2020~2021年にかけて、国産EVラインアップが増強
2021年から、欧州でCAFE方式によるCO2排出量の規制が厳格化される。これにあわせ、各自動車メーカーにおいてEVをラインアップに加える動きが加速してる。このページでは特に日系ブランドのEVについてまとめてみる。
ホンダ Honda e (発売中)
ホンダ初の量産EVとして2020年10月30日に日本発売されたばかり。バッテリー容量は35.5kWhで、マツダのMX-30と同じ。ただしボディサイズはホンダ eのほうが、ふたまわりほど小さい。
- 全長 3895mm
- 全幅 1750mm
- 全高 1510mm
- ホイールベース 2530mm
ちょうどBセグメントコンパクトカーのサイズ感で、日常の短距離移動をこなすシティビークルとして仕上げられている。
他のEVとの違いは、ホットハッチ的なキャラクターが与えられており、後輪駆動(RR)となっていること。これにより前輪タイヤのかじ取り角は大きくなり、最小回転半径は4.3mと小回りがきく仕様となっている。
MCF5型の駆動モーターは、特性の異なる2種類が用意され、グレード展開される。
通常Honda e (100kWモーター)
通常Honda e は、消費税込み車両価格4,510,000円。モーター出力が100kW(136PS)、16インチアルミホイールが装備される。
航続距離はWLTCモードで283kmとなる。
Honda e Advance (113kWモーター)
そしてHonda e Advanceは消費税込み車両価格4,950,000円。モーター出力が113kW(154PS)、17インチアルミホイールが装備される。
航続距離はWLTCモードで259kmとなる。
この他、Honda e Advanceは装備面も充実しており、
- Honda パーキングパイロット
- マルチビューカメラシステム
- 後退出庫サポート
- プレミアムサウンドシステム
- 100V AC電源(1500W)
- センターカメラミラーシステム
が標準で備わる。
マツダ MX-30(EVは2021年1月発売)
日本向けには先に、マイルドハイブリッド仕様が発売となったが、欧州ではEVの販売が先行している。日本向けEVも2021年1月に、発売日を迎えることが発表済みである。
駆動バッテリーの容量は35.5kWhで、これはホンダ eと同じ数値。ただし、MX-30はボディサイズが大きいので、航続距離はWLTCモードで199kmとかなり短くなる。SUVスタイルの外観と、大開口部となる観音開きドアにより、活発なライフスタイルを予感させるが、航続距離を考えると移動範囲は限られてしまう。モーターの最高出力は107kW(145PS)、最大トルクは271Nm(27.4kg-m)。SUVスタイルの車体であるがEVは前輪駆動のみが用意される。
MX-30は観音開きドアという独自の車体構造を持ちながらも、ボディサイズはCX-30とほぼ変わらない。
- 全長 4395mm
- 全幅 1795mm
- 全高 1570mm
- ホイールベース 2655mm
日本では、EV仕様よりもマイルドハイブリッド仕様がメインになりそう
パワートレインラインナップの中でEVが選ばれるケースは、特に日本では限定的だろう。国内販売の主役は、アシストモーター付きの2.0Lガソリンエンジンの e-SKYACTIV Gということになりそう。
ロータリーレンジエクステンダーは2022年登場予定
さらに2022年前半には、発電専用のロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーが発売される見込み。EV仕様のボンネット内は空間が目立つが、そこにコンパクトなロータリーエンジンが収まるということになるのだろう。
レクサス UX300e(発売中)
レクサス初の量産EVということだが、販売のベクトルは中国、欧州に向いている。日本向け販売台数の割り当て分は、本年度2021年3月まで、わずか135台。中国、欧州での需要が本格化すれば、2021年度の日本割当台数もあまり期待できないかもしれない。
価格、グレード構成は2種類が用意される。
- UX300e “version L” 6,350,000円消費税込み
- UX300e “version C” 5,800,000円消費税込み
航続距離はWLTCモードで367kmとなる。ツアラーとして使うには不安があるが、日常の通勤やレジャーなら不足が無いはず。充電時間は、50kWの急速充電スタンドを使用した場合でも約80分を費やす。
プラットフォームは、GA-Cを採用。プリウス、C-HR、カローラと共通である。ちなみに中国では、C-HRのEV仕様が販売されている。GA-Cはコンベンショナルガソリンエンジン、ハイブリッドエンジン、そしてEVと多彩なパワートレインに対応しているところが面白い。
バッテリーは床下に敷き詰められており低重心な車体バランスを実現。その駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は54.4kWhとなる。
クロスオーバーSUVの車体ながらも、EVであるUX300eには、4WDモデルがラインアップされないのが弱点。モーターは前輪駆動のみで、最高出力150KW(203PS)、最大トルク300Nm(30.5kgf-m)となる。
ボディサイズは通常UXシリーズと変わらない。
- 全長 4495mm
- 全幅 1840mm
- 全高 1540mm
- ホイールベース 2640mm
日産 アリア(2021年中頃発売予定)
日産はこれまでEVとして販売してきたリーフに加え、新たな次世代EVの開発も進めている。2019年の東京モーターショーで公開されたのがアリアコンセプト。そして2020年7月には市販型アリアが発表された。ただし発売は、まだ少し先で2021年中頃が予定されている。
ボディサイズは、
- 全長 4595mm
- 全幅 1850mm
- 全高 1655mm
- ホイールベース 2775mm
クーペSUV的なスタイルでルーフ後半が傾斜している。それでも室内高はしっかりと高さがあるため後席は広い。
