クロスバンギア、ジャパンモビリティショー2025で出品無し
ジャパンモビリティショー2025は、クロスバンギア コンセプトの初公開からちょうど2年が経過するタイミングのイベントとなりました。
クロスバンギア コンセプトはジャパンモビリティショー2023で初公開されて以来、市販化が期待されてきたモデルであり、2025年の会場で市販型プロトタイプの登場が待ち望まれました。しかし、ジャパンモビリティショー2025ではクロスバンギアに関連するモデルの出品は行われませんでした。
一方で、ジャパンモビリティショー2025の会場では、クロスバンギアのライバルとなり得る三菱自動車のアウトドア系ミニバン「デリカ D:5」のマイナーチェンジモデルが出品され、商品力アップが図られました。デリカ D:5は長年アウトドア志向のMPVとして支持されてきたモデルであり、このマイナーチェンジによって、しばらく販売継続する構えが示されました。
前回のジャパンモビリティショー2023では、三菱自動車が「デリカ D:5」の後継を示唆するコンセプトカー「D:X Concept」を発表していました。「D:X Concept」は米国向けにも発表されており、現行デリカ D:5からの大型化が予想されるモデルとして注目されています。しかし、三菱自動車が公表している経営計画によれば、「デリカ D:5」のフルモデルチェンジに相当する「デリカ D:6(仮称)」の発売はまだ数年先と見込まれています。
こうした状況の中で、クロスバンギア コンセプトがもし先行して市販化されれば、基本設計が古くなりつつあるデリカ D:5からの乗り換え需要を取り込めるのではないかという予想があります。デリカ D:5やその後継候補と同じカテゴリーに属するアウトドア系ミニバンとして、クロスバンギア コンセプトのポジションが意識されています。
2025年11月時点でも、クロスバンギア コンセプトの市販化を確定させる公式情報は確認されていません。市販化への期待は高いものの、発売を確定付ける公表には至っていないというのが現段階の状況です。
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クロスバンギア コンセプトの成り立ちと特徴
ジャパンモビリティショー2023での初公開とインドでの再披露
クロスバンギア コンセプトの公開経緯は、2023年10月に開催されたジャパンモビリティショー2023から始まります。クロスバンギア コンセプトはトヨタ車体のブースで世界初公開され、トヨタ車体のコンセプトカーとして注目を集めました。
ミニバンボディをベースにした新しいライフスタイル提案車としての位置づけがはっきりと示されていました。
その後、クロスバンギア コンセプトは2025年1月にインドで開催された「Bharat Mobility Global Expo 2025(インドオートエキスポ2025)」で再び披露されました。このインドでの再出品の場では、クロスバンギア コンセプトが電動バンとして紹介されており、市販化に対する期待のみならず、電動化への可能性が注目されました。
インドでの再出品は、クロスバンギア コンセプトが海外展開も視野に入れた動きであると受け止められており、日本国内だけでなくグローバル市場での活躍も意識したコンセプトカーであると考えられています。
クロスバンギア コンセプトのエクステリアデザインは、2024年3月に日本の特許庁で意匠登録として公開されました。
この意匠登録の申請自体は、クロスバンギア コンセプトが初めて公開された2023年10月のタイミングで行われており、ショーモデルとしてしっかりとデザインが固められていたことがわかります。ただし、この意匠登録だけでは市販化を決定づける要素にはなり得ないと受け止められており、あくまでデザイン保護の一環と考えられます。
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クロスバンギアのコンセプトとターゲットユーザー
クロスバンギア コンセプトは、「乗用ミニバンの大空間」と「SUVのアクティブスタイル」の両立を掲げるモデルです。
次世代キャブワゴンとして新しいカテゴリーの提案を行うモデルと説明されており、多様化するライフスタイルに合わせて「すべての人が人生を楽しむ」というテーマが掲げられています。
日常の使い勝手に優れたミニバンと、レジャーやアウトドアに適したSUVテイストのスタイリングを組み合わせることで、ファミリー層にもアウトドア愛好者にも魅力的な多用途バンが目指されています。
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ボディサイズと室内空間、ノア/ヴォクシーとの関係
クロスバンギア コンセプトのボディサイズは、全長4695mm、全幅1820mm、全高1855mmとされています。
全長4695mmという数値は、トヨタ車体が生産している現行ノア/ヴォクシーの全長と完全に一致しており、これは基本設計の共通化を示唆しているかもしれません。
一方で、全幅は現行ノア/ヴォクシーより約90mm広く、全高は現行ノア/ヴォクシーより約40mm高いサイズ感とされており、よりワイドで背の高いスタンスを持つモデルとして仕上げられています。
室内寸法は室内長2965mm、室内幅1550mm、室内高1340mmとされ、3列シートによる6人乗り(2+2+2)のレイアウトが採用されています。室内サイズは広く確保されており、家族での長距離ドライブからアウトドアレジャーまで、ゆとりある室内空間を活用できる構成です。
