次期MAZDA2か、マツダが描く次のコンパクト像を、JMS 2025の「MAZDA VISION X-COMPACT」から読み解く
新型MAZDA2の「出発点」――量産予告ではないが、次世代の方向を指し示す存在
MAZDA VISION X-COMPACTは、JAPAN MOBILITY SHOW 2025で世界初公開されたマツダのコンセプトです。
量産を前提にした市販予告車ではなく、未来の人とクルマの関係を提案するためのモデルとして位置づけられています。
ここで示された考え方や体験の一部が、将来の量産車――とくに新型MAZDA2のようなコンパクトクラス――にどのように反映されていくのかが注目点になります。
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共感型AIと人間中心設計(HMI)が核
このコンセプトの核は「人体・感性モデル」と“共感型AI”の融合です。運転者の感情や体調に寄り添い、自然な対話で目的地の提案やサポートを行う、いわば“親友”のような存在を目指しています。
対話的なUIや、光の表現を使ったインタラクションなど、人間中心設計(HMI)を重視した仕立てが大きな特徴で、視線移動の少ない範囲に情報を集約して没入感を高めるディスプレイ配置も示されました。
これらは、将来の量産車群に横展開される体験の布石という見方ができます。
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デザインと新CI――次世代ファミリーフェイスのヒント
MAZDA VISION X-COMPACTは、力強い骨格表現と、インテリア/エクステリアが溶け合う“INSIDE OUT”発想でまとめられ、ボディパネルにはMAZDA3を思わせる美しい曲面が与えられています。
ヘッドランプ周辺は、MAZDA VISION X-COUPEとともに、マツダの次世代ファミリーフェイスの方向性が示唆されます。
フロント中央には平面的となった新しいCIエンブレムが備わります。
また、バックドアやステアリングの中央には「MAZDA」の文字を配するディテールが見られます。
これは新型CX-5から採用された流れに沿うもので、ブランド表現の統一が進むことが感じられます。
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「MAZDA VISION X-COUPE」との関係
MAZDA VISION X-COUPEがパワートレインや出力まで語ったのに対し、X-COMPACTはHMIや人間中心体験の提示に重点が置かれていました。
X-COUPEとX-COMPACTを合わせて見ると、デザイン・体験・パワートレインという複数の軸で次世代マツダ像が示されていることが分かります。
新型MAZDA2はその中で、日常生活に近い領域での人とクルマの自然な関係づくりを担う可能性が高い、という理解がしやすくなります。
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マツコネ廃止を示唆? ディスプレイオーディオはスマートフォンで完全代替
マツダコネクト(いわゆる“マツコネ”)については、今回示された人間中心HMIの方向性から、専用インフォテインメントの肥大化を見直す可能性があると受け止めます。
とくに日常使いを担うコンパクトカーでは、ディスプレイオーディオを多機能化するよりも、スマートフォン連携に役割を寄せるほうが使い勝手や学習コストの面で合理的だと考えます。
音声アシストや地図、メッセージなどの主要機能はスマートフォン側で成熟していますので、車載側は安全に関わる表示と最低限の操作を確実に担う――そのような役割分担が現実解になり得ます。
この視点に立つと、「コンパクトカーに高額なディスプレイオーディオは不要」という考え方は、単なるコストカットではなくユーザー利益に直結します。
車載ハードを過度に積み上げず、質の高いUI設計とスマートフォン連携に注力すれば、初期費用を抑えつつ体験の更新性も保ちやすくなります。
価格に敏感なBセグメントのユーザーほど恩恵が大きく、軽快な視認性・操作性と“必要十分”な機能を両立できます。
マツダが掲げる共感型AIや視線移動の少ない情報配置は、こうしたミニマルなパッケージの中でこそ効果を発揮すると考えます。
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新型MAZDA2のサイズ感とキャラクター――都市で映えるBセグメントの再定義
寸法の示唆とセグメント像
公開されたMAZDA VISION X-COMPACTの寸法は、全長3,825mm/全幅1,795mm/全高1,470mm/ホイールベース2,515mmです。現行MAZDA2(全長4,065mm、ホイールベース2,570mm)と比べると、よりコンパクトなサイズ感が示されました。
セグメント像としてはBセグメントの都市型コンパクト、いわゆるハッチバック的なプロポーションが想定されます。
デミオのDY系(2代目)からDE系(3代目)へのフルモデルチェンジでボディサイズが縮小された過去もあるため、次期MAZDA2が4m未満の全長へ回帰してコンパクトな個性を強める、という方向性は一つの可能性として考えられます。
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エクステリアとランプ造形
