電機能や1500Wの給電機能、使用シーンに合わせて選択できる「EVモード」「ノーマルモード」「チャージモード」の3つの走行モードが備わる。
MX-30 e-SKYACTIV R-EVには、特別仕様車「Edition R」が設定される。黒基調の外板色および内装色としながら、ルーフサイドにはマツダ初の乗用車である「R360クーペ」のルーフ色を復刻したマローンルージュメタリックを差し色として採用している。フロアマットやシートのヘッドレストには、ローターの形状を模したバッジやエンボス加工などの専用デザインが施されている。
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MX-30 の一部改良、マイルドハイブリッドは大幅値上げ 2022年11月発売
2022年11月初旬発売の一部改良では、マルチトーンのボディカラーとして、「ソウルレッドクリスタルメタリック」、「ジェットブラックマイカ」、「ジルコンサンドメタリック」が新たに設定される。MX-30の特徴であるキャビンとフリースタイルドアを際立たせる「フレームドトップ」をブラック単色とすることでキャビンをより軽快に見せ、アクティブなライフスタイルにマッチした表現が採用された。
さらに、MX-30 EV MODELでは、AC1500W/AC150W電源、V2Hの給電機能が追加された。
新価格は、2.0L マイルドハイブリッド搭載モデルのベースグレードが、264.0~287.65万円となり、22万円の大幅値上げとなった。また、新グレードとして「Industrial Classic」と「Modern Confidence」が276.1~299.75万円に設定された。
EVモデルは、451.0~ 501.6万円に設定された。「ベースグレード」と「ベーシックセット」は価格据え置きで、「ハイエストセット」は6万6000円の値上げとなった。
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新型MX-30 商品改良の概要 2022年11月発売
MX-30 マイルドハイブリッド、EV、各モデル共通の変更内容
アクティブなライフスタイルを表現するマルチトーンのボディカラーを新設定
MX-30の特徴であるキャビンとフリースタイルドアを際立たせるフレームドトップを、ブラック単色とすることでキャビンをより軽快に見せ、アクティブなライフスタイルにマッチした表現とするマルチトーンの、「ソウルレッドクリスタルメタリック」、「ジェットブラックマイカ」、「ジルコンサンドメタリック」が新たにラインナップされた。
シフトノブの操作性を進化
人間中心の考え方に基づき、素早い操作時でも、よりスムーズに操作できるよう、従来、シフトノブ右側にあったボタンがシフトノブの裏側に配置された。
MX-30 マイルドハイブリッドモデルの変更内容
新グレード「Industrial Classic(インダストリアル クラシック)」「Modern Confidence(モダン コンフィデンス)」が新設
MX-30のデザインコンセプトである Human Modern を体現する「Industrial Classic」と「Modern Confidence」が新たにグレード設定された。
MX-30 EVモデルの変更内容
AC1500W/AC150W電源、V2Hの追加
バッテリーから電気製品に電力を供給することができるAC1500W/AC150W電源が設定された。AC1500W電源はラゲッジルーム、AC150W電源はフロントコンソールに配置される。
車の駆動用バッテリーに蓄えられた電力を、建物に設置されているV2H充放電設備に接続することで建物へ給電できる、V2H(Vehicle to Home)機能が全機種標準装備された。
バッチの追加・変更
フロントフェンダーにバッチが追加された。
バックドアのバッチが新デザインに変更された。
「MX-30」の<価格表>は、次のページ
MX-30 PHEVが追加予定、EV版からバッテリー容量を削減し、ロータリーエンジン発電機を搭載
MX-30はこれまでに2つのパワートレイン、EVとマイルドハイブリッドが用意されてきたが、後追いでレンジエクステンダーが計画されていることは、シリーズの発売前から話題となっていた。ただし、現在のマツダは「レンジエクステンダー」という言い方を改めており、「PHEV(プラグインハイブリッド)」といった表現に統一している。
現行のMX-30 EVの駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は35.5kWhで、航続距離はWLTCモードで256kmとなる。SUVのボディスタイルでありながらも、遠出してアウトドアを楽しむのには心許無い航続距離である。シティSUVとして近距離のレジャーに対応したスペックに仕上げられている。
MX-30のプラグインハイブリッドモデルは17.8kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載され、これはEVモデルの35.5kWhの半分の容量となった。航続距離は85km(欧州WLTPモード)となる。ちなみに、三菱・新型アウトランダーPHEVの航続距離は、87km(日本WLTCモード)となる。日常的な通勤、買い物といった使用に限れば、多くのケースでガソリンを一切消費しない走行パターンが実現される。
エンジンを搭載するPHEVのカテゴリでは、ピュアEVに比べて航続距離は大きな問題ではない。リチウムイオンバッテリーの調達、コスト、重量の面では容量をなるべく抑えた方が、特に現段階の日本市場においては商品として成立しやすいだろう。
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MX-30のロータリーハイブリッドはシリーズ式を採用