リアコンビネーションランプは左右を一文字で繋ぎ、近年のデザイントレンドに合わせてある。
駆動方式は2WDのほか、「e-4ORCE」と名付けられた新開発の4輪制御技術が採用される。バッテリー容量は65kWhと90kWhが用意され、パワートレインラインアップは4タイプ。
駆動方式 | バッテリー容量[kWh] | 航続距離[km] | 最高出力[kW] | 最大トルク[Nm] | 最高速度[km/h] | 0-100加速[秒] |
2WD | 65 | 450 | 160 | 300 | 160 | 7.5 |
2WD | 90 | 610 | 178 | 300 | 160 | 7.6 |
4WD | 65 | 430 | 250 | 560 | 200 | 5.4 |
4WD | 90 | 580 | 290 | 600 | 200 | 5.1 |
プロパイロットは車線変更を伴わない高速道路クルージング時のハンズオフドライブに対応。そして、車外からのリモコン操作が可能なプロパイロットリモートパーキングが備わる。
日産 リーフ(発売中)
ハイブリッド全盛時代に乗り遅れた日産であったが、他社よりもEVの導入が早かった。初代モデルは2010年から販売され、日系ブランドで最も販売実績のあるEVとなっている。
現行型は2017年にフルモデルチェンジした2代目モデル。プラットフォームはキャリーオーバーながらもEVとしての基本性能を向上させてきた。
バッテリー容量の異なる2タイプが用意される
通常40kWhバッテリー搭載モデルは、航続距離はWLTCモードで322km。モータースペックは最高出力110kW(150PS)、最大トルク320Nm(32.6kgf-m)消費税込み車両価格332万6400円からとなる。
そして「e+」系グレードでは、大容量の62kWhバッテリーを搭載し、最高出力160kW(218PS)、最大トルク340Nm(34.7kgf-m)、航続距離はWLTCモードで458km。消費税込み車両価格441万1000円から用意される。
いずれもEM57型駆動モーターを搭載するが、バッテリー容量タイプごとで異なるパフォーマンスが設定されていることも特徴となっている。
ボディサイズはCセグメントクラスとなる。
- 全長 4480mm
- 全幅 1790mm
- 全高 1560mm
- ホイールベース 2700mm
スバル エヴォルティス(未発表)
スバルは、水平対向エンジンをアイデンティティとしてブランドイメージを高めてきたわけだが、それでも将来的にEVをラインナップしなければならない状況となっている。EV開発がトヨタと共同で進められていることは、2020年1月に発表があり、デザインスタディモデルも示されている。ボディサイズ的にはCセグメントクラスということで、UX300eと同クラスのSUVということになる。
米国の商標登録にEVOLTIS(エヴォルティス)があり、いかにも電気自動車らしいネーミングが存在することから、これが市販型の車名として使われる可能性がある。
仕様の目安としては、モーター出力290ps以上、4WDシステムであること、航続距離は500km程度となっておりこれらはUX300eを超える仕様が想定されていた。
また安全運転支援システムでは、新型レヴォーグから導入された新世代アイサイトを搭載する。
発表時期としては2021年秋、東京モーターショーあるいは、LAオートショーでのワールドプレミアが予想される。
トヨタ LQコンセプト(2021年発売予想)
トヨタは2019年秋の東京モーターショーで、LQコンセプトとして次世代EVを提案した。
ホイールベース2700mmのGA-Cプラットフォームを採用しており、UX300eなどと共通プラットフォームとなる。
モーター出力150kW(203ps)、バッテリー容量54.3kWhといったEVパワートレインの主要部分は、UX300eと共通化されている。ショーモデル的な外観を除けば、現実的な仕様になっており、市販前提モデルと考えられている。
そんななかベストカーが2020年秋の発売をスクープしたが、これは誤報であったことを認めている。一方でSpyder7は2021年の市販化を予想している。
コンセプトながらもナンバー取得可能な完成度
LQコンセプトは、2020年8月にナンバー取得した車体が、テレビ東京系「ウルトラマンZ」への登場を果たした。これにより意欲的なプロモーション活動が継続されていることや、コンセプトとはいえ法規に従ったデザインであることが証明された。さすがに外からガラス越しに乗客の足元が見えるというのは、市販型では無いだろうが、発売に向けての動きは継続されているはずだ。
三菱 i-MiEV(アイミーブ)(2020年度内販売終了の可能性)
リチウムイオンバッテリー搭載の量産電気自動車としては世界初に商品化されたモデルで、日産リーフより一足早いタイミングで販売されてきた。軽自動車規格のMRプラットフォームで構成される。
ガソリンエンジン仕様のi(アイ)も存在した
先に発売されたのが軽自動車用ガソリンエンジン搭載の「i」である。これはリアシート下にエンジンが置かれた後輪駆動モデルであった。エクステリアは基本的に、後に発売されるi-MiEVと共通であったことから、通常の軽自動車とは一線を画す近未来的なデザインが魅力であった。
i-MiEVは販売継続中だが、まもなく終了の見込み
ガソリン車「i」は2013年に販売が終了されたが、電気自動車i-MiEVは現在も販売継続中。ただし、軽自動車ではなく登録車としての扱いとなった。2018年に法規対応によるバンパー変更があり、全長が3480mmとなることで軽自動車の規格をオーバーしたためである。
搭載されるY51型モーターは最高出力47kW[64PS]、最大トルク160Nm[16.3kfgm]で、バッテリー容量は16.0kWh。航続距離はJC08モードで164kmとなる。
さすがにプラットフォームも古く、EVとしての性能も現行の他モデルの水準よりも低い。2020年度内の販売終了が囁かれている。
- 全長 3480mm
- 全幅 1475mm
- 全高 1610mm
- ホイールベース 2550mm