ボディの面づくりは、MAZDA3の実績に通じる“曲面の美しさ”が印象的でした。
一方で、ボディラインに添わせたLEDラインのリアコンビネーションランプは挑戦的で、X-COUPEと共通する新しさが強調されています。
もし市販モデルへの採用が進めば、先進的で独自性のあるリアビューが生まれることになり、コンパクトクラスでもマツダらしい存在感を放つことが期待されます。
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インテリアの“INSIDE OUT”発想と彩度
インテリアには外板色を塗装したパネルが採用される表現が見られました。
外と内が連続するような仕立ては“INSIDE OUT”の考え方を具体化したもので、視覚的にも触感的にも、クルマ全体を一つのプロダクトとして体験させる狙いが感じられます。
加えて、視線移動の少ない範囲に情報を集約するUI設計は、日々の運転での安心感や集中のしやすさに直結します。共感型AIとの対話や、光の演出によるフィードバックが加わることで、運転者の状態に寄り添う使い心地が目指されています。
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パワートレインの見立てと地域ニーズ
X-COMPACTはHMIに焦点を当てており、昨今ありがちなBEVあるいはPHEVのスペック提示は行っていません。
このことは、従来的なICE(内燃機関)をメインのパワートレインとして想定している可能性を考えます。
MAZDA2は日本だけでなく新興国でも重要な役割を担っており、ICE需要が依然として強い地域が多いことも踏まえると、ガソリン車の選択肢が当面残ることが予想されます。
生産拠点としては、日本・タイ・メキシコが担ってきた背景があり、各地域のニーズに合わせたパワートレインや装備の最適化が引き続き重視されると考えられます。
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スケジュール観と次の一歩
市販を前提としていないコンセプトであるため、発売時期は未発表です。
マツダのスケジュールでは、新型CX-5の日本発売が2026年中とされています。
こうした流れの中で、MAZDA2のフルモデルチェンジ時期は早ければ2026年後半~2027年頃が期待されます。
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プラットフォームと基本骨格の可能性
小型車向けのICE対応“新型プラットフォーム”に関する正式発表は現時点でありません。
そのため、次期MAZDA2は現行プラットフォームの改良・キャリーオーバーをベースにしつつ、外観・内装の大幅刷新やHMIの進化で商品力を高める可能性が指摘されています。
X-COMPACTで示された体験面の革新と、現実的な生産・コストのバランスをどう取っていくかが、量産モデルの鍵になっていきます。
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現行MAZDA2の今――長く愛される成熟と、終盤の磨き上げ
マイナーチェンジの軌跡とディーゼルの生産終了
現行MAZDA2(DJ系デミオ起点)は2014年9月の発売から10年を超えるロングライフモデルです。
2023年1月にはフロントグリル開口部を大きく縮小する大幅マイナーチェンジを実施し、モデル末期とされる現行型のデザインを刷新して商品力を底上げしました。
その後、2024年9月17日にSKYACTIV-D 1.5の国内向け生産が終了し、ラインアップはガソリンエンジンに集約されています。市場環境の変化や需要の見直しに応じて、パワートレインの絞り込みが進んだ格好です。
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グレードの拡充と継続販売の構え
2024年12月には新グレード「15BD i Selection」「15 SPORT+」が追加されました。
これにより、ニーズに応じた選択肢が広がり、当面は現行型の販売継続が見込まれます。ユーザーにとっては、熟成の進んだ基本骨格に、デザインや装備の最新トレンドを取り込んだラインアップから選べる状態が続くことになります。
X-COMPACTで示されたHMIの方向性や新しいファミリーフェイスのエッセンスは、量産化のタイミングやコスト配分と合わせて徐々に結実していくと考えられますが、現行モデルはその橋渡し役として“完成度の高さ”を維持しています。
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ブランド表現のアップデートとユーザー体験
新しいCIや「MAZDA」ロゴ表記の扱いは、ブランド全体で統一感を高める方向へと進むと思われます。
現行MAZDA2はモデル末期の段階にありながら、デザインの磨き込みやグレード整理によって、購入後の体験価値を維持・向上させる工夫が続けられてきました。
JMS 2025で示された“共感型AI”や“INSIDE OUT”の発想は、コンパクトクラスでも“人に寄り添うUI”というテーマは相性が良く、日常の使い勝手としての恩恵が分かりやすい領域です。
