新型LX700hを発表、新開発V6 3.5L ターボ パラレルハイブリッド搭載
2024年10月10日、LEXUSは「LX」の一部改良を発表するとともに、新開発のハイブリッドシステムを搭載した「LX700h」を世界初公開しました。新型車は2024年末以降、順次各地域で発売される予定です。
「LX700h」は、「世界中のどんな道でも楽に・上質に」というコンセプトを継承しながら、LXシリーズ初の電動化を実現しました。この新型車は、「どこへでも行き、生きて帰って来られる電動車」を体現するため、過酷な環境にも対応できる新しいパラレルハイブリッドシステムを採用しています。
さらに、オンロード・オフロードを問わないLEXUS独自の走りの味「Lexus Driving Signature」をより追求しています。また、「LEXUS OVERTRAIL PROJECT」の思想に基づき、専用装備と内外装色を施した「OVERTRAIL」モデルを新たに設定しました。
新型「LX700h」の主要諸元(プロトタイプ)
- 全長:5,100mm
- 全幅:1,990mm
- 全高:1,895mm(*1)、1,885mm(*2)
- ホイールベース:2,850mm
- 車両重量:2,780kg(*3)
- パワートレーン:3.5L V6ツインターボハイブリッドシステム[フルタイム4WD]
(*1)265/55R22タイヤ装着時
(*2)265/55R20タイヤ装着時
(*3)中東プロトタイプ値
新型LX700hの主な特徴
1. 新開発ハイブリッドシステムで「信頼性」「耐久性」「悪路走破性」を維持
LEXUS初のパラレルハイブリッドシステムを採用し、V6 3.5Lツインターボエンジンと10速ATの間にクラッチ付きのモータージェネレーター(MG)を配置しました。これにより、「フルタイム4WD」「トランスファーLoレンジ」「トルクコンバータ付AT」といった駆動系を電動化でも維持し、エンジンとモーターの高出力・大トルクを確実に路面に伝えます。ハイブリッド制御システムが状況に応じてエンジンのみやモーターのみでの走行を最適にコントロールします。
また、オルタネーターとスターターを標準装備し、ハイブリッドシステムが停止した場合でもエンジン始動が可能です。エンジンのみでの退避走行もでき、トランスファーLoレンジやアクティブハイトコントロール(AHC)、A-TRACの作動も可能となり、悪路走破性を向上させています。
2. エンジン車同等の渡河性能を実現
ハイブリッドメインバッテリーをリヤフロアに搭載し、上下に分割した防水トレイでパッキングする防水構造を採用しました。これにより、深い水路での水の浸入を防ぎ、エンジン車と同等の渡河性能700mmを確保しています。万が一、水が浸入した場合は被水センサーが検知し、ドライバーに注意を促します。
3. モータートルクを活かした走り
モーターの応答性の良いトルク特性と大排気量ツインターボエンジンの組み合わせにより、低速域ではリニアな発進・加速を、高速域では力強い加速を実現しています。オフロードでは、トランスファーLoレンジでもモーター駆動が可能となり、繊細なアクセル操作が要求される場面で高い走破性とコントロール性を発揮します。
4. 給電機能の充実
センターコンソール下に配置したACインバーター(防水構造付)により、1,500Wまたは2,400W(地域によって異なる)の給電が可能です。センターコンソール後部とデッキにコンセントを配置し、アウトドアや非常時の電源として活用できます。
5. GA-Fプラットフォームの改良
モーターの追加による重量増加とパワートレーンの全長延長に対応するため、専用のクロスメンバーを新設し、最低地上高をエンジンモデルと同等に確保しました。リヤエンジンマウントの材質も耐久性の高いものに変更しています。
スペアタイヤの位置を最適化し、デパーチャアングルを維持しながら悪路走破性とサービス性を両立させました。12V補機バッテリーの搭載位置もリヤデッキ横に変更し、交換のしやすさとボディ剛性の向上を図っています。
6. 「Lexus Driving Signature」のさらなる追求
全ラインナップで統一した走りの味「Lexus Driving Signature」を追求し、オンロード・オフロードを問わずLEXUSらしい走りを実現しています。ラジエーターサポート周りの剛性向上やステアリング支持剛性の向上により、リニアなステアリング操作を実現しました。キャブマウントクッションの構造刷新により、振動を低減し乗り心地を向上させています。AVSの進化により、突き上げ感を抑えた滑らかな乗り心地も実現しています。
7. 機能・装備の進化