クロスバンギア コンセプトのベース構造はノア/ヴォクシー系と共通であると推定されています。これは、意匠登録に示された内容や主要寸法の一致から導かれた解釈であり、クロスバンギア コンセプトがノア/ヴォクシーの派生モデル候補と考えられている理由にもなっています。
ノア/ヴォクシー級の取り回しやすいサイズを維持しながら、よりアウトドア志向のタフなキャラクターを与えたモデルとして企画されていると理解されます。
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エクステリアデザインとBピラーレス大開口ドア
クロスバンギア コンセプトのエクステリアは、ボクシーなシルエットを特徴としています。大径タイヤと分厚い樹脂バンパー、ワイドな樹脂フェンダーを組み合わせることで、三菱デリカ D:5系のアウトドアミニバンを想起させるタフなスタイルが形成されています。
立ち気味のフロントガラスと水平気味のボンネットによって、前方視界の良さと力強い顔つきが両立されたフロントデザインとなっている点もポイントです。
さらに、クロスバンギア コンセプトにはキャリアルーフが装備されており、アウトドアギアを積載しやすい構成が採用されています。ルーフ上にボックスやカヌー、サーフボードなどを積めることを想定した、「ギア感」の強いスタイリングが与えられています。
あくまでショーモデルであるクロスバンギア コンセプトは、助手席側ドアまわりに特徴的なBピラーレス構造が採用されていました。助手席側ではBピラーを排したうえで、助手席ドアとスライドドアを組み合わせることで、観音開きに近い広大な開口部を実現しています。このピラーレス大開口によって、自転車や釣り竿などの長尺物を積み下ろししやすい構造が提案されており、アウトドア用途に強く配慮したアイデアとなっています。
ただし、このBピラーレス構造については、量産モデルで採用するには安全性やボディ剛性の確保といった面で課題が大きいと見られており、市販車には盛り込まれない可能性が高いと予想されます。
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インテリアとシートアレンジ
クロスバンギア コンセプトのインテリアは、「リビングのような室内空間」を目指して設計されています。明るい内装色とソファ風のシート形状、開放的な天井の処理によって、居住性の高さが演出されています。3列6人乗りのレイアウトを採用し、少なくとも6パターンのシートアレンジが想定されています。
助手席シートには回転機構が盛り込まれており、前列と2列目シートを向かい合わせにする前後対面レイアウトを構成することができます。2列目シートをテーブル形状モードに変形させるアレンジも備えていて、クルマの中で食事をしたり、ボードゲームを楽しんだりといった使い方も意識した構成となっています。
また、荷室拡大モードを含む複数のシートアレンジでは、趣味の道具やアウトドアギアの収納に配慮した各種収納スペースやフロアアレンジが提案されています。広い室内空間と多彩なシートアレンジによって、休日のレジャーから日常の買い物まで、さまざまなシーンでクロスバンギア コンセプトが活躍できるように考えられています。
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想定されるパワートレインと不確定要素
クロスバンギア コンセプトのパワートレインについては、トヨタ車体の公式情報に具体的な記載がなく、詳細な仕様は明示されていません。
動力源としては、ノア/ヴォクシー系に設定されている1.8Lハイブリッドや2.0Lガソリンエンジンをベースとした構成、あるいは将来的なBEV搭載が想定されています。
市販型のパワートレインは、ノア/ヴォクシーと共通仕様となる可能性があると考えられており、2ZR-FXE型エンジンを搭載する1.8Lハイブリッド車や、M20A-FKS型エンジンを搭載する2.0Lガソリン車の設定が予想されています。
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クロスバンギア市販化の期待とノア/ヴォクシー台湾生産
ノア/ヴォクシーの長納期と台湾生産計画
クロスバンギア コンセプトの市販化の可能性を考えるうえで、ベース車とみなされているノア/ヴォクシーの生産体制も重要なポイントとなります。
ノア/ヴォクシーは2022年のフルモデルチェンジ以降、高い人気によって長納期が続いているモデルです。日本国内ではトヨタ車体・富士松工場などで組み立てが行われており、生産能力の制約から、ユーザーが注文してから納車までに時間がかかる状況が続いてきました。
こうした中で、ノア/ヴォクシーは2026年から台湾生産が検討されています。ノア/ヴォクシーの台湾生産計画は、トヨタの人気ミニバンの生産体制を再編する動きとして期待されており、生産拠点を増やすことで供給体制を強化しようとする試みと受け止められています。
ノア/ヴォクシーの台湾生産主体は台湾の国瑞汽車(Kuozui Motors)であり、国瑞汽車はトヨタと台湾の正規販売会社である和泰汽車の出資により設立された完成車メーカーです。台湾生産工場は台湾・桃園市に所在する国瑞汽車工場となり、この工場はすでにカローラやヤリスなどの生産実績を持っています。