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都市で映える取り回しと、マツダらしい走りの両立
Bセグメントの都市型コンパクトという文脈で、取り回しの良さや視界、必要十分な室内空間は引き続き重要です。
X-COMPACTで示された視線移動の少ない情報配置は、運転時の負担軽減に直結します。
クルマとの会話が自然で、ドライバーの状態に応じて光や音、表示が寄り添う体験が、次期MAZDA2のような日常使いのモデルに広がると、使い心地の面での変化がよりはっきり感じられるはずです。
そこに、マツダが得意とする走りの気持ちよさが重なることで、クラスを超えた満足感につながっていきます。
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X-COMPACTが投げかけた“次のふつう”
X-COMPACTは、新しいモビリティの“派手なスペック”ではなく、運転者との信頼関係をどう作るかに焦点を当てました。
コンパクトカーは毎日の生活を支える道具でもあります。だからこそ、対話の自然さ、UIの分かりやすさ、運転に集中できる環境づくりが、次の時代の“ふつう”として求められます。
新型MAZDA2がこの問いにどのような答えを示すのか――JMS 2025での提案は、その期待をふくらませるのに十分な内容でした。
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MAZDA2への採用は難しい?マツダの次世代電動化技術
2024年5月にマツダ、トヨタ、スバルの3社合同で開催されたマルチパスウェイワークショップでは、2ローター式のROTARY-EV SYSTEM CONCEPTが発表されました。これはMX-30に搭載される1ローター式よりも高出力であることが想定されており、MAZDA2の後継となるスモールカー向けの技術とは考えにくいです。
また、マツダはこれまでに小型車にも対応することが想定される次世代プラットフォーム「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」に関する情報を公開してきました。しかし、MAZDA2後継車種としてBEV専用車を数年内に導入することは難しいと考えられています。
一方で、欧州や日本などの先進地域を中心に電動化されたパワートレインの導入が求められているため、MX-30で先行導入された8C型Rotary-EV仕様が次期MAZDA2に搭載される期待もありますが、可能性は低いと見ています。この8C型Rotary-EV仕様は、コンパクトなロータリーエンジンをメインユニットとするPHEVとなる見込みであり、さらには普及を考慮したマイルドハイブリッド仕様の設定も期待されています。
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MAZDA2に新機種「15BD i Selection」と「15 SPORT+」を設定、2024年12月
MAZDA2に「15BD i Selection」と「15 SPORT+」という新機種が設定され2024年12月25日に発売されました。
まず「15BD i Selection」は、ステアリングヒーターや運転席と助手席のシートヒーターなど、ドライバーや同乗者から特に要望の多い装備を採用しているのが特徴です。消費税込価格は2WDモデルが1,777,600円、4WDモデルが1,997,600円となっています。
もう一方の「15 SPORT+」は、「15 SPORT」専用のメーカーオプションとして設定されていた「SPORT+パッケージ」を標準装備化し、よりスポーティかつ充実した仕様になっています。
こちらの消費税込価格は2WDモデルが2,281,400円、4WDモデルが2,501,400円です。
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MAZDA2の商品改良、2023年12月
MAZDA2の商品改良と値上げが発表された。
今回の商品改良は、2023年1月のマイナーチェンジから1年弱が経過したタイミングでの実施となる。また、フルモデルチェンジが近いこともあり、現行型モデル末期の商品力向上と、値上げも実施された。値上がり幅は、19,800~93,500円で、車両本体価格は、1,548,800~2,622,400円のラインアップとなる。(いずれも消費税込み)
コネクティッドサービス対応のマツダコネクトを採用
装備面では、コネクティッドサービス対応のマツダコネクトが採用される。「15C」、「XD」、「15 BD」、「XD BD」はメーカーオプション設定、「15 SPORT」、「XD SPORT+」では標準装備となる。(「15MB」は選択不可。)
用品架装パッケージ車「SCI-FI」を設定
「15 BD」および「XD BD」モデルに「SCI-FI」パッケージが新たに追加され、価格は取付費込みで116,600円となる。さりげないディテールに自分らしいこだわりを楽しむがコンセプトとなっており、 推奨ボディカラーとして、マシーングレープレミアムメタリックとジェットブラックマイカが指定されている。
フロントグリル、リアルーフスポイラー、フルホイールキャップにライムグリーンのアクセントが奢られる。既存の「ROOKIE DRIVE」や「CLAP POP」パッケージ車とは異なるデザインが提供される。
グレード・装備体系の見直し