12.3インチ大型フル液晶メーターを採用し、運転支援情報をわかりやすく表示できます。ハイブリッドモデルにはエレクトロシフトマチックを採用し、操作性を向上させました。フロント席にはリフレッシュシートを搭載し、乗員の疲労軽減を図っています。「置くだけ充電」も急速充電に対応し、使い勝手を高めました。
8. 多様なライフスタイルに寄り添う「OVERTRAIL」の設定
「LEXUS OVERTRAIL PROJECT」の思想に基づき、専用装備と内外装色を施した「OVERTRAIL」を新たに設定しました。エクステリアには専用の黒光輝塗装スピンドルグリルやマットグレー塗装アルミホイールを採用し、タフなイメージを演出。ボディカラーには専用色「ムーンデザート」を含む全6色をラインアップしました。
インテリアでは専用カラーの「モノリス」を採用し、上質なオフロードシーンを演出しています。専用装備として、フロント&リヤのディファレンシャルロックや専用のオールテレーンタイヤを装備し、オフロード性能を高めています。
9. 先進安全技術の強化
最新の「Lexus Safety System +」を採用し、予防安全機能を刷新しました。プロアクティブドライビングアシストやドライバーモニターとの連携により、運転支援機能を強化しています。ドライバーの状態に応じて、プリクラッシュセーフティやレーンディパーチャーアラートなどが最適に作動し、安全・安心なドライブをサポートします。
10. 高度運転支援技術「Lexus Teammate」の採用
「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」と「アドバンストパーク」を搭載し、渋滞時の運転負荷を軽減するとともに、駐車時の使い勝手を向上させています。
新型「LX700h」は、これらの革新的な技術と装備により、快適性と走行性能、安全性を高次元で両立したモデルとして注目を集めています。LEXUSは今後も多様なニーズに応えるべく、商品ラインアップを充実させていく方針です。
新型LXを日本発売 2023年1月
レクサスは2022年1月12日に、新型LXをフルモデルチェンジ発売した。
新型LXのボディサイズは、全長5100mm×全幅1990mm×全高1885mmとなった。先代モデルとの比較では、全長は+20mm、全幅は+10mm、全高は-25mmの違いとなる。ホイールベースは1885mmで従来型と変わらず。
新型LXに搭載されるエンジンはV35A-FTS型のV型6気筒3.5Lインタークーラー付きツインターボで、従来型の3UR-FE型 5.7L V型8気筒エンジンからダウンサイズを受けている。
新型LXに採用されるトランスミッションはDirect Shift 10-ATで、駆動方式はAWDのみとなる。
車両価格は、通常LX600が1250万円、LX600 “OFFROAD”が1290万円、LX600 “EXECUTIVE”が1800万円となる。
レクサス新型LXの特徴、GA-Fプラットフォームの採用、200kgの軽量化
新プラットフォーム採用と軽量かつ高剛性なボディ・フレーム
新GA-Fプラットフォームがレクサスで初採用され、伝統のラダーフレームが刷新された。最新の溶接技術の活用等により、高剛性(従来型比+20%)かつ軽量なフレームとし、優れた衝突安全性能を確保するとともに、静粛性と走りの質が向上した。ボディについても、高張力鋼板の採用拡大やボンネット、ルーフ、全ドアパネルをアルミニウム化(ルーフのアルミニウム化はレクサス初)。また、パワートレーンの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動している。これらにより従来型との車両重量比で約200kgの大幅な軽量化と低重心化、前後重量配分の改善が果たされた。ドライビングポジションの改善とも相まり、ドライバーの意思に沿う走りに貢献している。また軽量化は環境性能の向上にも寄与している。
操舵時のボディ変形挙動をコンピューター解析し、スポット打点増し打ちやドアオープニング周り、フロアへの構造用接着剤の最適配置などによりねじり変形を抑えることで、優れたボディ剛性が実現される。オフロード性能はもちろん、オンロードでの操舵応答性や手応え、リヤのグリップ感、優れた乗り心地、レクサスらしい走りの質感が確保される。
乗員の生存空間はもちろん、パワーユニットや燃料タンクなどの部品も守る、優れた堅牢性が実現された。悪路走行時に応力を受けやすいサイドレール断面特性を最適化し、路面からの入力に対する強度、剛性、衝突安全などの性能バランスを取るために9本のクロスメンバーが最適に配置された。さらに最大5mmの厚鋼鈑や、高張力鋼板を適材適所に配置することで、悪路走行時に受ける衝撃にも車体の歪みが抑えられ、操縦安定性や乗り心地への影響が低減された。