ノア/ヴォクシーの台湾生産開始時期については、複数の報道で「2026年第2四半期に量産を開始し、2026年第4四半期に日本向け輸出分を出荷する計画」と伝えられています。2024年時点の日本経済新聞は「2026年から台湾工場でノア/ヴォクシーを生産し、日本へ輸出する計画を検討している」と報じており、2025年秋の台湾側の報道では、主要部品約7万台分を日本から台湾へ輸入し、台湾で完成したノア/ヴォクシーを日本へ輸出する計画、さらに日本での販売状況に応じて台湾生産規模の拡大や追加車種を検討する可能性など、より具体的な内容が示されています。
2026年以降は、日本国内生産と台湾生産が併存する二本立て体制となり、日本向け車両の一部が台湾製ノア/ヴォクシーになる可能性があります。ただし、トヨタの公式リリースという形では生産計画の詳細を明らかにしておらず、最終的な内容は今後の発表を待つ必要があります。
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ノア/ヴォクシー派生としてのクロスバンギア市販化への期待
ノア/ヴォクシーの台湾生産によって供給体制が強化されれば、派生モデルを新たに導入できる余地が生まれる可能性があります。
クロスバンギア コンセプトの市販型はノア/ヴォクシーがベースとなることで、取り回しの良いサイズに仕上げられることが期待されており、台湾生産を含むグローバルな生産体制の再編と関連づけて、ノア/ヴォクシーの派生モデルとして市販化されるのではないかという推測もあります。
こういったことを背景に、クロスバンギア コンセプトの市販時期については、2026年ごろの発売が期待されています。しかし、トヨタ側から正式な発売時期の発表は行われていません。
ノア/ヴォクシーの台湾生産計画やグローバル生産体制の再編と結びつけて、クロスバンギア コンセプトの派生車としての市販化が期待されているものの、具体的な決定事項として公表されているわけではないという点は押さえておく必要があります。
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クロスバン ギアの特徴、「コア」と「ツール」もある
X-VAN GEAR CONCEPTは、多様化するライフスタイルに応える次世代キャブワゴンで、すべての人が人生を楽しむための車両と位置付けられています。
内外装は利便性と快適性を追求し、現代の移動ニーズに対応するように考案されています。
X-VAN GEAR CONCEPTは、乗用ミニバンの広いスペースとSUVの力強いデザインを組み合わせた、新しいカテゴリーの車として注目されています。
運転席周りはシンプルで、室内空間はリビングのように快適な設計となっています。ソファのようにくつろげるシートと、開放的な天井が特徴です。
また、大きな開口部のドアは、自転車や釣り竿といった趣味のアイテムの積み下ろしが簡単にできます。Bピラーレスに加え、助手席ドアがスライド式になっており、この機構は市販型では採用されないかもしれません。
内部には、3列シートがあり、そのアレンジは6パターンに及びます。助手席を回転させたり、2列目をテーブルに変えたりすることで、さまざまなシーンで利用できるよう設計されています。
X-VANシリーズには他にCOREとTOOLというモデルが構想されており、それぞれ異なるライフスタイルに合わせた機能とデザインを持っています。
それぞれのコンセプトを紹介していきます。
- X-VAN GEAR 大地とボクらをつなぐ冒険装備
- X-VAN CORE 使い方自由自在 移動するくつろぎ空間
- X-VAN TOOL 誰にもジャマされない 自分だけの秘密基地
これらのバリエーションにより、ユーザーは自分のライフスタイルに合ったX-VANを選ぶことが提案されています。
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クロスバンギア まとめ
まとめ更新日: 2025/11/14
- クロスバンギア コンセプトはJMS2023で初公開された
- JMS2025では出品が見送られたものの市販化への期待がある
- 2025年1月のインドでの再披露では電動バンとして紹介され、海外展開も視野に入れたグローバル志向モデルになる可能性がある
- ボディサイズは全長を現行ノア/ヴォクシーと共通としつつ全幅と全高を拡大した3列6人乗りの多用途バンとして提案されている
- ボクシーなシルエットと大径タイヤ、樹脂バンパーやフェンダーによってデリカ D:5系を想起させるタフなアウトドアスタイルが強調されている
- 助手席側Bピラーレス大開口ドアや多彩なシートアレンジにより、長尺物の積み下ろしや車内でのくつろぎ・遊びを重視した使い勝手が追求されている
- パワートレインはノア/ヴォクシーの1.8Lハイブリッドや2.0Lガソリン、将来的なBEVなどが想定されているが公式な仕様は未公表
- ノア/ヴォクシーは長納期が続いており、2026年から台湾の国瑞汽車で並行生産し日本へ輸出する計画がある
- 台湾生産による供給体制強化を背景に、ノア/ヴォクシーの派生モデルとしてクロスバンギア市販型の登場に期待
- 2025年11月時点でクロスバンギア市販化や発売時期を確定させる公式発表はなく、具体的なスケジュールは今後の動向待ちとなっている





























