「15 Sunlit Citrus」は廃止となる。一方で、「15 BD」および「XD BD」モデルは選択肢が拡大される。
「15 SPORT」と「XD SPORT+」では、ボディと同色のルーフフィルム、ドアミラーカバー、シャークフィンアンテナが採用され、ブラック色もメーカーオプションで設定される。
また、「XD」でのユーティリティパッケージが標準装備化された。
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MAZDA2 価格表 2023年12月
| 機種名 | 駆動 | エンジン | 旧価格(円) | 新価格(円) | 値上げ(円) |
| 15C | 2WD | SKYACTIV-G1.5 (高圧縮) |
1,529,000 | 1,548,800 | 19,800 |
| 4WD | 1,749,000 | 1,768,800 | 19,800 | ||
| 15 BD | 2WD | 1,647,800 | 1,741,300 | 93,500 | |
| 4WD | 1,867,800 | 1,961,300 | 93,500 | ||
| 15 SPORT | 2WD | 2,002,000 | 2,083,400 | 81,400 | |
| 4WD | 2,222,000 | 2,303,400 | 81,400 | ||
| 15 Sunlit Citrus | 2WD | 2,101,000 | 廃止 | – | |
| 4WD | 2,321,000 | – | |||
| 15MB | 2WD | SKYACTIV-G1.5 | 1,749,000 | 1,768,800 | 19,800 |
| XD | 2WD | SKYACTIV-D1.5 | 1,903,000 | 1,955,800 | 52,800 |
| 4WD | 2,123,000 | 2,175,800 | 52,800 | ||
| XD BD | 2WD | 1,991,000 | 2,084,500 | 93,500 | |
| 4WD | 2,211,000 | 2,304,500 | 93,500 | ||
| XD SPORT+ | 2WD | 2,321,000 | 2,402,400 | 81,400 | |
| 4WD | 2,541,000 | 2,622,400 | 81,400 |
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MAZDA2のマイナーチェンジ、新フロントデザインで販売期間延長、2023年3月発売
新型MAZDA2は、2023年3月発売の大幅商品改良により、フロントデザインが大きく変更された。グリル内のエアインテークは塞がれ、ボディ同色や別色で塗装されたフロントパネルが配置される。
カラーコーディネーションは、全198通りの組み合わせとなり、メーカーオプションで用意される。グリル内をブラックアウトさせる選択肢も用意されており、従来までとイメージを大きく変えないパターンも用意される。
また、ショップオプション専用コンプリートキットとして「ROOKIE DRIVE」、「CLAP POP」が用意される。
「15 SPORT」「XD SPORT+」では、メッシュグリルの採用でスポーティなイメージに仕上げられる。
グレード構成は、ベースモデルとなる「15C」「XD」が継続され、新グレードとして「15 BD/XD BD」「15 SPORT/XD SPORT+」「15 Sunlit Citrus」が設定された。(一部廃止済み)
- 15 BD/XD BD … (スケートボード用語「Blank Deck」の略で、装飾を行う前のまっさらな状態を表している。)
- 15 SPORT/XD SPORT+ … (専用メッシュグリル、アルミホイール、唯一のMT設定モデル)
- 15 Sunlit Citrus … (従来「特別仕様車」を継承するモデル、最上級グレードとしてふさわしい装備体系に進化)
また、ボディカラーは、「エアストリームブルーメタリック」「エアログレーメタリック」の2色が追加される。
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MAZDA2は2014年発売DJ系デミオが原点、販売期間9年目でフェイスリフト
現行型DJ系の販売は、2014年9月発売の4代目「デミオ」が原点となっている。2019年7月には、国内向けモデルについても、グローバルネームの「MAZDA2」に統一された。実質的には販売期間9年目に突入しており、このタイミングでのフェイスリフトとなった。
近年のマツダの新世代商品は、2019年5月発売の「MAZDA3」からスタートした「スモール商品群」、「CX-60」などが含まれる「ラージ商品群」によって展開されている。従来商品の販売も継続されるが、そのなかで「CX-5」と「CX-8」は、先行してフェイスリフトが実施され、マツダの新世代商品に準じたファミリーフェイスに変更されてきた。今回の「MAZDA2」のマイナーチェンジも、同様に新ファミリーフェイスの導入が予想されたが、ボディ同色フロントグリルの導入などにより、かなり印象の異なる顔つきとなった。