厚板と薄板の鋼板をレーザー溶接によって結合し、プレス成形する世界初の技術「曲線テーラード・ウエルドブランク」を用いた工法により、強度と剛性を維持したまま、大幅な軽量化を実現しました。サイドレールの断面の高さを増した部分や、クロスメンバーの一部にこの技術が採用される。
フレームにキャブマウントを介し、ボディが架装されているフレーム車の構造は、オフロードの走行時などに、ボディへ損傷を受けた場合でも、クルマの基本走行性能を支えるフレームへの影響を及ぼすことが少なく、万が一の場合でも乗員の安全を確保しながら目的地が目指される。
エンジンフードは、軽量化のためアルミを採用。また、リインフォースの構造を最適化することで剛性を担保しながら、衝突時に頭部への衝撃緩和に配慮した構造となっている。なお、エンジンフード中央の凹形状は、前方の視認性や車両の傾斜感覚の得やすさに寄与するなど、機能に根差したデザインを実現している。
あらゆる道での走破性と操縦安定性を実現するサスペンション
オフロード走破性とオンロードの操縦安定性を高次元で両立するため、フロントはハイマウントダブルウイッシュボーン式サスペンションを採用し、サスペンションジオメトリおよびコイルスプリングのばね定数が最適化された。優れた車両安定性と乗り心地が両立された。また、オフロード走破性の重要なファクターであるサスペンションストロークはリバウンド従来型比+15mmと十分な長さが確保され、優れた路面追従性と悪路走破性が実現された。
リヤは、信頼性の高いトレーリングリンク車軸式サスペンションを現行モデルから継承しつつ、サスペンションアーム、ショックアブソーバー配置と特性をつくり込み、車軸の動きをコントロールしやすくすることで、優れた車両安定性と乗り心地が両立された。またリバウンドストロークは従来型に比べ20mm拡大し、優れた路面追従性が確保された。
リヤショックアブソーバーをロアコントロールアームより外へ配置し、アブソーバー取付角度を車軸の動く角度に合わせられている。タイヤの上下動に追従しやすくなり、アブソーバーの減衰効果を高め、路面からのショックや振動を吸収する優れた車両安定性が実現された。
リニアでシームレスな加速を実現するパワートレーン
3.5L V6ツインターボガソリンエンジン(V35A-FTS)は、V8 自然吸気エンジンからダウンサイジングしつつもターボ化により出力・トルクともに大幅に向上し、最高出力305kW(415PS)、最大トルク650N・mを発生。マルチホール直噴インジェクタ付D-4STの採用とロングストローク化、バルブ挟角の最適配置による高速燃焼と高効率ツインターボが力強い低速トルクと優れた過給レスポンスを生み出す。
ウェイストゲートバルブの開閉を電動アクチュエーターで制御する、電動ウェイストゲートバルブが採用された。過給圧の精密な制御が可能となり、過給レスポンス・出力・燃費・排気性能を向上。軽負荷時は、ウェイストゲートバルブを開くことで、ポンピングロスの低減および残留ガスを低減し、低燃費に寄与する。また、加速時や高負荷時には、ウェイストゲートバルブの開閉を緻密に制御することで加速レスポンスの向上が実現される。
冷却用ファンを電気的にコントロールする電子制御カップリングファンシステムが採用された。電子制御方式を採用することで、従来のサーモ式ファンカップリングで実現出来なかった、運転状況に応じたファン回転数の制御が可能となった。これにより、エンジン始動時のファンOFFによるNV性能の向上に加え、エンジンの暖機性向上や摩擦損失の低減が実現され、低燃費や空調性能の向上に貢献している。
過給機エンジンでは通常、過給機の下流側のみに設定していた燃料蒸発ガスのパージ経路を上流側にも設定することにより、あらゆる運転条件下においても燃料タンク内で発生する燃料蒸発ガスをエンジンにて燃焼させることで大気への流出を防止。大気環境への徹底した配慮がされている。
オートマチックトランスミッションは、発進時を除くほぼ全域でロックアップを作動させ、ダイレクトなフィーリングが実現される。また、10速化により、ギヤステップのクロス化、全体のギヤレシオのワイドレンジ化を実現し、リズミカルで心地の良い走りと、高速燃費、発進加速、オフロード性能の向上が同時に果たされた。さらに、駆動力特性と変速タイミングを最適化。高回転域までの伸びやかなトルク特性を引き出すような気持ちよい加速感を生かし、ドライバーの意思に寄り添った力強い加速が実現される。
車体の過度な傾斜などによりオイルレベルが著しく下がった場合に油面低下を検出し、警告灯点灯によりドライバーに知らせるオイルレベルセンサーが採用される。登降坂および左右の車体傾斜45度までのオイル供給性能が確保される。また、渡河や多塵環境下でのSUV特有の使用シーンが想定され、防水・防塵性能が高いベアリングやオイルシールが採用されている。