新開発のロータリーエンジンは発電専用に使われるということなので、「シリーズ式ハイブリッド」のシステムが採用されているのも大きな特徴となる。
マツダが「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャ」と呼ぶ新世代車種は、エンジン横置きの「スモール商品群」、エンジン縦置きの「ラージ商品群」の2つのプラットフォームを軸に開発されている。このうちMX-30はスモール商品群に属するが、ここでの自社開発ハイブリッドとしてシリーズ式を採用していくことが明らかとなり、他モデルへの展開も予想される。
また、スモール群は協業による他社のハイブリッドシステムの導入も検討されており、これはトヨタのTHSⅡとなるだろう。
一方でラージ商品群では、PHEVのパワートレイン部分の画像が公開されており、そこからは縦置きされた直列4気筒のレシプロエンジンからプロペラシャフトが伸びていることが解る。パラレル式あるいは、シリーズパラレル式のハイブリッドシステムの採用となり、エンジントルクを駆動輪に機械的に伝える構造が残される。
MX-30 PHEVはグローバル販売が計画されており、米国向けには2022年秋の発売が予告されていた。
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MX-30日本仕様、EVとマイルドハイブリッドが発売中
マツダは2020年10月8日に新型MX-30を発売した。
MX-30日本仕様としてまず発売されたのが、e-SKYACTIV Gと名付けられたマイルドハイブリッド仕様である。2.0LのガソリンエンジンSKYACTIV Gに、最高出力6.9PSのアシストモーターを搭載。リチウムイオンの容量は10Ahで、24Vシステムが採用されている。これより先行して、欧州向けのマツダ車には、M HYBRIDとして、マイルドハイブリッド車がいくらかラインナップされているが、この流れを汲んだものである。
マツダは2030年までに生産モデルの100%電動化目標
新型MX-30に搭載されたe-SKYACTIV Gは、今後マツダの国内向けモデルに広く普及が進められるパワートレインとして注目されている。マツダは2030年までに、同社が生産するモデルの100%電動化を計画している。その内訳は純電気自動車のEVが25%で、残りがマイルドハイブリッド車とPHEVとなる。
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SKYACTIV-Xは上級エンジン、普及型エンジンはe-SKYACTIV G
これまでマツダが国内向けに用意したマイルドハイブリッドと言えば、SKYACTIV-Xがあったが、これはアシストモーターの装備にとどまらず、圧縮着火方式のガソリンエンジン(SPCCI)という次世代エンジンが採用されていた。革新的で高性能なエンジンではあるものの、コストの関係から幅広いグレードで普及させていくのは難しい。MAZDA 3の2.0Lモデル、SKYACTIV-G と SKYACTIV-Xの車両本体価格を比較しても60万円以上の開きがある状況だ。
100%電動化を実現するためには低価格なマイルドハイブリッド車の存在は必要不可欠で、これがSKYACTIV-GとM HYBRIDのコンビネーションであるe-SKYACTIV Gということになる。
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MX-30マイルドハイブリッド仕様は普及価格帯
新型MX-30のボディサイズは、
全長 4,395mm
全幅 1,795mm
全高 1,550mm
ホイールベース 2,655mm
同じクロスオーバータイプの他社ライバルモデルとしては、トヨタ・C-HR、ホンダ・ヴェゼル、スバル・XVあたりが挙げられる。MX-30の発表時は「高額なEV」ということで、敬遠していたユーザーもいるかもしれない。マイルドハイブリッド版の車両本体価格は2WD 6速ATが消費税込み242万円からということで、手に届きやすい価格を実現している。観音開きドアという特殊性はあるが人気のSUVタイプで、インテリアの質感は高い。非常に市場競争力のあるモデルに仕上がっている印象だ。
プラットフォームは、FFベースのスモール群と呼ばれるものでMAZDA 3、CX-30と同じくする。特にCX-30とはホイールベース、全長、全幅が共通で、サイズ感は、ほぼ同じとなる。
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MX-30 EV版の航続距離が短い理由
MX-30 EV 日本仕様は、2021年1月に発売された。
航続距離はWLTCモードで256km、駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は35.5kWhという短距離向けのEVに仕上げられている。
この短距離向けというのがポイントで、多くのEVメーカーが駆動バッテリーの大容量化で、ツアラーとしての能力を与えているのに対し、マツダは今後製品化する発電専用エンジンの搭載で解決する方針を持っている。マツダは、これを「REマルチ電動化技術」と呼んでおり、この時既に2022年前半のスモール群で市場導入することを予告していた。
マツダのロータリーといえば、高回転域までスムーズに回る特性を生かしたスポーツモデル、RXシリーズがあった。ロータリーエンジンの特性である低振動性、静音性、軽量コンパクトさというメリットは高性能な発電機として活用されることになる。
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