また、新開発パワートレインは導入されず、期待されていたマイルドハイブリッドの導入は無かった。ちなみに、2021年6月の一部商品改良においては、高圧縮ガソリンエンジンとして、新技術の斜め渦燃焼「Diagonal Vortex Combustion」を「SKYACTIV-G 1.5」に採用することで、圧縮比が14.0に高められるという大きな進化があった。装備面では、追加が期待されていた電動パーキングブレーキは見送られた。
「MAZDA2」は、今回と前回分を含めた商品改良により、内外ともに大きく進化している。
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現行MAZDA2 日本仕様はSKYACTIV-Gの高圧縮比版導入でマイナーモデルチェンジ相当の大幅改良 2021年6月
2021年6月に実施されたMAZDA2の一部改良では、特別仕様車の設定のほか、新開発パワートレインとしてSKYACTIV-Gの高圧縮比版を導入するという大掛かりなものであった。
このマイナーモデルチェンジ相当のエンジン改良により、圧縮比は14.0にまで高められ、WLTCモード燃費は最高で20.3km/Lとなった。
なお引き続き、従来の圧縮比12.0版のSKYACTIV-Gも低価格モデル用エンジンとしてラインナップに残されており、そのWLTCモード燃費は最高で19.0km/Lとなっている。
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モデル末期、現行MAZDA2に採用されたSKYACTIV-G 1.5 高圧縮ガソリンエンジン
SKYACTIV-G 1.5 高圧縮ガソリンエンジンに導入された新技術「Diagonal Vortex Combustion(ダイアグナル・ボーテックス・コンバスチョン)」(斜め渦燃焼)を詳しく見ていく。
燃料噴霧の工夫により、シリンダー内に空気と燃料の「斜め渦」状態を作り、ピストン上下と連動し、プラグ周りに乱れと混合気を集め、急速燃焼を実現する。
このDiagonal Vortex Combustion の技術により、圧縮比は12から14に高められ、WLTCモード燃費は最大6.8%の向上を果たす。
この高圧縮ガソリンエンジン搭載モデルの一部は、2030年度燃費基準における減税対象(自動車税が非課税/エコカー減税が50%減税)となった。
さらに、e-SKYACTIV Xの開発で培ったエンジン制御技術が採用されており、アクセル操作に対するクルマの応答性とコントロール性が向上している。
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MAZDA2はフルモデルチェンジでEV専用車となるのは難しい?
MAZDA2のフルモデルチェンジは、EV化が盛り込まれるのではという期待は以前からあった。マツダは「EV専用プラットフォーム商品群」の2027年の商品化を計画しており、これにはMAZDA2後継車種も含まれるのではという予想もあった。
この「EV専用プラットフォーム」はスケーラブルアーキテクチャとしており、様々な車体サイズに対応できることを意味している。マツダが2022年11月に発表した「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針について」では、「ヴィジョンスタディモデル」が登場したが、その後「MAZDA ICONIC SP」の発表によりロータリーEVであることが発表された。
また、電動化計画の「フェーズ2」の期間後半(2026年以降)から、BEV専用車を投入することが予告されていたが、これは2027年に改められた。当初の2025年以降という発言から、遅れてはいるものの、BEV投入計画は進められている。
なお、「EV専用プラットフォーム」で商品化される具体的な車両クラスにBセグメントクラス車種が含まれることは発表されていない。
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「EV専用プラットフォーム商品群」はMAZDA2とCX-3の後継車種に設定される可能性はあるのか
マツダの新世代商品は、既に市販化を果たしたMAZDA3、CX-30、MX-30を含む「スモール商品群」と、CX-60、CX-70、CX-80、CX-90を含む「ラージ商品群」があり、さらに追加される3つ目のプラットフォームが「EV専用」である。
「スモール商品群」については、MX-30としてEVモデルが市販化されており、既にこのプラットフォームがEV対応していることは言うまでもない。
また、よりボディサイズが大きい「ラージ商品群」については、2023年内に全ての発売が予告されており、EV専用の次世代プラットフォームが先行して導入されるようなタイミングではないだろう。
2026年頃導入の「EV専用プラットフォーム」は、MAZDA2やCX-3の後継モデルとして相応しい、Bセグメント車種として、商品化される可能性は残される。
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モデル末期のMAZDA2販売苦戦、国内主力Bセグメントはフルモデルチェンジ実施済み
MAZDA2は、2014年発売の4代目デミオ(DJ型)を起点とするモデル。2019年にグローバルネームのMAZDA2に改名されてはいるものの、この時に中身はほとんど変えられておらず、販売期間が長期となっている。
一方で国内ブランドのBセグメントライバル車種を見ていくと、2020年に入ってから、トヨタ・ヤリス、ホンダ・フィット、日産・ノートが新型に切り替わった。MAZDA2についてもフルモデルチェンジ発売が待たれる状況になっている。当初、新型MAZDA2は2021年のデビューが見込まれていたが、しばらくは実現しそうにない。

MAZDA2のフルモデルチェンジは2023年3月期までは行われない
マツダの2022年3月期の決算説明会では、「CX-50、CX-60、CX-90」の3車種が2023年3月期の重点取組事項として挙げられた。しかし、MAZDA2やCX-3といった小型車についての新型車導入について、重要な言及は無かった。MAZDA2のフルモデルチェンジが、2023年3月期までに実施されることは無いだろう。
2021年に従来型MAZDA2に新開発パワートレインとして、SKYACTIV-G 1.5 高圧縮ガソリンエンジンの搭載がスタートした。さらに2023年にはフェイスリフトも実施される。これだけの大掛かりな延命措置が取られたとなれば、近いうちに従来型MAZDA2がフルモデルチェンジを受けることは無く、販売が継続されることが予想される。
現行型MAZDA2は、2014年発売の4代目デミオ(DJ型)から基本デザインが変えられておらず、フルモデルチェンジが待望されている。歴代のデミオシリーズから振り返ると、モデルチェンジのサイクルは5~7年程度であったが、現行モデルの販売期間は既にこれを超えている。
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MAZDA2 HYBRIDを欧州で導入、トヨタ・ヤリスOEM
一方で、欧州では新型MAZDA2 HYBRIDが2022年春より販売中となっている。この車体は、トヨタ・ヤリスにマツダのエンブレムを貼ったOEMモデルで日本導入されることは無いだろう。欧州においては、コンベンショナルガソリンエンジンを搭載する従来型MAZDA2は、CO2排出量規制の面から販売継続が難しい状況となっており、これに対応した措置となる。
MAZDA2の特別仕様車「Sunlit Citrus」
2021年6月24日に発表された特別仕様車「Sunlit Citrus」は、「いつもの運転が前向きな楽しい気持ちになれるクルマ」を目指し導入された。
特別仕様車「Sunlit Citrus」は、シートやダッシュボード、ドアトリムには手触りの良いグレージュ色のスエード調人工皮革・グランリュクスを使用し、またシトラス色を挿し色に加えることで、燦々と輝く太陽の下での南方への旅をイメージした室内空間が表現された。
また狭い駐車場や路地でも、確認したいエリアの状況が直感的に把握しやすく、より的確な運転操作に役立つ360°ビューモニターが標準設定された。
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MAZDA2 のモデルチェンジ まとめ
MAZDA2 フルモデルチェンジ 予想 まとめ
- フルモデルチェンジ時期は2026年後半~2027年頃を期待
- MAZDA VISION X-COMPACTは量産予告ではなく体験提案のコンセプト
- 共感型AIと人間中心設計(HMI)を核に次世代の運転体験を提示
- 新CIと骨格強調の造形で次期ファミリーフェイスのヒントを示唆
- 寸法は全長3,825mmなど現行よりコンパクトな方向性を示す
- プラットフォームは現行ベースの改良版の可能性
- 実質フルスキンチェンジの可能性
- 新興国需要を満たすためBEV専用車となるのはまだ難しそう
- 現行はディーゼル終了後も新グレード追加で販売継続
MAZDA VISION X-COMPACT 画像、ジャパンモビリティショー2025
MAZDA2 DJ型 マイナーチェンジ、一部改良 まとめ
2023年9月 商品改良と値上げ 発表
- 2023年12月下旬 商品改良モデル発売予定
- コネクティッドサービス対応のマツダコネクトの採用
- センターディスプレイの大型化(8.8インチ)
- 「15 BD」「XD BD」に用品架装パッケージ車「SCI-FI」を追加設定
- 値上げ、19,800~93,500円
- グレード・装備体系の見直し
- 「15 Sunlit Citrus」廃止
MAZDA2 2023年9月 画像
2023年1月 マイナーチェンジ発表
- 2014年9月発売のデミオから基本設計が変わっていない
- 2023年1月27日発表、3月発売のマイナーチェンジで販売期間が更に延長
- 電動パワートレイン未導入
- 2021年6月に SKYACTIV-G 1.5 高圧縮比版を導入
- 「トヨタ・ヤリス ハイブリッド」の姉妹車種「MAZDA2 HYBRID」を2022年春より欧州でOEM販売
- 「MAZDA2 HYBRID」の日本発売の予定は無し

































































































































































































































































